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生物と非生物の微睡み

私たちは普段、何かを見る基準の一つに「生物」か「非生物」というものがある。それは無意識のうちに行っていたり、時には意識的に行うと思う。

私たちの目は、3次元空間を2次元として捉え、その情報を神経細胞を通して脳へと伝達する。その後、それに該当するラベル(例えば犬、りんご、コップなどあらゆる概念)と認識される(機械的に見れば、ラベルを出力するとも考えられる)。

その中で、「生物」と「非生物」の微睡み(まどろみ)となる瞬間は存在するだろうか。一見、我々は生物と非生物を完全に二分化していると思われるが、私はその瞬間は存在すると考える。

例えば、これは犬の写真であるが、これを目で捉えたとしよう。犬というラベルを出力させるには、情報を曖昧にさせれば良いと考えた。

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すなわち、このように解像度を下げて(ぼけさせて)みた。これはちょっと考えれば「犬かな…」とわかるかもしれないが、もっと解像度を下げると「岩かな…」などの生物として捉えられない可能性が出てくる。これは重度の近視の人や、涙で視界が悪い時など、日常的に存在しうる状況である。

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また、全体的に暗くして、コントラストを低くしてみた。真っ黒に見えるかもしれないが、よく見ると「犬らしき…」ものが見える。初見でこれを犬として捉えるのは難しいのではないだろうか。もしかしたら、夜道を歩いている際あなたも「あれ犬かな…それともただの石か?」なんて状況に遭ったとこがあるのでは。

ちなみに私は臆病なので、暗闇に人らしきものが見えたり、大きな動物らしきものが見えてしまうと早足で帰宅してしまいます笑。

暗くした犬png

このように、視覚的情報を削っていくことで、生物と非生物の微睡みを生み出すことができる。

「人間は優れたコンピュータ」なんて言葉をよく耳にするが、私たちは今まで目で見たものは全て違う2次元データであるのにも関わらず、正確に認識している。例えば、今まで見てきた猫は全て違う個体あるいは角度である。にも関わらず、瞬時に猫と認識できる。

データサイエンス的に考えると、何らかの処理の後、予測確率が一定値を超えたらそのラベルを認識していると考えられる。例えて簡単いいうと、目の前にいる物体を猫と予測する確率が90%以上なら、猫で間違いないと認識しているということである。

そうなると、生物を認識するAIは常に微睡みの中でゆらゆらと判別していると考えられ、生物を認識することが非常に奥ゆかしく感じるのではないだろうか。


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