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セミナー講師/セミナー主催者のための最適な業務委託契約書 基本契約バージョン【ひな形/商用利用可能】

セミナー講師とセミナー主催者のための業務委託基本契約書のひな形です。今回、追加要望が多かった「セミナー契約の基本契約バージョン」を公開いたします。基本契約は、その都度契約書を交わすのではなく、同じ講師の方に何度も講義を依頼するであろう場合に初回だけ契約書を締結する方式です。

・セミナー契約書の〝スポット版”はこちら(=毎回、その都度契約する場合はこちらを参考にしてください。)

「スポット契約」だと、たとえば今月は財政政策の講義、来月は同じ講師にに金融政策の講義を依頼する、その後も継続的な依頼を見込んでいる、というように、あらかじめ複数回委託することが見込まれるようなケースには、そのたびに契約書を交付する必要があるため、不便でした。
今回は基本契約となっているため、イメージとしては同じ講師と契約するのは最初の一回で、その都度の依頼(個別契約)は簡便な方法で締結できます。つまり継続的な依頼に向いている契約方式といえます。


セミナー講師と主催者のための基本契約書

①同じ講師に継続的に依頼する場合に便利

基本契約は、あらかじめ基本的な事項を契約しておくことにより、具体的なセミナーの発注は個別契約(簡易な形式)で行うことができる手法です。個別契約の締結方法は自由に規定できますが、本例では、個別契約書を締結するか、業務仕様書を交付することによるとしています。

②委託内容と報酬の明確化

セミナーに関する業務を具体化すること、そして講師に支払われる報酬をはっきりさせることが、この契約の主目的です。これらをはっきりさせることで何をいくらで依頼したのかという部分の認識のずれを予防します。現在、セミナー業界は多様化しており、ほんとうに様々な「講師」の方が活躍されています。良くも悪くも認識や価値観もさまざまです。「たぶんこう理解してくれるだろう」「たぶんこういう意味だろう」という期待は、お互いに通用しないと思った方が良いと思います。

③権利帰属

特に問題になりやすい点としてもう一つ指摘しておきたいのが権利帰属です。たとえばセミナーでいえば「当日のスライド資料」の著作権の帰属です。講師が作成した資料の著作権は、通常は講師が権利者ですので、主催者が利用するためには、後で揉めてしまわないように、契約書で具体的な利用方法を確認しておきます。

④主催者はセミナーを録画して販売してもよいのか

仮に、当日のセミナーを主催者が録画し、以後に「動画配信」する等して収益化する場合には、講師と主催者とが著作物の二次的な利用について明確にしておかないと、いずれトラブルになるでしょう。

以下で、セミナー講師と主催者の契約方法として、3つのパターンを解説します。

講師を依頼する契約のパターンについて

セミナー等の講師依頼には、一般的に、講師依頼状による依頼、権利確認書等の合意書を使う方法、業務委託契約書による方法の3つがあります。どれを採用しても意味合いは同じで、いずれもトラブルを防ぐ一定の効果があります。

■講師依頼状

講師依頼状は、ようするに書面で依頼をすることにより、講師に主催者が依頼した事実を証拠化、記録化するものです。事前に依頼状を受け取ると講師も安心ですし、主催者側もあとで「言った」「言わない」になるのを避けることができます。依頼状はもっとも簡単で、すべての主催者におすすめできる方法です。

■権利の確認書

講義の内容等によっては、当日配布資料やスライドなどの資料の著作権が、講師に帰属する(または主催者に譲渡される)ことを確認など、ある種の合意書があったほうがトラブルの予防になります。内容次第ですが、当日資料に営業秘密や貴重なノウハウが含れているような場合、「資料の秘匿性が高いため、権利帰属を明確にしたい」場合は確認書(合意書、覚書、でもOK)を作成すべきといえます。

■業務委託契約書

ある程度本格的に、セミナービジネスを実施する場合、おすすめはやはり業務委託契約書を作成することです。業務委託契約書はセミナー講師から提示してもよいです。通常は主催者がフォーマットとして用意しておくべきものです。

契約書のポイント

■著作権の帰属を明確化

セミナー講師が作成した資料の著作権は、講師に帰属する規定により、権利関係を明確化しています。

■後日のオンライン配信に対応

セミナーを収録して、ダウンロードやストリーミング配信する場合を想定して、主催者と講師との合意を明確化しています。

■当日の物販を想定

当日に、講師が独自商材の販売をするケースを想定して、そうした特約の記載例を載せています。記載例は、この場合に主催者が販売手数料を得るケースにも対応しています。

■中立的な内容

基本的には発注者である主催者を守る内容ですが、かといってどちらが一方的に不利というものでもなく、標準的なバランスにしてあります。

■電子契約にも対応可能

紙の契約書でも、電子契約でも締結できるよう文言を調整。これにより「今回は紙契約だけど、将来的に電子契約でも締結する予定」といった状況でも、任意の締結方法に対応しています。

このひな形に含まれている条項

・このひな形には以下の条項が含まれています。
「セミナー・研修業務委託基本契約書」
第1条(目的)
第2条(個別契約による業務の委託)
第3条(再委託の制限)
第4条(対価の支払)
第5条(業務内容の変更)
第6条(一般的損害)
第7条(天災その他の不可抗力の扱い)
第8条(甲の解除権)
第9条(資料等の著作権)
・主催者に著作権を譲渡させる場合の差替え例
第10条(権利不侵害の保証)
第11条(動画配信による利用) 
↓講師が追加的に報酬を得られる場合
・第11条(動画配信による利用)
第12 条(秘密の保持)
第13条(権利義務の譲渡等)
第14条(契約期間)
第15 条(契約外の事項)
第16 条(合意管轄)
■【別紙】業務仕様書の記載例
■当日物販を予定する場合の記載例
■「業務仕様書」ではなく「個別契約書」による場合の記載例

セミナー講師とセミナー主催者のための業務委託基本契約書の条項リスト

【免責事項】

当方が提供する契約書のひな形は一般的な形式や構成を示すものであり、特定の法的状況や個々の取引に適用されるべき内容を保証するものではありません。契約書のひな形はあくまでも参考資料であり、法的助言や専門的な意見を代替するものではありません。以下をご理解ください。

1.当方の契約書ひな形は参考資料です。特定の法的状況への適用は保証しません。
2.ひな形は法的助言の代替にはなりません。作成代行サービスとは異なるため、個別の条文についてのお問い合わせにはお答えできません。
3.利用者は、ひな形を自身の責任でカスタマイズし、使用してください。当方は、誤字脱字、表現上の間違いや矛盾を含むすべての内容の誤り、及び契約書のひな形に関連する利用者の行動や取引の結果について、ひな形の利用による損害や損失について責任を負いません。

ご購入いただく前に、利用条件を十分に理解し、ご自身の責任においてご判断ください。

【ひな形を使うメリット】

当方の契約書ひな形は、実際の業務で使用された生きた契約書を基に作成されたオリジナルのものです。同じひな形は他には存在しません。

一般的な内容ではなく、特定の場面を想定して作成された、そのシチュエーションに特化した内容となっています。ぜひ、あなたのビジネスにお役立てください。

以下がセミナー主催者と講師のための業務委託基本契約書のひな形です。ひな形はWordファイルでダウンロードできます。適宜アレンジしてお使いください。
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        セミナー・研修業務委託基本契約書

主催者:株式会社◯◯◯◯(以下「甲」という。)と講師:講師の氏名◯◯◯◯(以下「乙」という。)とは、甲より乙に対する「◯◯セミナー(または○○研修/○○コンサルティングなど)」の委託について、次の通り業務委託契約(以下「本契約」という。)を締結する。

第1条(目的)
甲は、乙に対し、甲が主催又は運営するセミナー(または研修/講義/講演/授業/〇〇学習サービスなど)業務に関連して、個別契約の項目に従い、講師業務等の委託業務(以下、「本業務」という。)を委託し、乙はこれを受託するものとする。

第2条(個別契約による業務の委託)
甲及び乙は、本業務に着手する前に、本業務について、業務の具体的内容、成果物、納入期日又は実施日時その他必要となる取引条件を定め、個別契約を締結する。
2 個別契約は、次の各号のいずれかの場合に成立する。
(1) 甲及び乙が、「個別契約書」に署名又は記名押印したとき。
(2) 甲が、乙に対して本業務の詳細及び取引に必要な事項を記載した「業務仕様書」により申し込み、乙がこれを承諾したとき。
3 乙は、個別契約に従い、本業務を実施しなければならない。ただし、個別契約は、書面による甲乙間の合意により変更し、又は追加することができるものとする。
(→セミナー等の具体的な実施日時や場所、テーマや作成するコンテンツの内容、その他必要事項や特約については、個別契約として締結します。個別契約は①個別契約書を別途締結するか、②業務仕様書などの様式を講師に提示することによって締結することとしています。それらの記載例はひな形の末尾にあります。)

第3条(再委託の制限)
 乙は、本業務の実施を第三者に委託してはならない。ただし、あらかじめ書面による甲の承諾を得たときは、この限りでない。
2 乙が、前項ただし書の規定により業務の一部の実施を第三者に委託する場合には、甲は、乙に対して、受託者の名称その他必要な事項の通知を求めることができる。
(再委託とは受託者がさらに第三者に業務を委託することです。セミナー講師という業務の性質上、あまり現実的ではないため、本条は原則として再委託を禁止しています。例外的に、たとえば講義資料作成の一部など部分的な業務を第三者に委託する必要があるといった事情のあるときに備えて、主催者側の許可を得ることで再委託が可能となるように定めています。)

第4条(対価の支払)
甲は、乙に対し本業務の対価として、下記記載の業務委託料を、乙がセミナー(または研修/講義/講演/授業など)に登壇した日が属する月の翌月末日に下記記載の支払方法に従い支払うものとする。尚、銀行振込手数料その他支払に要する費用は甲の負担とし、乙が個人事業主の場合は源泉所得税相当額を差し引いて支払われる。
(↑支払期日は実情に合わせてアレンジしてください。記載例ではセミナー等の開催の翌月末日に支払うこととしてあります。)
業務委託料: 個別契約において定める金額 
支払方法:  個別契約において乙の指定する金融機関口座への振込送金
2 本業務の遂行のために必要となる通信費、インターネット接続料その他の諸経費は、前項の業務委託料に含まれるものとし、乙は別途それらの諸費用を甲に請求することはできない。ただし、個別契約又は別途甲乙間において明確に費用負担について定めた場合はこの限りでない。

第5条(業務内容の変更)
甲及び乙は、必要があると認めるときは、契約相手方に対して書面による通知により業務内容の変更を求めることができる。
2 前項により業務内容を変更する場合において、履行期間若しくは契約金額を変更する必要があると認められるときは、甲、乙は変更後の履行期間及び契約金額について協議するものとし、当該協議の結果を書面により定める。
(↑まれに、研修内容の大幅な変更が主催者側から打診された場合に、契約金額や開催時期に影響を及ぼすことがあります。本条は、こうした事態にそなえてあらかじめ契約金額などの協議が行えるように規定しておく趣旨です。)

第6条(一般的損害)
本業務の実施において生じた損害については、乙が負担する。ただし、甲の責に帰すべき理由により生じた損害については、甲が負担する。

第7 条(天災その他の不可抗力の扱い)
指定感染症あるいはその疑い、暴風、豪雨、洪水、高潮、地震、噴火、地すべり、落盤、火災、戦乱、内乱、クーデター、テロ、侵略、暴動、ストライキ、政府による決定その他自然的又は人為的な事象であって、甲乙双方の責に帰すべからざるもの(以下「天災その他の不可抗力」という。)により、セミナー(または研修/講義/講演/授業など)の開催が著しく困難になり、甲乙いずれかによる履行が遅延又は妨げられる場合、当事者は、その事実の発生後ただちにその状況を本契約の相手方に通知しなければならない。また、甲乙は、通知後速やかに天災その他の不可抗力発生の事実を確認し、その後の必要な措置について協議し定める。
2 天災その他の不可抗力により生じた履行の遅延又は不履行は、前項の通知をしたうえでの乙の遅刻又は欠席を含めて、本契約又は個別契約上の義務の不履行又は契約違反とはみなさない。
3 天災その他の不可抗力に起因して、乙に追加的経費が発生した場合には、乙の請求を甲が調査のうえ、甲が負担すべき額は甲乙協議して定める。
4 第1項により、乙が天災その他の不可抗力が発生したと確認した日から、そのために本業務が実施できない日が60 日以上継続した場合、甲は、少なくとも30 日前に書面により乙に予告通知のうえ、個別契約を解除することができる。
5 前項により解除がなされた場合には、第8 条第2項の規定を準用する。
(↑天災等なんらかの不可抗力によって講師が遅刻してしまったとか、そもそもセミナーの開催ができなかったときなどには責任を負わないことを定めています。また、天災などが長期にわたり、業務再開のめどがたたない場合などにおいて、契約を解除すべき場合も考えられます。そのため、基準となる日数を規定しています。この日数は任意に変更してください。)

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