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【探究の時間】地元高校生と観光まちづくりについて考える(前編)

令和6年5月末、地元の県立竹原高校での探究の時間【KOGEN】で、ファシリテートしながら全校生徒と竹原市の観光まちづくりについて探究し学びを得る時間をいただきました。その時に生徒たちと一緒に気づき感じたことをレポートとしてまとめました。まずは、前編です。


地元高校生にとっての竹原市とは

-令和5年12月の探究授業について

実は、昨年末に同じく竹原高校の当時1年生向け(30名ほど)に探究の授業を行っています。授業名は、地域課題探究(総合的な探究の時間)持続可能なまちづくり実現への取り組みです。
授業の内容としては、一般的にちょっとわかりずらいDMOに関する説明どんなことを行っているかを案内。竹原市を4つの地域にわけて、各地域の特性や特徴についてインプットを行いました。
問いかけに対し、参加した生徒たちは、住んでいる地域・高校の付近以外にはあまり興味を持っていない、または、情報が少ない様子でした。

竹原市の観光4地域

-日常と非日常(アオハル)的な竹原のスポット

この探究の時間で、生徒さんたちに日常(登下校・放課後)に立ち寄る場所と非日常(アオハル・特別)な場所を聞いてみました。結果はこちら。

日常(登下校・放課後)数字は票数

  • コンビニ(ローソン・セブンイレブン)16

  • スーパーマーケット(藤三・フレスタ)11

  • マクドナルド 5

  • 竹原駅 3

  • 飲食店 1

非日常(アオハル・特別)数字は票数

  • 本川公園 7

  • 的場海水浴場 7

  • 海 7

  • 駅 2

  • マクドナルド 2

  • ローソン 1

  • 竹原港のウッドデッキ 1

  • 黒滝山 1

  • 吉名のハンバーガー店 1

日常の様子はある程度想像できる回答で、日ごろのルーティンの中で居場所を決めているのがうかがえます。残念ながら竹原市中心部に普段立ち寄れそうな場所の候補があまり多くないため、特に駅前商店街にもう少し賑わいと居心地の良さがあればと感じるところでした。また、非日常(アオハル)では、駅前商店街近くで登下校の途中にある本川公園が多く、陽が傾くまで友人と語り合ってる姿が想像できます。竹原市ならではですが、海にまつわるロケーションも上位にありました。やはり、高校時代の思い出を作るにはビジュアル的に目に焼き付く情景や友人たちとの大切な時間を過ごす場所が重要視されるようです。

的場海水浴場の日の出

-去年の探究の時間を振り返る

我々としては、地域の観光まちづくりを進めるうえで、地域の高校生の意見や行動はとても重要なファクターになると認識しています。また、外から訪れる観光客にとっては地元のとっておきのスポットはどこにあるのだろうと探す際、グーグルマップ上では知りえない魅力が詰まっている可能性があります。特に少数でしたが、竹原港のウッドデッキ、黒滝山、吉名のハンバーガー店での風景は、訪れなければ体験できない美しい絶景が目の前の視界に広がっています。
そして、国内の観光地では、観光客がなぜか大勢集まるスポットがあり、急なオーバーツーリズムの様相やトラブルにもなっています。もちろん集まるには理由がありますが、地元の方には集まる様子に不思議に感じることもあります。こういったお互いの価値のギャップに関して、どのように観光客を誘致してまちづくりをするアイデアを地元高校生が描いていけるかさらに深堀りする機会があればと思うようになりました。それは来てもらいたい価値ある場所、または自分たちが気づいていない価値ある場所です。一旦、今プロジェクトはここまででしたが、その後、高校の担当の先生から全校生徒向けの探究の時間を1時限担当してほしいとお話を頂戴しまして、高校生による観光まちづくりの深堀りする機会を得ることになりました。そして、5月末の「探究の時間」実施に繋がります。

全校生徒向け「探究の時間」の素材を考える

-140名の生徒向けワークショップ

いただいたミッションは、全校生徒向けの1時限とのことで、プレゼン形式の講演+質疑応答が一般的ですが、生徒たちへのインプットのみではなかなか深堀りできないため、学校側との事前の打ち合わせで、DMOの事業内容についての説明とSWOTによる観光まちづくりの分析を提案してみました。ファシリテーターとして140名同時にSWOT分析を行うのはかなりのチャンレジではありましたが、昨年末に交流した生徒(当時高校1年生)たちの取り組み方を経験していたことから問題ないだろうとの自己判断と、学校側からは承諾を得ましたので、プログラムの制作をすすめました。

-「探究の時間割」

50分という短い時間のため、なるべく分かりやすく生徒が興味が持てる内容にしたいと思いタイムスケジュールを作ってみました。

  • 00:00₋00:05 竹原DMOの紹介、ブランドとは。

  • 00:05₋00:10 昨年の探究についておさらい。

  • 00:10₋00:15 SWOT分析の説明。

  • 00:15₋00:25 生徒によるSWOT分析。

  • 00:25₋00:30 SWOT分析振り返りとクロスSWOT分析の説明。

  • 00:30₋00:40 生徒によるクロスSWOT分析。

  • 00:40₋00:45 クロスSWOT分析振り返り。

  • 00:45₋00:50 質疑応答。

DMOの役割については、細かく説明してもなかなか理解いただけることではないので、昨年度に実施した観光ブランド戦略について、ブランドとは。を簡単に説明を行うことにして、ワークショップとしてSWOTとクロスSWOTの分析を中心に生徒の皆さんに観光まちづくりについて考えてもらいました。

ブランドロゴとキャッチコピー

昨年の探究時間のおさらいについては、半年も経過しているので、少し考えをまとめてマトリクス表にしていました。当時、消費金額については参加した生徒さんたちにお聞きしなかったため、想定としてしています。

日常・非日常のマトリクス表

-観光客の受入れとコンテンツ造成

昨年の調査内容をもとにマトリクス表を制作しまして、視覚的にターゲット層について把握してもらいました。外から訪れる観光客は、非日常を求めていて、受入れ側(竹原市とその住民)としては、地元への消費金額が高いほど効果的であることを説明しています。滞在消費額の向上はDMOの至上命題なのですが、例えば、マクドナルドやコンビニに来るために竹原へ訪れる目的にはならないこと、また、美しい自然の風景鑑賞のみではなく、そこに付随する消費者行動についても検討しなければならないことを簡単に伝えていました。
観光コンテンツ造成でちょっとしたヒントを与えつつ、この後、中編でSWOTとクロスSWOTにすすみ、そして、後編で振り返りのアンケートに関して書きたいと思います。

中編に続く