赤ちゃんが教えてくれた孤独はいつまでも続くものではないということ
本当の孤独を知ったのは、長女が生まれて4ヶ月目のこと。
長女は初めての子どもで、全てが初めての経験だった。
妻は出産後4ヶ月半で仕事復帰を果たし、復帰前日の夜、僕は子育てのことを何も知らずに妻にこう伝えた。
「赤ちゃんのことは僕1人で見れる」
当たり前のことだけど、子どもはよく泣く。
空腹、オムツの気持ち悪さ、そして眠気。
大抵の場合これで解決する。 ...はずだった。
確かに赤ちゃんはこの3つが三大欲求だということは間違いない。
でも子育てをする上で大切なことがもう1つある。
それは親の精神状態だ。
僕にはまだそれが備わっていなかった。
だから赤ちゃんが機嫌良くしていても素直に楽しむことができなかった。
家の前を何かに追われるように走り去る自転車に乗ったおじさん
家の前の高校の運動場で餌を見つけた鯉のように走り回る高校生
カラスのような大きな声で子どもを叱りつける母親
綺麗な青空
ゆらゆら揺れる青々とした木々
僕の家の前では常に何かが変化していた。
テレビをつけてもインターネットを見ても、そこには変化があったのだ。
でも僕の目の前にいるのは、昨日から何も変わらない長女がいるだけだった。少なくとも僕にはそう見えていた。
自分以外を目にするたびに
なんで僕だけ みんなは自由だ 楽しそう
と感じるばかりだった。
僕はこの時、本当の孤独を体験していたのだ。と今なら思う。
世界は動き続けている。
長女だって成長を続けている。
でも僕の心だけは止まっていたのだ
あれから数年が経った今日、7月19日(木)
会話がしっかりできるまで成長した長女は、少し体調を崩し保育園を休んでいる。
そして 僕の心は変化を続けている。
家の前を何かに追われるように走り去る自転車に乗ったおじさんのように
家の前の高校の運動場で餌を見つけた鯉のように走り回る高校生のように
カラスのような大きな声で子どもを叱りつける母親のように
綺麗な青空のように
ゆらゆら揺れる青々とした木々のように
孤独は一生続くものではない。
だって、世界は動き続けているのだから。
でんでん虫の歌を歌う長女の心地いい歌声が今、まさに聞こえている。
父 竹鼻良文
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