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中国製サービスロボットが世界を席巻しそう!もうしてる!?

かねてより中国のロボット開発の勢いがスゴイスゴイと言われてきましたが、工場の中を除くと、いよいよ日本の中でも日本製のロボットより中国製のロボットを目にする機会が増えそうな時期になってきた気がします。今回は中国のサービスロボットの状況について簡単に調べて見たいと思います。

2020年2月にはコロナ対策として中国・武漢で使われているロボットについてもご紹介しましたので、一部そちらと被る内容もあります。

中国サービスロボットの市場動向

まずは中国におけるロボット市場の様子を見てみます。国際ロボット連盟(IFR)のデータを見ると、2019年の世界のロボットの市場規模は290億ドル(約3兆円)で、2014−19年の年平均成長率は約12.3%になっています。この中で、サービスロボットは前年比14%増の約95億ドルとなっています。更にその中で中国のサービスロボット市場規模は約22億ドル(約2400億円)、成長率33%でなっています。つまり、

世界のサービスロボットの1/4の市場は中国にある

ということです。まさにサービスロボットのトップランナーが中国と言える状況です。更に、20年度には約2倍の40億ドル近くにのぼると予想されていますので、その成長速度というのは恐るべきものです(中国ロボット産業発展報告書2019)。

そして、中国市場におけるロボット全体に占めるサービスロボットの割合の変化にも目を見張るものがあります。

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(NEDO資料より抜粋)

ソースが違うので細かい数字には違いがありますが、

中国のロボット市場の1/3はサービスロボットである

という状況です。日本が約1/5程度と言われていることからすると、その比率が高いことがわかります。

中国のロボットというと中国版インダストリー4.0とも言われる「中国製造2025」が有名なので、てっきり産業用ロボットが主と思ってましたが、サービスロボットにもかなり力が入っていますね。この様子は、投資の状況からも見て取れます。投資においても家庭用ロボット、物流ロボット、医療ロボットを中心として、産業用ロボットの5倍の数の投資が行われているようです。

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(NEDO資料より)

企業の事例

ここからは移動ロボットなどで代表的な企業を見てみたいと思います。

ECOVACS

・1998年設立し、掃除ロボットを開発・事業化
・2018年、上海証券取引所上場
・売上約800億円
・グローバルシェア:2位(中国では1位)
・他にもNARWAL社など競合多数

Gaoxian Automation Technology Development

・2013年創業
・業務用掃除ロボット”Gaussian Robotics”。屋内外兼用拭き掃除ロボット、屋内専用医療レベル消毒作業が可能な拭き掃除ロボット、屋内専用で石材のメンテナンスを行う磨き掃除ロボット、多層建物専用の掃き掃除ロボット、屋外専用の掃き掃除ロボットなど。
・中国国内の商用不動産デベロッパー上位50位にランクインする企業の半数以上にサービスを提供
・チャンギ空港など販売台数の40%以上は海外向けで、30の国・地域へ展開
・総運行距離は1億キロ以上

Geekplus

・2015年創業
・先進的なAIロボット会社。ロボット、AI、ビックデータ、クラウド、loTを駆使した、AIロボットの物流ソリューションサービスを提供
・2018年2月時点の従業員数は約230人
・中国アリババグループが展開するネットモールの「Tmall」のほか「VIPShop」や「Suning」といった大手サイトなど30社以上が顧客
・約5000台の導入実績。中国をはじめ、日本、香港、台湾、オーストラリア、シンガポール、ヨーロッパ、米国などに展開
・日本では2017年、フルフィルメントセンターを運営するアッカー・インターナショナルが採用

Quicktron

・ 2014年設立
・ 次世代の無人操作ロボットおよび複数ロボットの操作
・ 製品には多重障害物回避、混合ナビゲーション、複数ロボットの協調、環境への自己適応などの機能があり、電子商取引、医薬品などの物流倉庫分野への応用が可能。
・ 世界2位のスマート倉庫ロボットシステムソリューション企業。
・ 国内外の60以上の著名な企業や機関と連携。DAZZLE、上海三菱エレベーター、上海医薬、国薬、中国郵政、百世、菜鳥など

KEENON ROBOTICS

・2010年設立
・屋内配送ロボットの開発と製造。Peanut、T5など。
・主力商品は飲食店の配膳やホテルのサービス、医療機関内の配送等
・現在1000を超える企業と提携。火鍋専門の人気店「海底撈(Haidilao)」や杭州料理の「外婆家(Grandma’s Home)」など中国大手企業も多数。
・日本でも日本システムプロジェクトやとQBIT RoboticsがSIerとし販売開始
・6000台以上の稼働実績

コロナ対策もあり、日本でも飲食店を中心にどんどん広がっていますね。ニュースになっているものでも、土間土間横浜中華街招福門幸楽苑福岡の居酒屋二子玉川のレストランなどなど。

Pudu Robotics

・2016年深圳創業
・室内用フードデリバリーロボット。BellaBot(貝拉)、Holabot(好啦)
・深圳の本社、成都の支店、中国の60以上の都市にあるサービスセンターで100人以上の従業員
・シェラトン、JD.com(京東)、Haidilao(海底撈)」を運営する Woowa Brothersなど20カ国、200都市の2,000以上のホテル、レストラン、病院に2019年に5000台以上を導入
・ロボット1台で1日に最大300トレーの食事を配膳することが可能で、ピーク時には400トレー
・2020年10月からDrone Future Aviation社などにより日本販売開始。

Yunji Technology

・2014年北京創業
・屋内の自律移動ロボット。配送、案内、掃除などのアプリを対象。
・500以上のホテルで130万人以上にサービスを提供。2018年11月には、ホテル・病院・政府機関などでの合計走行距離が合計15万km。
・インターコンチネンタル上海ワンダーランドなど中国内のホテルサービスロボット市場で70%のシェア
・中国では100都市以上。日本、韓国、シンガポール、タイ、サウジアラビアや北アメリカ市場へ展開。る
・バイドゥが非接触ロボット事業で提携
・エレベータ連携に関して中国では上海三菱エレベータ、国内では清水建設と連携
・国内ではNECネッツアイが代理店。
・案内ロボット「YUNJI SAIL」。3年契約(機器レンタル・クラウド利用・センドバック保守を含む) で月額18万円
・配送ロボット「YUNJI DELI」。3年契約(機器レンタル・クラウド利用・センドバック保守を含む) で月額11万円。

TINAVI

・ 2005年設立。
・ 資本金は3億7,600万元。
・ 主要製品は整形外科手術支援ロボット。北京積水潭医院、北京航空
航天大学などの機関と提携

UBTECH

・ 2012年深圳設立
・ 人工知能とサービスロボットの研究開発、プラットフォーム・ソフトウェア開発・運用ならびに製品販売
・Alphaなどの二足歩行ロボット、STEMロボット「Jimu Robot」、スター・ウォーズ「ストームトルーパー」、車輪付き「Cruzr」など
・ 推定時価総額:50億米ドル(1兆円とも)
・2018年黒字達成
・連携先、アップル、アマゾン、ディズニー、マンチェスター市、シドニー大学、清華大学など
・イグニション・ポイントが日本代理店。3年間で国内1500台の「Cruzr」販売を見込む
・麻生総合病院でコロナ対策としての検温などの実験、Tokyo Robot Collectionなどで実証

Unitree Robotics

・2016年創業
・イヌ型の4足歩行ロボット「A1」
・128万円(税抜)

JAKA Robotics

・2014年創業
・協働ロボットを開発、事業化。上海交通大学ロボット研究所の技術がベース。
・他の協働ロボットメーカーと比較してもロボット本体の価格優位性
・「Zuシリーズ」は安全認証取得。ISO 10218、13849など。
・日本代理店は進和

大手企業

これ以外にももちろん中国有名企業(ジンドン、シャオミー、アリババ、バイドゥ、テンセントなど)は自社内での開発、投資なども含めて積極的にロボットにもお金を掛けているようです。特に、ジンドンは、物流関係のロボット(倉庫内、ラストマイル配送)に力を入れていますし、テンセントは、紹介した「UBTECH Robotics」(4,000万米ドル)や「YUNJI Technology」(数千万米ドル)の投資をしています。

中国のサービスロボットについてより詳しく知りたい方は、ロボットスタートから151種類のロボットのカオスマップが無料公開されていますので、そちらをチェックしてみて良いかもです。

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いよいよ中国製のロボットが大量に現場で使われ始めました。しかも、非常に安い、かつ、十分な性能が実現されています。どのようにして協業し、どのようにして戦っていくのか、改めてしっかりと考える時期に来ていますね。

では、また来週~

安藤健@takecando

参考文献
NEDO調査:https://www.nedo.go.jp/content/100920459.pdf

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