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将棋が強いと思われたい

僕は将棋が弱い。
でも「あの人将棋強そう!」って思われたい。なるべく努力せずに。

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月下の棋士、全巻読破しました

大人になると「ケンカが弱そう」と思われても平気だ。
「脚が遅い」も小学生なら致命的だが、大人ならなんともない。

でも「将棋が弱そう」は、大人でもダメなんじゃないか。

僕だって努力してみた。小学生相手に長考して舌打ちされた。
やっぱり人は心のどこかで将棋の強さを評価の尺度にしている。
でも、実際に将棋をする機会はそれほど多くない。

要するに「強そうだ」と思われたら,それはもう「強い」と同義なのだ。
実力はもういい。それ以外の部分で帳尻を合わせる。それが僕の勝ち方だ。

【現状認識】
とりあえず現状を再確認する。

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見た通りパッとしない。夕べ呑みすぎた顔だ。
王手飛車取りに気づかない人だ。ビジネスにおけるリスクマネジメントとか無縁なタイプだ。
しかし「どうぶつしょうぎ」はなかなか奥が深い。

【対策A-1:服装(スーツ)】
まず将棋に対しての敬意が感じられない。
大人の正装,スーツで挑む。盤と駒も本将棋のにした。

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とりあえずステテコU首肌着よりはマシだろう。
僕は普段はスーツを着ない職種なので「背広に着られてる感」も棋士っぽい。
襟がカチカチの白シャツに、ネクタイの結び目も小さく絞り、今風の着こなしをしない一意専心の気構えを出したつもりだ。

でも強そうかと言われると微妙。将棋専門の家庭教師のようにも見えるが、
見たままを説明すると「家の中でスーツ着て正座で将棋してる中年男性」。

パパお仕事はどうしたの?

子ども相手だからか,一層違和感が際立ってしまった。


【対策A-2:服装(やさぐれ系)】
強さの方向性を変えてみる。
アロハシャツ&ハンチングという「大阪・新世界」ふうの装いではどうだ。
酒と女にゃ弱いが将棋はめっぽう強い。義理と人情で今日も指す。

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やってるのは将棋崩しですが

案外こういう人にかぎって将棋は弱かったりするような……。
それどころか「イカサマしそうな人」になってしまった。

「イカサマで強そう」に見えるのは逆効果だ。

【対策B:小道具】
服装はスーツに戻して、あとは小道具で固める。美は細部に宿る。
まずメガネ。将棋強い人はたぶん目が悪いはずだろう。
髪型は七三。日本の伝統文化と知的勝負に身を投じる者には、髪型などにわずらわされてるヒマは無いのだ。
将棋盤も脚付きの分厚いやつ、駒も高級な彫りのに替えた。

これでどうや。

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金将の動かし方を教えてます

【対策3:目力】
だいぶ仕上がったようにも思う。
しかし。将棋が強そうな人がいつも盤駒を持って歩いているわけではない。
優れた剣客は、刀を持たないときでもそれとわかる(と思う)。
要はオーラだ。念ずるのだ。俺は強い俺は強い俺は強い。

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高い駒ってウラ面が赤くないんだ…

もう将棋盤すら写ってないが,
ありもしないオーラが漂いはじめた気がする。

メガネが少し曲がっているが、それがかえって
「将棋が強い」=「知的な一芸に秀でている」=「それ以外は無頓着」
という天才肌のイメージを助長していると思うがどうだろう。

「やったら負ける」と思われれば、挑戦されることは無い。
戦わずして勝つ。絶対に負けない戦いがここにあった。

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開け瞳孔!抑止力の具現化

参考までに大阪・新世界の将棋道場を外から眺めてみた。

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手脂が浸み込んだ駒は使い込まれて,明治チェルシーみたいにカドが丸く光っていた。

駒の文字が省略されてて読めないところもなんか怖い。丁三とか。

僕が目指していたのはここだったのだろうか。

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