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深刻な危機に直面しているEU(The Economist 2020年5月14日版)

The Economist 2020年5月14日版から、「The European Union is having a bad crisis~By failing to face up to its difficulties, the EU only makes them worse~」の記事を取り上げてみたい。内容は「EUが今まさに直面している危機」についてだ。

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イギリスが正式にEUから離脱した(Brexit)ことは記憶に新しい。
そして、何といってもイタリアやスペインをはじめとしてヨーロッパでは、コロナウイルスの大きな被害が出た。

今、まさにEUは危機的状況なのだ。

EUは過去にも危機的状況を乗り越えてきたが
今回は「3つの観点」で、よりEUの結束が求められるようだ。

(ⅰ)市場:比較的裕福なドイツがどこまでEUの他国を支援できるか
(ⅱ)単一通貨(ユーロ):増加し続ける債務をどのように対処するか
(ⅲ)法律:ECJ(欧州司法裁判所)がどこまで基盤を保てるか

コロナウイルスの影響で、これらがより鮮明に危機として表れてきた。

重要英単語と基本概念の整理

■beacon(標識)
■constitutional(法律)
■in principle(原則的には)
■cushion(緩和する)
■in effect(実際には)
■treaty(条約)
■erosion(浸食)

■transfer union
・直訳すると「移転組合」
・EUにおいて、「比較的裕福な北に位置する国」が、「比較的裕福ではない南に位置する国」へ支援する構図
(構図):「北に位置する国」⇒(€)「南に位置する国」

■European Court of Justice
・欧州司法裁判所
・EUの法律を司っている

記事の簡単な要約

EUの起源は、約70年前フランスの外相ロバートシューマンによって提案された。
元々は、「石炭と鉄鋼のコミュニティ」であった。

それ以降、ベルリンの壁崩壊経済的な危機などがあったが
共産主義に苦しんだ国々が参加することで拡大していった。
ヨーロッパは「リベラルな価値の標識」「資本主義の規範」である。

しかし、コロナウイルスのパンデミックによって
経済活動だけではなく、政治的・法律的にも危機を迎えている。

これら3つの観点で、EUは結束し続けることができるのかが焦点だ。
(ⅰ)市場:比較的裕福なドイツがどこまでEUの他国を支援できるか
(ⅱ)単一通貨(ユーロ):増加し続ける債務に対処できるか
(ⅲ)法律:ECJ(欧州司法裁判所)がどこまで基盤を保てるか

(ⅰ)市場
ドイツやフランスが、EU内の金融危機に陥っている国を救うための動きをしている。
ただ、もちろんこれには限界がありどこまで支援できるだろうか。
(詳しくはこちら⇒ヨーロッパにおけるコロナウイルスと政府・仲間への信頼度の関係性

(ⅱ)単一通貨(ユーロ)
債務は急激に増加している。
EU圏内では共通の通貨で借入しているが、自己資金で賄うため、これらの債務は持続不可能なレベルに上昇する可能性がある。

(ⅲ)法律
EUの法律を司るECJの基盤が崩れる可能性がある。
ECJに対する異なる考えが出てきているためである。

エディターいわく改革を進めていくためには、「タブーとされている条約を変えることやリーダーのスピーディーな対応が求められる」とのことだ。

今までもEUは、条約を繰り返し変更して成長してきた。
ただ、2007年以降は大幅な改正をしていない。
今こそ、EUの改革が必要な時期である。

自身の見解

EUでは、経済格差が大きい。
コロナウイルスのパンデミックによって、さらにそれが広まる可能性もある。

また、どさくさに紛れて民主主義が崩れつつもある。
ハンガリーでは独裁主義が進みつつある。
(詳しくはこちら⇒パンデミックの権力奪取

これまでも危機を乗り越えてきたEUだが
コロナウイルスのパンデミックで、どのくらい結束できるのかはわからない。

しかし、急速な改革が必要であることは言えそうだ。

まとめ

EUを見ていると、自身が参加しているコミュニティを連想する。

人と人が助けあることは好きだが、依存目的の関係性は好きではない。

EUの経済格差が広がると、健全な依存関係が保てないのではないか。
そう感じてならない。

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