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ヨーロッパにおけるコロナウイルスと政府・仲間への信頼度の関係性(The Economist 2020年5月2日版)

The Economist 2020年5月2日版から、「Infectious suspicion」の記事を取り上げてみたい。 テーマは、直訳すると「感染の疑い」だが書かれている内容は「ヨーロッパにおけるコロナウイルスの感染・致死率と政府・仲間への信頼度の関係」について。

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「政府や仲間への信頼度が高い北西ヨーロッパ」と「政府や仲間への信頼度が低い南東ヨーロッパ」の比較。

コロナウイルスの致死率だけを見ると、スウェーデンやオランダ(北西ヨーロッパ)は比較的高い。しかし、厳しいロックダウンをしていないこともあり経済活動はそれなりに行うことができている。

南東ヨーロッパは厳しいロックダウンの実施、また医療システムへの信頼度の低さ(自分の身は自分で守らねばならないという感覚)を理由に自粛が進む。結果として、致死率は比較的低水準。

記事にも出てくるが、「freedom under responsibility(責任の下での自由)」、民主主義とは何かというのを考える良いきっかけになった。

基本概念の整理

■ヨーロッパ各国の位置関係

・スウェーデン、オランダ、ドイツ、スペイン、イタリア、デンマーク、ルーマニアらの国が記事に取り上げられている。

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■pandemic(パンデミック)

・感染症や伝染病が世界規模で広がること。

・似て非なる言葉のepidemic(エピデミック)とは、パンデミックに比べて規模が少し小さいときに使用する。

■communism(共産主義)

・政治・経済分野での思想で、財産の一部または全部を共同所有することで平等な社会をめざすこと。

■dictatorship(独裁主義)

・政治において、特定の1人や少数の者に権力が集中し、そこでの意思決定で国家を支配する思想。

記事の簡単な要約

ヨーロッパにおける政府と国民の関係性、それと関連する国民一人ひとりのコロナウイルスに対する意識について理解できた。

■政府や仲間への信頼度が高い北西ヨーロッパ

信頼度が高すぎるとかえってそれが「誤った安心感」を与えるとエディターは主張する。「誤った安心感」は、例えば国内の医療システムが十分に機能していると思い込んでしまうことにつながる。結果的に、国民の自粛は励行されず、感染は広がってしまうというサイクルである(実際に、スウェーデンやオランダのコロナウイルスの致死率はそこそこ高い)。

■政府や仲間への信頼度が低い南東ヨーロッパ

信頼度が低い国々は、厳しいロックダウンをしている傾向が強い。そのためある程度の感染封じ込めはできている。さらに、国内の医療システムへの安心感は低いことなどを理由に自粛が加速する。結果的に、感染はある程度おさえられてる。

記事には、東ヨーロッパのルーマニアの例が取り上げられている。もともと残忍な共産主義的独裁国家であったルーマニア。政府や自国の医療システムへの信頼は極めて低い。また仲間への信頼も低い(きちんと手を洗っているのかという疑問を持ったりする)。そのため、自分の身は自分で守るという意識が強まり、結果として感染を抑えることができている。

ただ厳しいロックダウンは経済活動を止めるリスクは高い。経済活動を止めることにより、食料不足・不満やストレスから犯罪率も高まる危険性も高い。よって、コロナウイルスの致死率が低いから南東ヨーロッパは成功したと断定することはできない。

政府と国民はどのくらいの信頼度で結ばれているのが良い状態と言えるのか。また、公衆衛生だけではなく経済活動という観点からみると、パンデミックに対してどのように対応していくべきなのか。

自身の見解

政府と国民の信頼度について考えたい。

この記事から感じたことは過度の政府への信頼は依存にもつながるということだ。「政府を信頼しているから大丈夫」という思考停止状態になっては危険が伴う。

やはり民主主義においては、「freedom under responsibility(責任の下での自由)」が大前提にあるのかと思う。

まとめ

ヨーロッパにおける政府と国民の関係性について、とても良い勉強になった。これを日本についても考えてみたい。

日本の政府への信頼は高いとは言えない。一方国民は政府に頼り切っているような構図も見て取れる。

我々は、「freedom under responsibility(責任の下での自由)」となれているのだろうか。

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