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インド映画の歌姫、Shreya Goshalのコンサートに行った!

2月終りの週末、日本では世界ふしぎ発見でインド特集があり、ラモジフィルムシティやラージャマウリ監督インタビューに加え、インド仏教の指導者佐々井秀嶺師まで出てきたという豪華版であったらしい。いいなー。

一方、私たちは、インド映画音楽における女性プレイバック(訂正済)シンガーの第一人者、シュレヤ・ゴシャル(Shreya Goshal)のコンサートのため、ムンバイの会場に行った。

シュレヤ・ゴシャルとは誰か?プレイバックシンガーとは何か??山口百恵とは関係があるのか???

シュレヤ・ゴシャル様ぁ!!!!

Shreya Goshalは1984年3月12日、ウエストベンガル州(彼氏の生まれ)に生まれ、その後父の仕事の関係でラジャスタン、ムンバイに移り住む。学校に通いながら音楽教育を受けた模様。16歳で歌のオーディション番組(Sa re ga maという名前で、インド音階で「ドレミファ」に相当)に出たところ、サンジャイ・リーラ・バーンサリ監督に見出されて、同監督のヒット作『Devdas』(2002年)の歌を録音。その後は目覚ましい活躍をして現在トップの人気と実力を誇る大スターに…

プレイバックシンガー

…というのは、映画の吹き替え歌手のこと。インドの映画では歌のシーンは非常に重要で、何かもうそれが俳優自身の歌唱かどうかより「いい歌唱であるか」の方がずっと大事だと考えられている(のだと思う)。インド映画の歴史のある時点でみんな吹っ切れてしまい、歌のシーンだけを歌う専門の歌手という仕事が確立された。第一人者中の一人、インドのナイチンゲールと呼ばれた女性歌手ラタ・マンゲシュカル氏は昨年惜しまれて亡くなった。

インド映画史に名を刻んだ歌手たち。年季が入ってます。

最近は俳優自身が歌うのも見かける。アユシュマン・クラナは好んで歌っているように見えるし、何気にNTRjrとかラームチャランも歌を吹き込まされた模様。シュラッダーカプールやアーリアーバットも歌はいいので、私は彼女たちの歌も聴きたい。

コンサート、行ってよかった…

さてコンサートなんだけど…立ち見席を買ったのでホントに体力もつのかな?と不安になったけど、一曲目から知ってる歌でうれしかった!

バジラーオとマスターニー』から代表曲、『Deewani Mastani』からコンサートが始まったぎゃああああ

日本にいた頃この曲を家で流しながら幾度となくマスターニーの真似をして舞った(侮辱)動画が…友達のスマホに残っているはずなの…

やっぱりね、知ってる歌が出ると元気になるよね!!!そして何となく歌詞まで歌える曲では、インド版『スター誕生』な映画『Aashiqui 2』から、『Sun rahaa hai』(聞こえていますか)が!これは作中、一応男の歌なんだけど、同じ映画の中でシュラッダー・カプールが観光地のバーで歌ってるのよ。そっちはシュレヤ・ゴシャルが吹き替えていたんだね。

不幸が滲み出ているのと清純さは紙一重であることを体現して来た女優、シュラッダー・カプール。キャリア10年目辺りのシュレヤ・ゴシャルの無垢な声がドはまり。

他にも、『パドマーワト 女神の誕生』から『Ghoomar』

昨年のヒット曲で、映画『Mimi』の劇中歌『Padam Sundari』も!盛り上がったね!!!

※映画『Mimi』はNetflixで英語字幕で観られるはず。コメディだけど内容はインドにおける代理母ビジネスの一側面を描いておりまあまあシリアス。

他にも『バジラーオとマスターニー』から「Pinga」、他に、先輩歌手のラタ様へのトリビュートとして彼女の曲を数曲メドレーで。私は辛うじて聞いたことあるなあぁ…位の歌ばかりだったけど、周りは大いに沸いていた。

インド人は結局インドが大好き!

インド音楽の今の在り様というのは、アメリカンポップスの影響を多大に受けた系統もありつつ、シュレヤ・ゴシャルのような映画音楽の系譜では未だ(と言えるのは、日本が辿ったポップ音楽の変化が激しすぎるからだと思うが)、インド・クラシック音楽の系譜が根強い(ちなみに、クラシック、とインドで言ったら、インドの伝統音楽のことであり、ヨーロッパのクラシックのことは意味しない)。実際、上記の映画『Aashiqui 2』を初めてDVDで観たとき、ちょっと驚いた。同作は一応ポップ歌手の物語なんだけど、声の出し方、歌詞の内容が明らかに伝統音楽に寄っていたから。日本だったらあれね、演歌みたいなジャンルかもしれない。伝統音楽の発声や音階や楽器は使いつつも、内容はその時代その時代の日本の歌であったような。いつしか日本のポップ音楽は、演歌、歌謡曲を経由して、日本的な音階を切り離していったんだと思う。

一方で、その日本的音階は我々を常に誘ってもいる。私はホラー映画ファンとして、日本人のオカルト的な事物に対する感性がはっきりと先祖返りをしていると感じているが、音楽についてもそうなっていく(或いはもうなっている?)のではないかと思っている。

私はこれがインド人の自文化に対する自己充足的な感性の現れでもあると思うのだが、若者たちも、インドらしい(と私は感じる)音楽を強く支持している。何度かこちらで活躍するロックバンドのライブも聴いたことがあるが、歌手は明らかに伝統音楽の素養があると感じた。日本もそういう時代があったのだと思う。先生について歌を習い、独り立ちしていくような時代が。

ただ、ちょっと面白いなと思ったのは、途中で男性シンガーを呼んでデュエット曲を歌っていたときに、何度か和声を用いたこと。インド音楽の歌唱は殆どの場合が単旋律で、男女コーラスしても全員で同じ旋律を歌うことがほとんど。和声なんてほとんど使わない。そこが面白いと思った。

余談だけど、最近『ナートゥ・ナートゥ』でゴールデングローブ賞を受賞したインドの作曲家のキーラヴァーニの音楽は、結構な割合でコーラスに和声を用いている。これとか。

※私の耳には和声コーラスに聞こえるんだけど、そうだよね?

インドオネエ、Ghoomarを踊る。

さて、コンサートの最後(だったかな!)では、インド各地の言語でリメイクされたホラー映画、『Bhool Bhulayaa』の主題歌、『Mere Dholna』をものすごく高い技巧で歌って下さった!!!大興奮よ!!!

ちなみにこの曲の前に歌った『パドマーワト』の『Ghoomar』のとき、目の前の空いた空間で、一人の小太りな若い男が踊り始めた。これは、ディーピカー・パドゥコーンという当代ナンバーワン女優が演じる姫が、ラジャスタンにある王国の第二夫人として嫁いでくるときの踊りで、華やか且つどこか勇壮な女性のダンスだ。これを相当うまく踊りまくるって(しかもしらふで)、オネエに間違いないと思う。ものすごくうまかった。触発されて他の女性(多分彼女もダンサーだろう)まで踊り出して面白かった。何より、ああやっぱり、世界中のオネエが惹かれるものって同じなんだ…と実感したのはうれしかった。

さて、3時間ちかいコンサートも終わり、疲れたもののとても満足した。お腹も空かず、そのままホテルに帰って寝た。彼氏はロール(パンで肉類を丸めた食べ物・旨いのよ)を食べていた。

いい日だった!!!同じ週(ってか今週)の中盤にお腹を壊して酷いことになってしまって、かなり絶望的だったのだが治ってしまった!うれしいね。ちなみに、恐らく原因は、ベジタリアンレストランのめちゃくちゃ重い食事のせいでお腹が弱ったんだと思う。インドのベジタリアンが全然痩せてないの、分かる。炭水化物を炒めたり揚げたりした後炭水化物に混ぜてせかせかと食べ、ヨーグルトで流し込み、その後牛乳と砂糖でできたお菓子を頬張ってたら、いくらアルコールゼロで肉卵魚食べなくても太るわ…。

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