クリエイターに不利な契約書の見抜き方とは？ 基本を知ろう【リスクの見抜き方/クリエイターのためのひな形３種類紹介】
クリエイターに契約書を！
クライアントから提示された契約書に、そのまま締結していませんか？ クリエイターにとって、契約書は重要な文書です。しかし、中にはクリエイターにとって不利な契約書が存在し、注意が必要です。
クリエイターに不利な契約書の「見抜き方」
クリエイターにとって不利な契約書の特徴について、著作権の譲渡、契約不適合責任、表明保証、損害賠償の4つのポイントを解説します。
①著作権の譲渡
著作権を譲渡するか、クリエイターに残すのかは重要な問題ですから当事者がお互いに納得している必要があります。譲渡だから必ずしもクリエイターに不利と決めつけるのはよくありません。きちんと納得しているかどうかが大事です。ただ、不利な契約書の事例では、たいして話し合いもないままクリエイターの著作権（や人格権）が完全に譲渡されていることがあります。これにより、クリエイターは自身の作品のコントロールを失う恐れがあります。くり返しになりますが、譲渡イコール不利というわけではありません。当事者がよく理解せぬまま、前提として完全譲渡になっていたりする点に注意が必要という意味です。
②契約不適合責任
売買や業務委託契約の一部の契約書では、クリエイターが契約の成果物や納品物に対して不適合責任を負うことが記載されている場合があります。それ自体は良いとしても、契約不適合責任の内容が重すぎる場合があります。これにより、クリエイターは品質に関する問題について必要以上に責任を負う可能性があります。クリエイターにとっては、適正な基準を設けることや責任範囲を明確にすることが重要です。よってたとえば、契約不適合の範囲を限定する、修補の方法を限定する、代金減額請求を排除する、権利行使可能な期間を短く設定する、などの修正が考えられます。
③表明保証
不利な契約書では、クリエイターが作品等に関して、「第三者のいかなる権利も侵害していません」など、極めて広範囲で具体的な「表明」及び「保証」を求められている場合があります。クリエイターが表明した事実に基づいてトラブルが発生した場合、クリエイターは法的な責任を負うことになります。もちろん、クリエイター側に故意や重過失があるなど、合理的な範囲であればこのような条件もあり得ると思いますが、逆に、クリエイターにあまりにも広範な保証を負わせる内容は避けるべきでしょう。表明保証の範囲を適切に設定し、現実的な責任を負うことができるようにする必要があります。よってたとえば、そもそも表明保証を削除する、あるいはクリエイターが知る限りの保証に限定する、あるいは補償すべき権利の内容を限定することが考えられます。
④損害賠償
一部の契約書では、クリエイターがクライアントに対して一方的に、かつ無制限に損害賠償責任を負うことが規定されている場合があります。これにより、クリエイターは予測不可能な損害を賠償しなければならない可能性があります。適切な契約書では、損害賠償責任を合理的かつ公正な範囲に制限することが重要です。よってたとえば、お互いに損害賠償請求できる内容にする、クリエイターの損害賠償責任を範囲や金額において制限することなどが考えられます。
まとめ
クリエイターにとって不利な契約書は様々なリスクを伴います。しかし逆に言えば、クリエイターは適切な契約書の作成と交渉によって、これらのリスクを最小限に抑えることができるともいえます。著作権の譲渡や保証責任の制限、公正な損害賠償範囲など、クリエイターにとっても合理的な契約書の作成は重要です。クリエイターは契約書を慎重に検討し、ご自身の権利と利益を保護するための契約を締結することを心掛けましょう。
クリエイターのためのひな形
以下ではクリエイターのための契約書のひな形を紹介します。
【著作権譲渡契約書】
著作権譲渡契約書は、クリエイターが自身の著作物の著作権を他の人や企業に譲渡する際に使用されます。この契約書には、譲渡される著作権の範囲や対価の取り決め、使用期間などが明示されます。
【著作物利用許諾契約書】
著作物利用許諾契約書は、クリエイターが自身の著作物の使用を他の人や企業に許可する場合に使用されます。この契約書には、許諾される使用範囲や使用料の取り決め、使用期間などが明記されます。
【業務委託契約書】
業務委託契約書は、クリエイターが他の人や企業に自身の作品の制作や業務を委託する場合に使用されます。この契約書には、委託内容や報酬の取り決め、作品の著作権の帰属などが規定されます。クリエイターは自身の権利を守りながら、明確な契約条件を定めるために業務委託契約書を活用しましょう。
追伸
他にも様々なクリエイティブな職業向けに契約書のひな形を公開しています。あなたのビジネスにお役立てください。
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