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【派手派手な連敗ストップ】ルヴァンカップ GS 第2節 アビスパ福岡-鹿島アントラーズ レビュー

戦前

リーグ戦ではホームで名古屋グランパスに敗れ、連敗を喫してしまった鹿島アントラーズ。チームの立て直しが急務な中、中5日でルヴァンカップを迎える。今節は代表ウィーク中のアウェイゲームだ。

鹿島を迎え撃つのはアビスパ福岡。5年ぶりにJ1に復帰した今季はここまで6試合で勝点8を稼いでおり、まずまずの滑り出しを見せている。ただ、目標をベスト4に掲げているルヴァンカップでは初戦で北海道コンサドーレ札幌に敗れ、黒星スタートとなっている。

なお、両者は10日前にリーグ戦でも対戦している。その時は金森健志のゴールで福岡の勝利。鹿島は関川郁万が退場、土居聖真と和泉竜司が負傷交代、終了間際の犬飼智也のゴールもVARで取り消されるなど、散々な試合だった。

前回対戦時のレビュー

スタメン

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鹿島はクォン・スンテ、常本佳吾、舩橋佑が今季初スタメン初出場。舩橋はプロデビュー戦となる。また、ケガ明けの白崎凌兵と上田綺世がスタメンに復帰している。

福岡はカルロス・グティエレスや北島祐二がスタメン入り。キーパーは新加入の永石拓海がスタメン予定だったがアップ中のケガで、急遽杉山力裕が起用された。

徹底した2トップへの縦パス

序盤は落ち着かない展開だった。その中でペースを握っていたのはホームの福岡。シンプルな前線へのロングボールで押し込むことで、鹿島ゴールに迫っていった。

受ける形となった鹿島だったが、ボールを保持して落ち着くことはせずにむしろさらにアップテンポさせるようなゲーム運びを執っていた。そのため、かなりバタついた試合になっていたが、鹿島にとってこれは想定内だったのだろう。

ボールを奪った鹿島は、とにかく縦に速い攻撃を志していた。縦パスをエヴェラウドと上田に入れて彼らに起点を作ってもらい、そこから前に出ていく。今節の鹿島はそのスタイルを徹底していた。キープ力のある彼らはその期待に応え、ポストとして十二分に機能していた。特に、最前線でボールが収まる上田が入ったことで、エヴェラウドがこれまで抱えていたタスクから解き放たれ、自由を得ることが出来ていたのがチームとしても大きかった。

カウンターで反撃を試みる鹿島は、最初のチャンスで先制する。9分、右サイドから永戸勝也の蹴ったコーナーキックに合わせたのは上田。永戸のキックの質が素晴らしかったのはもちろん、これまで中々なかった上田のニアサイドに飛び込む動きが呼んだゴールだった。今節を迎えるまで鹿島はかなりセットプレーの攻撃に手を入れてきたらしく、このあともニアサイドに選手を飛び込ませてそこに合わせていく形が多く、これまでのファーサイドのターゲットに合わせる形から明確な変化が見られた。

素質を示した舩橋佑

鹿島が先制した後も試合展開に大きな動きはなかった。両チーム縦に速い攻撃で、福岡はサイド攻撃から、鹿島は2トップを起点にして、ゴールを脅かしていった。

28分、鹿島は待望の追加点を手にする。左サイドから舩橋が蹴ったストレート性のコーナーキックにファーサイドの荒木遼太郎がボレーで合わせる。ボールはキーパー杉山の正面だったが、これを杉山がファンブルしてしまいボールはゴールラインを割ってしまう。鹿島としてはラッキーだったし、福岡としてはなんとももったいない形での失点だった。

このゴールをアシストした舩橋のパフォーマンスはデビュー戦とは思えないほど、素晴らしいものだった。ボールを受けた後は正確なターンで前を向き、的確にパスを前につけていく。守備の感度もよく、チャンスと見るや前に積極的に出てプレッシャーを掛けていった。ボールの引き出し方や激しいプレッシャーの掛かった状況下でのプレーなど懸念点もあるし、ボール保持時に良さを見せるボランチが現状舩橋のみなので彼をどうゲームモデルに組み込んでいくかという課題もあるが、今節で舩橋がプロの舞台でやれるだけの素質を示したのは間違いない。

お膳立てされた3点目

鹿島の2点目は試合を決定づけるのに十分なものだった。元々、エヴェラウドと上田に起点を作られて下がらざるを得なくなっていた福岡の最終ラインはさらに下がってしまい、陣形は完全に間延びしてしまう。2点差が付いて余裕が出来た鹿島は、プレッシャーの掛からない福岡を尻目に確実にボールを保持して、相手陣内へと運んでいった。

35分の3点目は鹿島にとってはやりたい放題やったうえでのゴールだった。犬飼からサイドチェンジのボールがエヴェラウドに渡るが、福岡はここで誰もエヴェラウドにプレッシャーを掛けられない。余裕をもって運んだエヴェラウドは上田への縦パスを選択。上田は切り返してDFを剥がした後に豪快なシュートをネットに突き刺した。上田の個の力が活きた見事なゴールであるが、鹿島としてはそうしたゴールが生まれるように整えられた状況でもあったのだ。

目覚めのロングカウンター

後半開始時~

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3点ビハインドで折り返した福岡はハーフタイムに3枚代えを敢行。前線に山岸祐也と渡大生を並べる4-4-2にシステムを変えてきた。

状況を変えるには攻めるしかない福岡は後半立ち上がりから攻勢に出る。3点リードという余裕があり、長い時間アップテンポで前半を過ごして強度の落ちた鹿島はこれを受ける形となり、ピンチを作られてしまう。

だが、61分にスンテがボールをキャッチしたところからロングカウンターが発動。左サイドに流れたレオ・シルバにボールが渡ると、彼のスルーパスに抜け出したのはエヴェラウド。最後はキーパーもかわして角度のないところからゴールに流し込み、福岡の追い上げの勢いを削ぐ4点目を手にした。中々得点が奪えずにフラストレーションを溜め込んでいたエヴェラウドにとって、このゴールは爆発のきっかけとなりそうなものだった。

その後、75分にコーナーキックのこぼれ球を拾った途中出場の吉岡雅和のクロスをカルロス・グティエレスに合わせられ、福岡に1点を返されてしまう。このあたりから徐々に守備陣に疲労の色が隠せなくなり、鹿島はペースダウンを余儀なくされる。カウンターの一手も打てずに、試合は停滞感が強まっていった。

しかし、アディショナルタイムだった。鹿島は相手陣内でフリーキックを得ると、途中出場の遠藤康のボールを同じく途中出場の広瀬陸斗が合わせて、移籍後初ゴール。トドメの5点目を手にして、さらに福岡を突き放した。

試合はこれで終了。5-1と2年ぶりの公式戦5得点で大勝した鹿島は公式戦の連敗をストップ。ルヴァンカップはグループステージ2連勝となった。

まとめ

とにかくこの試合勝って連敗中の嫌な流れから抜け出したかった鹿島にとって、今節の勝利は見事にミッションコンプリートということになる。

結果以外でもプラス材料は多い。得点源として期待されるエヴェラウドと上田にゴールが生まれ、調子が上向きになってきたこと。そして、初めてピッチに立ったスンテ、舩橋、常本が十分にやれることを証明したこと。特に舩橋はボランチのポジション争いをより活性化させてくれそうだ。

大事なのはここで生まれた良い流れをリーグ戦に繋げることだ。次節の浦和レッズ戦は試金石の一戦となる。何としても結果を手にして、反撃の狼煙を上げたい。

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