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Netflix社の「否定的フィードバックを送り合う文化」に関する考察

NO RULES という「Netflixがどうやって成功してきたか」が解説されている本を読み、中でも「修正的フィードバックを送り合う文化」が面白かったので、纏めた上で最後に個人的な所感を述べたいと思う。(本書では「否定的フィードバック」と「修正的フィードバック」の2種類の表現があり、個人的には後者の方がしっくり来てるので本文では後者を使用します)

修正的フィードバックとは何なのか

仕事中におけるミスだったり、良くない振る舞いに関する指摘のことである。本書ではいくつもの例が挙げられているが、一例として「一緒に商談に出た上司が、ずっと苛立っていて携帯をちらちら見ていたので、その後の面談で指摘した」というものがある。

修正的フィードバックは仕事で必要なのか

本書では、そもそも修正的なフィードバックが仕事において必要なのかどうかに関する考察を、データ的な観点から行っている。

・回答者の 57%が、肯定的フィードバックより修正的フィードバックを受け取りたい、と答えた。 
・72%がもっと修正的フィードバックをもらえれば、自分の能力が高まると感じていた。 
・92%が「否定的フィードバックは適切な方法で伝えられれば、パフォーマンス向上につながる」という意見に同意していた。

少なくとも大抵の人が、修正的フィードバックは自分の仕事の能力を高めるのに役立つということを、直感的に理解しているということが言える。

余談だがNetflix社では「能力密度」という概念を大事にしていて、この能力密度の向上を進めるための1施策として、修正的フィードバックを送り合うことを採用している。

修正的フィードバックを送り合う難しさ

私もそうだが、修正的なフィードバックを送り合うのは有意義だと理解している一方、送り合うのは非常に難しいと感じている人が大半ではないだろうか。

それらの要因は以下の2つになる

①送る側も、受け取る側もストレスになる

受け取る側は、自分の仕事について否定的なことを言われるわけであり、それは自己疑念やいらだちに繋がるし、攻撃されたと思う。私達の脳は否定的なフィードバックを受けると、身体的驚異を受けた時と同じ闘争・闘争反応を示す。逆に送る側は、反感を持たれたり、自分のキャリアに傷がついたり、「面倒なやつ」と思われることを恐れストレスに繋がる。

②悪用されるリスクがある

修正的フィードバックを送り合う文化が正しく定着しないと、悪用されるリスクがあると本書では説明されている。具体的には「自分のイライラを吐き出すため」「意図的に相手を傷つけるため」「自分の立場を強くするため」等が該当する。

送り合う難しさを乗り越える方法

Netfllix社では上記で説明した難しさを乗り越えるために、修正的フィードバックに関するガイドラインがあり、社内で教育したり社内文書にまとめている。

ガイドライン(4A)

送る側
①相手を助けようという気持ちで(AIM TO ASSIST)
②行動変化を促す(ACTIONABLE)

受け取る側
③感謝する(APPRECIATE)
④取捨選択(ACCEPT TO DISCARD)


他にも「部下が上司にフィードバックをした時は、上司が部下に対して感謝を伝えたり(帰属のシグナルを発する)」「怒りが冷めないうちは相手を批判しない」「修正的フィードバックをする時は穏やかな声で話す」など、細かいガイドラインがいくつかある。

個人的な所感

私は上司に対しての修正的フィードバックを送ることに成功体験があるのだが、その成功要因を言語化できずにいた。だがこの本を読んで改めて思い返してみると、当時の自分が送る側のガイドラインである「AIM TO ASSIST」「ACTIONABLE」を満たせていたことに気付いた。そしてその時のフィードバックをきっかけに私と上司の間で信頼関係が深まったのも、上司が受け取る側のガイドラインである「APPRECIATE」と「ACCEPT OR DISCARD」を満たしていたからだ。

実は私自身は同僚/上司からの修正的フィードバックを貰う機会が乏しく、これは自分の成長を妨げている可能性があるなと感じていた。とはいえどう改善したら良いか分からず悩んでいたのだが、企業文化レベルまで落とし込まれた本書を読んだ際は目から鱗状態であった。実体験による納得度も高く、フィードバックし合う文化を作るために今後自分がどのように振る舞っていけばいいのか、どういう上司/同僚を求めているのかを知るいいきっかけになった。

是非皆さんも一度本書を読んでみてほしい。

NO RULES

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