見出し画像

印刷の調色(調肉)

特色について書こうーっと!
まずは、見出し画像のインキは何色混ざってるでしょう?
2年前に撮影したので間違ってるかもしれませんが答えは後ほど!

印刷工程で最も個人の技術差が出る作業です。
印刷会社の技術レベルが出ると言っても過言ではありません。どんな差が出るか説明していきましょう。

カラー印刷と特色印刷の違い

■ カラー印刷とは 
 CMYKの4色のインキで印刷する技法です。まあ、家庭用のプリンターを想像していただければ理解できると思います。CMYKの意味がわからない人は「印刷物の色が合わない時どうする?(2)を参考にしてください。

 印刷会社ではレギュラーインキと呼ばれるインキで、墨藍紅黄の4色。またインキメーカーによって微妙に色が違います。A社の墨は赤黒く見えたりB社は青黒く見えたりこれは印刷後の色味ですが、一番違うのは黄色!インキ缶を開ければ一目でわかるくらい違います。印刷後はあまり変わりません。これは、メーカーによって仕上がりのバランスを考慮してジャパンカラーの規格値誤差内で調整されています。グリーン系が得意なメーカーやオレンジ、バイオレット系が得意なメーカーがあります。

■ 特色印刷とは
 例えると、マクド(関西人なんで!)のフライドポテトの容器は、赤と黄で印刷されてますよね。いわゆるコーポレートカラー!色を標準化するためにLab値も勿論定めてあります。印刷業界では、金赤と黄赤という職人さんもいます。
 理解の早い人はわかると思いますが、世界中で印刷しても同じ色で印刷できるように設定してあります。反対にカラー印刷で再現しようと思うと、網点を用いて再現されるため色ムラが発生しやすくなります。これでは意味がありません!
世界中どこでも印刷しても同じ色で印刷されるのが特色印刷です。


調色(調肉)

■ インキ
調色(調肉)に用いられるのは、中間色と言われるインキ。これは、レギュラーインキに比べ彩度が高く製造されています。メーカーによって同じ名前のインキでも色味が違うので、調色する時は注意が必要になってきます。
例えば、金赤!(一般的な赤色のこと)
メーカーごとに数種類製造されています。 赤味の強い色や黄味の強い色様々! 印刷会社によって取引先のメーカーが違うので同じ配合でも色味が変わります。また、油性インキ、UVインキなど印刷条件によっても色味が変わります。

あれ?特色印刷はどこで印刷しても同じって…

そうです!使用するインキメーカーや種類によって同じ配合でも色味が変わるのです!! だから、職人の技術の差が出る作業なんです!
使用する用紙に対して、乾燥後どのように変化するかなど経験値が左右するデリケートな作業なんです。

万年筆の紺色のような色を調色する場合、藍+紅+墨の3色でも再現できますが、墨の量によっては乾燥後、黒くにごり万年筆独特のインク溜まりが再現されません。紺色は、草(緑)+紅の2色でも再現できます。こっちの方がインク溜まりやかすれの雰囲気は近く仕上がりますので機会があれは試してください。

特色印刷を依頼される時は、印刷前に展色機で印刷してもらい確認することをお勧めします。サービスでしていただける場合や展色代として請求される場合もありますので予算に合った方法で進めるといいでしょう。

あ! 少し豆知識
藍(シアン)に使用される顔料は一種類しかありません!数年前に新しい顔料が発見されましたが、印刷インキにはまだ使用されていません。『蛍光シアンは鮮やかやん』って思われるかもしれませんが、補助剤の量や草の顔料の調整をしてあるだけなので、濃度を上げていくと藍と変わりません…
鮮やかな藍が必要な場合は、少し草や群青を配合し落とし所を探ってください。


では、見出し画像の答え合わせ
メジウム+白+マゼンタ+群青の4色です。
「黒入ってるやん!」て思われた方、群青インキは、インキ缶に入ってる状態はほぼ黒に見えるので、残念でした。

今回はこの辺で…



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