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大人の厨二病患者、ガブリエーレ・マイネッティ監督最新作『Freaks Out』!!!


2003年に『シカゴ』を観て以来、私は長らくレネー・ゼルウィガーの影を歩いていたわけだが(まあ今も)、2017年に日本で公開された『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』に出会って、また私の中で新しいドアが開いた。

3回も劇場に観に行った映画は、本作と『シカゴ』と『バーレスク』だけ。ってオネエ寄り過ぎwww

さて『Freaks Out』の予告編はこちら。

イタリア語がさっぱり分からないけれども、新作が待てない大きいお友達のたまり場、IMDbによれば…

Matilde, Cencio, Fulvio and Mario are family when the 2nd world war hits Rome. Israel, the owner of their circus, disappears in the attempt to find a getaway overseas for them all. The four friends are in disarray. Without anyone looking after them but above all, without the circus, they lose their social placement and they feel only as sideshow attractions on the loose in a city at war.
拙訳(マジで拙いw):第二次大戦がローマに及んだとき、マティルデ、チェンチオ、フルヴィオとマリオは家族であった。彼らが所属するサーカス団のオーナーのイスラエルは、全員のため海外への逃げ道を探るため、姿を消す。4人は困り果てる。面倒を見てくれる者無しには、またそれ以上にサーカス無しには、4人は居場所を失い、戦場と化した街を逃げまどう見せ物一座でしかないからだ。

予告編からしてもうかなり感動し始めている。『皆は…』の主演クラウディオ・サンタマリアを再びキャスティングしているのも面白い。

ガブリエーレ・マイネッティ監督の世界は、どことなく厨二的な空気が漂っている。が、力なくか弱い「自分は何物でもない」と感じる普通の人が、あるきっかけを得て、何者かになっていく物語は魅力的で力強い。短編の『タイガー・ボーイ』(『皆は…』のブルーレイに収録)は、非常に痛々しいヒーロー誕生譚であり、悲壮だ。『ターボキッド』的な部分もありつつ、それ以上に現実のイタリア社会が経験している「痛み」をはっきり描き、それに寄り添おうとしているように見える。「こうだったら」「こうなれたら」という皆の心の奥底にある小さい光に希望を見出す物語としては、アニメ『美少女戦士セーラームーン』の最終シーズンである『セーラースターズ』、『ザ・マミー』(イッサ・ロペス監督)や『ローライフ』(ライアン・プロウズ監督)等に通じている。


そして、ヒーローの孤独な闘いは、終わりなき贖罪なのだ、という重さも描いている。それは大人として何かをなすべきだと感じながら、何もできはしない自分を奮い立たせ、ときに自分に幻滅させる力がある。

だから『皆は…』を何度観ても、涙が出て来ることはない。「涙は違うだろう」と私の中にある、小さい光が言っているような気がする。何故かというと、最後、エンツォを捨てて鋼鉄ジーグとなった男が飛び込んで行く先には、現実の世界が待っているからだ。そしてエンディングの歌はこう語りかける:「お前ならジーグになれる」

今回も、マイネッティ監督は、大人として何かをなすべきなのではないかと感じる、臆病で自信の無い沢山の大人を激励してくれるものと期待している。

早く観たいが、2021年にイタリア公開のあと、日本に来るのはいつ頃だろう。そして、インド等で観られるときは来るのかなぁ…。

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