今週の映画 マラヤーラムのお葬式、韓国版『リング』リメイク

今週の作品もユーチューブで観た!いいのかわかんないが許してくれぇ

マラヤーラム語映画の魔術師の映画!

まずはインド、マラヤーラム語映画の鬼才、Lijo Jose Pellissery(何と読むのかいつも確認する。リジョー・ジョーズ・ペッリシェーリ)監督の『Ee. Ma. Yau』。

うちで酒に酔って踊っていたらそのまんま突然死した老人。その息子は父との約束のためにまともなお葬式をしようとするのだが、色々な邪魔が入り、ちっともうまく行かない。

それだけといえばそれだけなんだけど、途中、墓堀人が墓を掘り始めた辺りからいきなり勢いづいて来る。

ヒンドゥー教徒はお墓を作らないのでどこに埋めるか?は全く問題にならないのだが、彼らはクリスチャンである。独特の聖歌や儀式のやり方など、その点から観ると興味深いのかもしれない。エンディングの歌は聖歌のようだが、インド音楽にしては極めて珍しい、和声が用いられている。

その都度その都度の不慮の出来事の連鎖に翻弄される私達の人生は最後の最後まで読めない。死んだあとさえも。人口過剰気味の農村で、インド的な物事の進まなさに段々引き込まれていく。

韓国版『リング』が面白かった!

韓国版『リング』リメイクも観た。やっぱり脚本がしっかりした作品なんだなと思ったが、冷たい空気感がよかった。確かに例の世界が震え上がったシーンの出来はそこまででもないものの、映像もよく、しっかり作られている作品と見えた。

シンウンギョンさん。今調べたらかなりの経歴の持ち主で好きになった…

本作では主人公は日本版と同じくシングルマザーの記者だけど、本作の高山に当たる人物は、変死した四人の若者の死因を疑う男性医師。これが現代の基準ならば、きっと

このマンスプレイニングハラスメント男ォお

と皆がキレるであろうお手本のような歪み男!

ハラスメント男が人をなめ腐ってるときにやるポーズ!斜に構え過ぎて誰からも好かれない!弟子の話は最後まで聞かないッ
そっちは死体が出ていく方だぞ!この種の男は必ずタメ口。口を開けばいけ好かないことを言う。

この男と主人公の間には、突き放した協力関係が出来上がっていくよ!!それが意外な感じで対等な関係を構成する伏線となっているような気がして、この男が段々と嫌ではなくなっていくのね。まぁそれに、オリジナル版観てれば彼がどうなるか分かってるってのもあるだろう。

1999年の韓国は、日本文化開放元年とも言える状況になっていた。製作時期を考えると、日本でリングが公開されてすぐリメイクされている。恐らく日本版の公開はまだだったのでは。このプリクラやフロッピーディスク💾の懐かしいこと!使い捨てカメラも使われている。

プリクラ。手に持っているのはポケベルです!
主人公も呪いを確かめるためにプリクラを撮る!

内容の一部は原作の設定を引き継いでおり、日本版の映画版とオリジナルビデオ版の両方を思わせる。原作の設定を引き継いだことにより、本作は偶然にもセクシャルマイノリティーホラーの先駆けのようになっている。恐らく今このテーマは、様々な配慮や論争の影響でこの形では描けないかもしれない。

冒頭で主人公がインタビューするアーティストが両性原理について語っている!

色々とあって覚悟を決めるしかなくなった主人公は、それまでは黒い色一辺倒で化粧も薄かったのが、突如としてファム・ファタール的な、白のジャケットに派手な化粧をして敵地に赴く!!何と言ってもリング事件を経て、それまでとは別の、更に強くなり、厳しい決断も下せる人間になったのだから。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

そして意外や意外!貞子に当たる女性パク・ウンソの役にペ・ドゥナが出ていた!これが映画デビューみたいだね。この翌年にポン・ジュノ監督『ほえる犬は噛まない』に出て深い印象を残したペ・ドゥナ。今や海外ドラマにも呼ばれる大女優になった。言うなれば、日本版の『リング』冒頭に、まだ若い竹内結子が出ていたのと似ているかもしれない。

少ない割になかなかいいセレクションだったなと思う。どういうわけか毎日酷く疲労していて、平日は夜映画を観る気力もなく、本数をこなせない。

この本、和訳されたんだと興奮!ロビンウッドの本と併せて読むべきと思っていたから

日本では面白そうな本が次々と和訳されて、映画もどんどん公開されているのに、私はそれらに接することが出来ないし、インドにいたって、英語字幕無しのヒンディー語映画を観ても私は今ひとつ分からない、英語字幕のある他の言語の映画は彼氏が分からんので軽い気持ちで観に行くことはかなわず…という中で鬱々としがちだけど、時々こうして、本数は少ないなりにリフレッシュできるような作品を見られるのは本当にありがたい。

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