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パンデミックが収まったら、移民を再び動かせ(The Economist 2020年8月1日版)

The Economist 2020年8月1日版から、「As the pandemic recedes, let migrants move again」の記事を取り上げてみたい。内容は「コロナウイルスのパンデミックと移民」についてだ。

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コロナウイルスのパンデミックによって、多くの国が水際対策を強化している。これはコロナウイルスをブロックする意味では有効だ。

しかし、コロナウイルスのパンデミックを「移民排除を正当化する理由」に使用するのはいかがなものか、というのが記事のメッセージである。

移民は職場にダイバーシティをもたらし、イノベーションの助けになる可能性もある。また、地域の仕事を支えている側面もある。実際に日本人のインフラになりつつあるようなコンビニの店員は、多くが移民である。

もちろん移民の受け入れに対しては、デメリットもあるだろう。受け入れたくないという感情になることもよくわかる。

記事によるともともとその地域に住んでいる人にとって、移民を受け入れることは2つの恐怖と関連しているようだ。
(1)次のパンデミックの感染源になるのではないか
(2)仕事を奪い失業率を高めてしまうのではないか

少子高齢化社会の日本では、移民については、メリットとデメリットをしっかりと見つめつつ、どうするかというのをしっかり考えないといけない。

重要英単語と基本概念の整理

■重要単語
・obliterate(~を壊滅させる)
・blight(障害)
・defer(~を延期する)
・harass(~を悩ます)
・curb(~を抑制する)

■基本概念
・難民(refugee)
戦争や紛争、人種差別、宗教や政治的な迫害、飢餓、伝染病などの理由で、強制的に追われた人々を指す 

記事の簡単な要約

コロナウイルスのパンデミックによって、国境を越えた移動の多くがキャンセルとなり、様々なビジネスに悪影響が出ている。UAEにおいては、職を解雇された移民は自国に戻ることもできず立ち往生している。結果として、家族への仕送りのためのお金を使わざるを得なくなったり、物乞いをすることで逮捕されたりしている(※UAEでは物乞いは犯罪)。

コロナウイルスのパンデミックは、すぐに解決するような問題ではないが、「そろそろ移民の受け入れについて積極的にならないか?」というのがエディターの主張である。

その地域に住んでいる人にとって、移民を受け入れることにマイナスなイメージを持っていることが多いようだ。具体的には2つの恐怖心がある
(1)次のパンデミックの感染源になるのではないか
(2)仕事を奪い失業率を高めてしまうのではないか

ただ、これらの2つの恐怖心は、移民受け入れをしないための説得力のある理由にはならない。

実際に移民は職場にダイバーシティをもたらすし、地元の仕事の下支えもしている。長期的に見れば、むしろしっかりとした移民受け入れのための基盤を作るべきなのだ。

また移民の方々は、一般的な観光旅行者などとは異なり、入国の際に2週間の隔離にも積極的に対応するだろうし、ソーシャルディスタンスや手洗いうがいといった予防策にもしっかり対応するだろう。

しかし、トランプ大統領をはじめ世界各国で移民受け入れ拒否の政策があいついでいる。アメリカは結果として優秀な人材を確保できなくなっている現状にある。南アフリカは移民が所有する店を閉鎖したことで、市民は遠く離れたお店まで買いに行かなければならず、これがかえってコロナウイルスのパンデミックを引き起こしているのではとまで言われている。

移民には良い面がある。医療従事者は移民が多く、オーストラリアでは53%、アメリカでは29%の医者が移民である。また、アメリカの医学および生命科学者の約40%は外国で生まれているし、アメリカの大手テック企業の半分は、第1世代または第2世代の移民によって設立された過去を持つ。

日本は、移民労働者と呼ばれる外国の「研修生」の転職を認めているし、イギリスは300万人の香港人の受け入れを表明している。

移民とは、①貧しい人々を持ち上げ、②豊かな国を活性化させ、③新しいアイデアを世界中に広めることができる強力なツールであることを忘れてはいけない。そして、コロナウイルスのパンデミックを理由に移民の受け入れを排除してはならないのだ。

自身の見解

日本は少子高齢化社会と対峙する中で、移民というツールを使う選択肢をとってもいいと思う。ただ、日本人は相当感情的なブレーキがかかると考える。ただでさえ、働くパパやママ、ジェンダーギャップ、LGBTなどの対応が遅れている。

外国籍の方が職場に増えた場合、ストレスを感じる人は少なくないだろう。

ただ、日本は失われた20年と言われているように、なかなか世界に向けてイノベーションを発信できていない。移民を受け入れたからイノベーションが生まれますというほど単純なものでもないが、一つの起爆剤として考えても良いのではないだろうか。

おわりに

僕はマイノリティと言われている方々に対して、しっかりと目を向けていきたいと思う。移民を受け入れる際は、その方々にとって生活しやすい・仕事しやすい日本を作りたいなと感じている。

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