印刷物の色が合わない時どうする? (1)
印刷所に入稿して、印刷物を見てガッカリすることってありますよね!
なぜ、思った色が再現されていないのでしょう? 今回は、立会い時に出来るこを順番に説明していきましょう。
簡単に言ってしまうと、印刷所のセンスと入稿データの不備です。
(1)印刷所のセンスとデータ不備
現在、中小企業の現場責任者の方や印刷オペレーターさんは、30代後半〜50代の方が多い印象です。また、多くの印刷会社では自社標準印刷濃度で印刷物を管理し再販時に色ムラが少なくなるように管理されています。
標準印刷濃度・印刷の刷順(色を重る順番のこと)のことは次回で説明します。
さて、私も協力会社に印刷立会いに行った時「色の確認してください」って見せられた印刷物に「えっ!色合わせしてくれたの?」って心の中で何回も聞きました。
印刷所に立会いに行かれた人なら、うんうんって共感していただけるはずです。
アート・コート紙ならイメージに近い時もありますが…
上質紙(非塗工紙)や微塗工紙となると、紙繊維の凸凹(以下、紙地)の影響で印刷ムラで擦れたような印象の仕上がり、濁って濃度感やメリハリのない仕上がりになります。 また、「この紙では、これくらいですよ。」って、立会いに行かれたデザイナーさんなら言われた事もあるでしょう。
これでは、OKは出せません!
では、上質紙や微塗工紙の場合、どのように指示をすればイメージに近くなるのでしょう。
・紙地の影響で印刷ムラで擦れたような印象の場合
1)「全体的に印刷濃度が薄いので、濃度を上げて」と指示する。
総インキ量が増えるため、紙地を覆うインキ膜厚が増え紙地の影響を受けにくくなります。(白いカップに、コーヒー半分の時の色と残り少なくなった時の色をイメージするとわかりやすいかな)
後は、イメージに近くなるようにバランス良く濃度を上げる方向で、指示すれば濃度感やインキの発色が良くなりイメージに近くなります。ただし、インキの濃度を上げていくと、濁りが出てくるので、単色の発色がイメージに近くなれば対象の色濃度はキープ!、他の色を増やしたり減らしたりし、バランスよく調整してください。
2)「印圧(印刷する圧力)をもう少し強くして」と指示する。
少しは紙地の凸凹にインキが定着してイメージに近い仕上がります。しかし、シャドー部分のディテールが潰れたり、ハイライト部分の色調が濃くなるので、バランスを見て指示しましょう。
(※印圧調整は、 印刷所によって嫌がられることもあるので注意)
・濁って濃度感やメリハリのない仕上がりの場合
これは、印刷所ではどうにもできない時があります。なぜでしょう?
濃度感は、総インキ量(印刷時のインキ膜厚)を増やせば多少はカバーできるのですが、濁りとメリハリは入稿データやインキ自体の色の濁りの影響が大きいからどうにもなりません。
RGBデータのままで入稿すればなおさらです。入稿後に印刷所は必ずCMYKデータに変換します。なぜか?刷版の出力に必要だから! 変換方法も自社変換プロファイルを使用したりジャパンカラー変換を使用したり、各印刷所により違います。
RGBとCMYKの色差により、変換時には、鮮やかな色には必ず濁り成分が入ります。RGBでC100%に近い色に指定しても、変換時はC96%・M2%・Y3%などのように濁り成分が生成され、C100%の色にはならないのです。そのため、変換後に確認・修正作業が必要になり補正費用が必要となります。
イラレでレイアウトする場合は、必ずCMYKで作成しましょう! これが、CMYKで入稿する理由です。
写真やイラストは、RGBデータで入稿しても構いませんが、一度CMYKに変換して確認すればどれぐらい濁るかイメージ出来ます。必要であれば、彩度を上げて補正し、CMYK変換のまま入稿すれば少しは鮮やかになります。後は、印刷所に「綺麗に発色良くお願いします。」って指示すればいいと思います。
・伝達能力
なぜ、必要なんでしょう?
デザイナーさんと印刷オペレーターさんとの間には、年齢・感覚・見え方に差があるからです。【 同じ感覚のわけがない!】と思いませんか?
在職時にも、たくさん立会いに来られました。移動に往復8時間、立会時間5分、後は工場見学。待たせるのは失礼なので!
デザイナーさんは平均30歳前後で、こちらは初老のおっちゃんです。社会見学の一環?初めてのディレクション?とか考えながら、担当させていただきました。
立会い時に、もっとも大事にしていたのは来社されるまでのイメージの共有です。入稿データの不備や色調のイメージ、疑問に思ったことはプロジェクトマネージャー(担当者)を通じ問い合わせを行い、製品に対する思いや制作物全体イメージを共有し、イメージに合ったデータ処理を心がけました。
他の印刷所ではあまりしないこと!
印刷所でしてもらえないなら、自分から進んで入稿時にイメージの詳細を伝えましょう!無知だからとか、恥ずかしがることはありません。印刷所の作業方法やセンスなんて知らなくて当たり前です。
立会い印刷するまでに、「どれだけめんどくさい人が立会いに来るの?」って思わせればあなたのペースで作業が進行します。
大事なことは、
・イメージの共有とコミュニケーションが取れていれば、ガッカリするような印刷物は手元に届かない!
・印刷物のパッと見の印象を、担当者に自信を持って伝える!
立会いの時は、その場で悩まない事です。悩んでると色の差がわからなくなったり、悩んでることを悟られ、理由をつけてそのまま押し切られる時があるよ!
これが、印刷所に出来る指示です。
では、今回はこれぐらいで…
次回は、印刷物の色が合わない時どうする? (2)で!
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