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コロナウイルスは大学をどう変えるのか(The Economist 2020年8月8日版)

The Economist 2020年8月8日版から、「Covid-19 will be painful for universities, but also bring change」の記事を取り上げてみたい。内容は「コロナウイルスがもたらした大学への苦痛と変化」についてだ。

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コロナウイルスのパンデミックにより、各国が人の移動を制限している。特に国際的な人の動きは、明らかに変わった。

それが顕著に見えるのが、学生である。新興国の学生は、このような状況の中では、親のいるリビングでオンラインクラスを受講するか、そもそも研究時期を遅らせるかという選択を迫られている。

大学運営側にとっても、留学生の受け入れができない現状はとても苦しい。多くの大学は留学生を受け入れており、その中でも留学生比率が高い大学ほど運営が立ち行かなくなっている。

大学運営が立ち行かなくなった際、頼る先として政府がある。ここが1つのポイントになりそうだ。政府は大学に対して金銭的な援助はするが、その条件として国にとって有益な人材の育成を求めるだろう。今までと比べて、大学側に物言う政府が増えるという構図だ。

大学側としては、政府からの介入は避けたい気持ちもあるかもしれない。大学は、これまで大切にしてきた伝統を守りたいだろう。ただ、政府が介入することで、大学に良い意味での変化も期待できるかもしれない。

前回、移民に関するテーマの記事を書いたが、優れた人材を受け入れるという意味で、日本も大学の見直しが必要なのかもしれない。コロナウイルス感染防止のため、「授業はすべてオンラインにしましょう。」など思考停止の状態から抜け出し、次なる一手を考えるべきだ。

重要英単語

■重要単語
・upside(良い面)
・swanky(派手な)
・pile up(~を蓄積する)
・tertiary education(高等教育)
・recession(景気後退)
・catalyze(~の変化を促進させる)

記事の簡単な要約

コロナウイルスの影響で、多くの国境は閉ざされた。その犠牲者が、学生である。この影響は、学生と大学の双方に大きな困難を与えている。

学生は、親のいるリビングルームで授業を受ける、または研究時期を遅らせるなどの選択を強いられている。また、大学は多くの留学生を受け入れてきたところほど収入がなくなり運営が厳しくなっている。授業を再開する際には、コロナウイルスの感染防止にも気を配る必要がある。大学教育には、大きな変革が求められているのだ。

ただ、このような状況になって、良い面もある。それは、大学教育を見直し、学生と社会にとって本当に有益な学生を教育するということを再考できるからだ。

そもそも、大学教育は1995年を境にして、新興国の中でも一気に価値を増した。そのため、大学側もおしゃれなキャンパスを作るなどして留学生の受け入れに力を入れてきた。しかし、この状況が変わりつつある。西洋と中国の対立、また米中対立によって、中国の留学生を受け入れたくないとする国も増えてきたのだ。

政府は大学への反発を強めている。大学側としても、政府に対して大学の有益性を伝えることに苦労している。最近では、トランプ大統領の大学側への発言も目立っている。もちろん、政府はただの嫌がらせという意味ではなく、学生一人ひとりの生産性を高めたい意図はあるし、それを大学が遂行できていない部分もある。

さて、このような大学教育についてだが、大学で教育を受けることは学生にとって本当に有益なのかということも考える必要がある。 例えば、イギリスのIFS(Institute for Fiscal Studies)によると、1/5の大学卒業生は大学に行かないほうが返って収入的にも良かったという見解を出してる。昨今、コロナウイルスの影響による景気後退が理由で、資格を取ったり大学に行ったりしたい学生が増えているようだ。ただ、これは本当に意味があることなのかをしっかり考える必要がある。

大学にとって、留学生を獲得できない(しにくい)今、運営を続けることはなかなか厳しい。そのため、政府に頼り金銭的な援助をしてもらう必要がある。その際、政府はただ金銭的な援助をするだけではなく、大学側に対して学生教育の基準を要請するはずである。ここは大学教育の変革という意味においても、1つのポイントになりそうである。

また大学生活というのは、勉強をするというだけのものでもない。両親から離れて生活をすることや、友達を作ること、そして将来のパートナーと出会うこともあるだろう。

各大学は、この危機を乗り切るために、様々な施策を検討している。オンラインで他の大学の授業も受けられるようにする仕組みや、少人数でのディスカッションを可能にする施策なども整えようとしている。

大学は伝統を大切にしている。しかし、それは変化を拒むための理由として使われるものではないのかもしれない。このコロナウイルスのパンデミックによって、良い変化も生まれるだろう。

自身の見解

個人的には、オフラインでの大学生活は価値があるものだと思う。直接人と会って勉強したり、遊んだりする経験はとても大切である。

また、個人的に留学を考えているが、ぜひ妻と息子も連れていきたいと思う。大学がある国に住むことで、家族そろってその地域の文化を感じて生活もしてみたいからだ。

ただ、コロナウイルスに感染してしまっては本末転倒である。健康面と経済面の双方を考えることは難しいが、きっとこれは良い変化をもたらすものだろうと思う。

おわりに

大学で楽しかったことといえば、僕は授業や研究よりも、キャンパスライフだった。大学は楽しいことをするためだけに行くというわけでもないが、この楽しかったキャンパスライフというものは残したいと思う。

ただ、これはいずれ古い考えになるのかな…。そのくらい時代の変化も感じる。

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