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vol.6 『組織が崩壊する時、社員は何を思っているのか?』

■今回の課題図書

『成長企業が失速するとき、社員に何が起きているのか?』/スティーブ・バッコルツ、トム・ロス・ウィルソン・ラーニングワールドワイド著

■ 『成長企業が失速するとき、社員に何が起きているのか?』を読んでの学び・感想

昨今、「エンゲージメント」という言葉をよく聞くようになり、割と馴染み深くなってきたけど、本当のところ、その意味はよく分かってなくて、やる気とか忠誠心とかぼんやりとしたイメージでしか理解してなかったけど、体系立てて理解できた。
事業がうまく行ってるときはみんなやる気に満ち溢れている(ように見える)けど、ある意味での変化が起こったときに、社員がどう捉え行動するのかにその組織の本質が現れるというのは、自分の過去の経験を思い返してみても納得感があった。
感想・学び

■はじめに

今回は組織について。
自分自身も、前職の時に一社員の立場として、M&Aを経験し、組織の変化をつぶさにみてきたので、個人的には興味のあるテーマ。

■今回の問い

『組織が崩壊する時、社員は何を思っているのか?』
今回の問い

過去の自分の経験から、当時から企業というのは生き物のように社員の感情を反映して変化していくものだな、と思っていて、企業の大きな変化のタイミングでは、組織内ではどのようなダイナミズムが働いており、どういった反応が起こるのかというのが気になっていたので、今回の問い。

■エンゲージメントの定義

「エンゲージメントの定義は何か?」と聞かれてすんなり答えられる人はどれくらいいるでしょう。

多くの人は、エンゲージメントのイメージはなんとなくわかるけど、定義について明確な答えを返せないのではないかと思います。自分のその一人ですが。

著書によれば、

「エンゲージメント」=肯定的な見方×大きな自由裁量のエネルギー
著書より

どういうことか。

要するに、企業に何かしらの変化があった時に、社員は、まずその変化をポジティブかネガティブを捉える。そして、その感情に対してどのくらいのエネルギーを発揮するか、ということを社員が自分自身で決めている。

つまり、変化に対して、社員がポジティブに捉えればエンゲージメントは上がるし、ネガティブに捉えれば逆にそれは下がる。そして、その度合いは社員自身の組織への愛着だったり、変化への賛同の度合いでエネルギー量が変わってくると。その合算値としての全体的なエンゲージメントがあるわけです。

■過去の実体験

自分も前職のベンチャー企業で、社員の立場で、企業買収を経験しました。入社して、新卒3年目くらいでしたかね。

当時、いくつかの部署のマネージャー的な立場でやらせてもらってました。

ある日、全社員が集められて、当時の代表から会社がとある上場会社のグループ会社になった、つまり買収されたのだと報告がありました。

突然のことで涙を流す社員の方もいましたし、反応はさまざまでした。

自分自身はと言うと、一言で言うと「ホッとした」という気持ちと「ワクワク」の気持ちが半分半分くらいだった記憶があります。ネガティブな感情は一切なかったので、その瞬間は涙を流している同僚の気持ちはよくわからなかったですが。

■当時の自分の感情

「ホッとした」のは、重圧からの解放みたいな気持ちが強かったですかね。当時の自分は、自らの力不足で、自分自身が自分の率いるチームが良くできる未来を想像できずにいました。会社が変わることで、もしかしたら何かきっかけが見つかるかもしれないと思っていました。

また、「ワクワク」というのは、上場企業のグループになることで、今までとは違う景色が見ることができそうなことに楽しみという感情でしょうか。

■当時の自分自身のエンゲージメント

当時の自分は、会社の買収に対してポジティブてま、合併後の会社が良くなるように、できるかぎりのことはしたかったし主体的にアクションはしていたつもりでした。なので、先ほどの定義からすると、エンゲージメントとしてはとても高い状態だと思います。

■当時の組織全体のエンゲージメント

ただ、当時の組織全体がどうかと言うと、決して高い状態ではなかったと思います。

実際、何割かの社員は辞めてしまったし、色んな人と話してみても、必ずしも好意的な見方ばかりではないことは感じていました。

ただ、残ることを決めた社員たちのエネルギー量は総じて高かったですし、むしろポジティブに捉える社員と、そうでない社員を選別して前に進むイベントとしては、当時の会社のタイミングとして効果的だったのかもしれないですが。

■エンゲージメントが低下している企業で起こっていること

では、ここからまた理論的なお話に戻るのですが、このような変化にある組織では何が起こっているのか。

共通点として、多くの従業員が変化に対して「喪失」を感じているのだと言います。

例えば、買収を機に大切な仲間との別れがあった。会社ビジョンが変わったことで自分の生きる意味を見失った。経営者が変わったことで、経営方針に希望を見いだせなくなったなど、人によって様々な感情がありそうです。

そのように考えると、当時の同僚の涙も理解できる気がします。

また、それらの「喪失」は4つのパターンに分けられると言います。

①方向性の喪失
②満足感の喪失
③アイデンティティの喪失
④エンゲージメントの喪失
著書より

この中で、「エンゲージメントの喪失」が反応としては最も多いという。つまり、変化に対して肯定的でなくなるか、もしくは、肯定的だったとしても、エネルギー量が低下するのです。

■リーダーの役割

このように、変化の場面で、リーダーは「喪失」に効果的な対策をとることが必要となるのです。

その中でも特に、重要かつ難しいのが、④エンゲージメントの喪失であり、これを取り戻すためには長期間の取り組みが必要となるようです。逆に、このときに効果的な対策が打てないと組織が崩壊していくことになる。

■どうすればエンゲージメントが回復するのか

どのようにエンゲージメントを回復するかの詳細は著書を読んでいただきたいですが、大枠としては以下の7つ。

①リーダーシップを発揮する
②未来の可能性を感じさせる
③当事者責任意識を醸成する
④つながりを感じさせる
⑤一体感を感じさせる
⑥存在価値を認める
⑦「エンゲージメント」のカルチャーを確立する
著書より

これらの対策を長い年月をかけて行い、ようやくエンゲージメントは回復していきます。一朝一夕ではエンゲージメントは回復しない。

■まとめ

このように、変化の局面で、従業員が、変化に伴う「喪失」を感じるほど、エンゲージは低下しやすくなり、その時にリーダーがどう立ち回るかで組織が良くなるか否かが決まる。今後、仮に従業員を雇うようなことがあるとしたら、リーダーの立場で、組織の変化を経験することもあるかもしれないので、著書の内容は血肉にしたいなと思いました。

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