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風のような、雲のような

高校の卒業式の数日前だから、あれは確か2月の下旬。進路が決まった人は登校しなくてもいいよっていう自由登校の時期で、人もまばらになった教室でのできごと。

私が職員室から教室に戻ると、教室には男子生徒が1人だけいた。彼はおちゃらけてて憎めないけど、なんか本心が見えないなっていう印象。

2人で話したことなんてなかったけど、まぁ無視するのもな…と思って話しかけてみた。気がする。

話した内容なんてもう覚えてないけど、「何でこの人ともっと仲良くなっておかなかったんだろうな」ってぐらい、いろんな話をした。なんで今なんだろうねって笑い合った。今思えば、その絶妙なタイミングだったから話せたのかもしれないね。

なんだかふっと消えてしまいそうで儚い人だったし、事実そうなってしまったんだけど。

わたしはよく覚えてるけど、あなたはもう忘れちゃってるかな?いまは元気に、楽しく過ごせていますように。

もっと鮮明に覚えてるつもりだったのに悔しいな。あんな一瞬だったけど、わたしの高校生活の中で、大事な大事な思い出だったよ。 

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