Vol.11 国語科「たずねびと」

 明後日からいよいよ3学期が始まります。

 今日は2学期での授業をもとに、自分が今大切にしていることを整理していこうと思います。 

5年国語科「たずねびと」 読むこと 文学的な文章

 この単元では教科書の最初のページに「物語の全体像から考えたことを伝え合う」という言語活動が設定されていました。

「教科書に書かれているからこれが読む目的だよ」といったことはしません。まずは、子どもたち一人ひとりの「ありのままの表現」「感じ方」を大切にしたいと思っています。

 この時、自分(教師)が一人ひとりの「ありのまま」を大切にすることで、子どもたちも「自分」を大切にすると思っています。
 だからこそ、1時間目では、「問い」や「読む目的」や「言語活動」を引っ張り出して共有させるみたいなことはしませんでした。この時間では、自分の初読の感想を大切にしてほしいと思っていました。

2時間目

 次に、同じような考えの子と読んだ感想を聴き合えるような場づくりをしました。
 場づくりをするときには、一人ひとりの初読の感想を読み、「この子とこの子が聴き合うことでたくさん共感が生まれそうだな」と想像しながらグループ編成しました。

 聴き合いでは、子どもたちの間に安心感があり、たくさん話せて、おもしろいところも共感し合え、でも新たな気づきもあり、このあとの時間でもっと考えたいことがはっきりする、そんな場を大切にしています。

 もちろん、自分(教師)が見取り、よりよい場となるように仕掛けることも大切にしていますが、やっぱりその場で聴き合うのは一人ひとりの子どもたちなので、こういった場を様々な教科で経験し、その都度ふりかえり、次の聴き合いの前にも自分が大切にしたいことを見直すというようなことも繰り返してきました。

 子どもたちが聴き合っている瞬間も終わってからもよりよくなろうとすることを支えられたらいいなと思っています。

3時間目

 聴き合いを通して、一人ひとりの中に「おもしろいな!」や「なんでだろう?」といった気づき、まだはっきりしていないことが生まれていました。

 もちろんまだ何もはっきりとしていない子もいます。でも、初読の感想を書き、友達と聴き合う過程で「たずねびと」という物語と向き合いはじめています。そんなときだからこそ、じっくり「たずねびと」と向き合ってほしいなと思いました。

 3時間目では、一人でじっくり「たずねびと」と向き合っていました。

  • 映像資料を通して原爆の悲惨さについて調べている子

  • 友達から聴いたことでまだ自分の中ではっきりしていないことをノートに整理している子

  • 自分の問いに対する考えをパソコンでまとめている子

  • 全文シートに書き込みながらつながりを見つけている子

一人ひとりがオリジナルの追究をしていました。きっとこの時、一人ひとりの追究を支えているのは聴き合いの時間で生まれた問いだと思います。

 ただ、このときの自分の役割って一体なんなんだろうと思っています。声をかけると邪魔をしている感じがあって、何もしないでいると落ち着かなくて。

 1つ意識していたのは、一人ひとりの学びの過程を見取ることを考えていました。この時間の学びの過程を見取ることで今後のかかわりに生かせそうだなと思っていました。でも、やっぱりこの時間での自分の役割、まだまだ模索中です。

4時間目

 国語科の学習でも、他教科でも指導事項があります。「たずねびと」を通して「物語の全体像を捉えてほしい」という教師の願いがあります。

 ただ、1時間目から「物語の全体像を捉えようね」と話しても理解できないと思いましたし、その視点が一人ひとりのありのままを崩してしまうのではないかと思いました。なので、3時間目までは一人ひとりが問いをもち、読み深めることを大切にしていました。

 4時間目の最初、ある子のふりかえりを紹介し「物語の全体像を捉えるとは?」と問いかけ、全体で考えてみました。

  • 最後の一文へとつながっているところを見つけること

  • いくつかの出来事を結びつけて考えること

この時には、「つまりはどういうこと?」とか「今話してくれたことわかるかな?」とかじっくり立ち止まり、ぼんやりとでも一人ひとりの中に「全体像を捉えること」が見えたらいいなと思っていました。

 なによりも、全体像を捉えることで自分の読みが深まりそうだなと思えることが大切だと思いました。こうやって読むと「また新たな気づきがありそうだな」と感じることで、さらに自分の読みを深めようとするんだと思います。

 この時間では「物語の設定」も全体で確認しました。

 聴き合いをするときに、登場人物の関係性を一人ひとりがどう捉えているのかがわからないと、お互いの考えが違うのか、そもそも物語の設定の捉え方が違うのかが見えづらくなるのではないかと思いました。

 そこで登場人物の関係性について全体に問いかけ、全体で考えました。このとき、教材から読み取れることを問うようにしました。そうすることで、誰もが教材をもう一度読み直し、捉え方を考えることができると思ったからです。

 このように一人ひとりの考えのズレを見える化し、グループでの聴き合いに入りました。

5時間目

 この時間まで読み深めていると、自分の考えの軸がはっきりしてきます。軸がはっきりしてきているからこそ、たくさん友達の考えを聴いても簡単に流されず、自分の考えと比べながら聴くことができるのではないかと思いました。

 なので、この時間はペアでじっくり考えを聴き合うような場としました。

  • 尋ねる…たどって探し求める 訪ねる…会うためにその人のいるところに行く

  • 「尋ねる」は、おばあさんや資料館の人のこと 「訪ねる」は、綾のこと

ペアでの聴き合いでは、問いを中心にお互いの考えを聴き合っていました。

6時間目

 最後の時間です。単元の最後は自分の考えを書きまとめる時間でした。

  • 書く前に最後友達に聴いてもらうことで自分の考えがよりはっきりするかな?

  • 一人で書いた後、ペアで聴き合ってその後もう一度一人で書く時間を取ろうかな?

と、どんな学びの場がいいか考えていました。
 最終的には、まず一人で書き、昨日と同じペアで聴き合って、また一人で書く、このような場としました。一人で自分と向き合う時間も大切にしたいですし、誰かと一緒に向き合ってもらう、自分を見てもらうことも大切にしたいと思ったからです。


 こうやって、1つの単元をふりかえることはしんどいですね。それは、うまくかかわれていない自分を見つめ直しているからだと思います。

 特に、一人ひとりが学んでいる過程を大切にできていないんじゃないかと思いましたし、自分は、結果の部分を中心に見ているのではないかと思いました。

 一人ひとりが1時間の学習を終えて出す「ふりかえり」や「自分の考え」は大切です。そこにその子なりの考えが表現されています。ですが、その考えに至る過程をもっと追いかけることができると、自分のかかわり方も全体で何を取り上げるかも変わってくるのではないかと思いました。

 3学期の単元でもふりかえることを続けていきます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?