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ソフトバンクが投資するロボット会社が豪華な件。

ソフトバンクは『投資会社』と言われるようになった。確かに自動運転とかAIとかだけではなく、ロボット界隈への投資もスゴイ。

何がスゴイって数も多いし、金額も多い。メーカーがスタートアップに数億円出資というレベルとは、文字通り桁が違う。

スタートアップというより、もういつでもIPOできるとか、ユニコーンと呼ばれる会社にバンバンお金を入れている。

というわけで、ソフトバンクのロボット関係への投資について、ネットニュースを頼りにレビューしてみました。

残念ながら日本企業への投資はなく、アメリカを中心としたサプライチェーン関係への投資がメインという感じです。

抜け漏れなどもある気がしますので、指摘いただければ修正します。

●Brain Corporation

2009年創業。本社はアメリカサンディエゴ。自律移動ソフトウェアに強みあり。特に屋内。Brain OSと言われる汎用的なモジュールに仕上げられていて、店舗向けの掃除ロボットとかに実装されている。

2017年にクアルコムとソフトバンクビジョンファンドから1億1400万ドル(約120億円)の資金調達完了。同じ年に、ソフトバンクロボティクスとも提携し、清掃ロボット「RS26 Powered by BrainOS」にBrainの技術が活用。

●Keenon Robotics

2010年創業。飲食店、ホテル、医療現場で使う配送ロボットのメーカー。最近は日本での事業展開中。

2020年に、ソフトバンクの投資子会社「ソフトバンク・ベンチャーズ・アジア(SBVA)」などからシリーズCで数億元(数十億円)を調達。

●Bear Robotics

2017年創業。飲食店などの配送ロボット「ペニー(Penny)」を開発、事業化。国内でもソフトバンクにより「Servi」として急激に広がっている。

2020年にソフトバンクが主導したシリーズAラウンドで3200万ドル(約34億9000万円)を調達。

●Autostore

1995年創業のノルウェー企業。倉庫内の作業を自動化するロボットの製造事業を展開。日本を含む35カ国の600以上の施設が2万台以上導入済み。

2021年に、ソフトバンクグループは、株式40%を28億ドル(約3085億円)で取得。

●Fetch Robotics

2014年創業。倉庫、店舗など向けに在庫管理用などの自律移動ロボットやモバイルマニピュレータを開発、販売。

2015年にソフトバンクを中心とする3社から2000万ドルの資金調達、2019年の資金調達(4600万ドル)にソフトバンクは参加した。

●Nuro

2017年創業。自動運転車を用いた無人宅配事業の開発。2018年にスーパー大手のクローガーと、2019年にはドミノ・ピザとの協業・実証など、とにかくスピード感がある。機体「R2]はカリフォルニア州での自動運転車の商用利用の認可も獲得していて、Starship戸並んで宅配ロボ業界を牽引している印象。

2019年にソフトバンクビジョンファンドから9.4億ドル(約1040億円)の資金調達。

●Zume Pizza

ロボットを活用した宅配ピザ事業。自動運転と言うよりは、ロボット技術により調理過程を自動化するもので、配送中のトラック内で調理に関する特許取得。

2018年にソフトバンクビジョンファンドから3億7,500万ドル(約400億円)調達。ただし、20年にピザの生産から撤退し、持続可能なピザ容器の生産に事業を転換する方針。

●XAG

2007年創業。ドローン、特に農業向けを中心に、産業用の自律飛行タイプのものを開発、事業化。日本をはじめ世界各国に研究施設やサービス拠点あり。

2020年、Baidu Capitalとソフトバンクビジョンファンド主導で、12億元(約200億円)調達。

●バークシャーグレイ

2013年創業。倉庫内でのピック&プレイスを行うロボットや物流自動化システムの開発・事業化。ウォルマート、ターゲット、フェデックスなどの大型顧客を確保済み。

2020年に2億6300万ドルの資金調達ラウンドに参加。特別買収目的会社(SPAC)のレボリューション・アクセラレーション・アクイジションと27億ドル規模の合併を通じて上場することで合意。

●Doordash

2013年創業。オンデマンドデリバリーを手掛けるラストマイル物流事業。2019年に、米GM Cruiseと、食品デリバリーに自動運転車を活用する実証を開始。2020年にはニューヨーク証券取引所への上場済。

2018年、ソフトバンクビジョンファンドなどから5億3,500万ドル(約560億円)を調達し、更にSVFなど既存株主から6億ドル(約630億円)調達。

というのが、オフィシャルにソフトバンクやソフトバンクビジョンファンド関係からの投資先として公開になっているようです。

倉庫、店舗、そして屋外を中心とした自律移動技術系の会社のラインナップとしては、超豪華ですね。これだけ手の内にあると、客観的に技術の見極めやお互いの連携も産み出しやすい気がします。

また、上記以外にも確定情報かどうかはよくわかりませんが、

●Creator

ハンバーガー製造ロボットの開発企業。Googleの親会社Alphabetによって設立されたGoogle Venturesの支援企業。ソフトバンクと投資交渉もしているっぽいのですが、上手くいっていないようです。

●アイロボット(iRobot)

1990年創業。ロボット掃除機「ルンバ」のメーカー。5%以下の株式を取得したっぽい。

といった話もあるようです。実際の所はよくわかりませんが。

この他、もっと遡れば、ソフトバンクのロボット投資は、Googleから、あの四足歩行ロボット「spot」や二足歩行ロボット「Atlas」を産み出している”Boston Dynamics”の買収や、買収は失敗したものの東大初ベンチャー”Shaft”という話もありました。Boston Dynamicsは今やヒュンダイが株式の80%を取得しています。


一方で、ソフトバンク自体は投資会社としてではなく、ロボットメーカーとしての立ち位置もあります。投資した会社の技術なども上手く使って、事業を広げている印象です。このやり方はソフトバンクとか、もしかしたらトヨタくらいにしかできないですね。

●ソフトバンクロボティクス

2014年設立。最初はPepperを主体とした事業を進めてきたが、2017年から業務用清掃ロボット事業への参入。2018年には、投資先のBrainの技術を使った床洗浄機「RS26 powered by BrainOS」の提供を開始。さらに、(Brainなど投資先の技術が使われているかはわかりませんが・・・)自社で清掃ロボット「Whiz(ウィズ)」を開発。今では、業務用の自律清掃ロボットとして世界シェアナンバー1。

2020年には、投資先のBear Roboticsの技術・商品を担ぎ、飲食店などで活躍する配膳・運搬ロボット「Servi(サービィ)」を発表。焼肉店など飲食店に一気に拡販。340台納品の発表は、個人的には2020年のロボット業界最大のニュースに選びたいくらいのインパクト。

さらに、2021年にはアイリスオーヤマと合弁会社「アイリスロボティクス」を作るなど、さらにロボット事業を拡大中。

ソフトバンクロボティクス自体の2020年業績は、売上95億円、純利益▲125億円となっています。まだまだ大変な状態かと思いますが、少々赤字があっても続けるという意志かあるから続けられると思いますし、ある意味ではソフトバンクだから取れる戦略かもしれません。

また、もともとフランス企業として、小型ヒューマノイドロボット「Nao」を作っていたアルデバラン社を買収し、ソフトバンクロボティクスヨーロッパに社名変更しています。

傘下には、「アスラテック」も持っています。2013年に創業し、吉崎さんが技術者として有名ですが、会社としても「V-sido」という汎用的なロボット制御ソフトをコアとした事業を展開しています。

最近は、配送ロボットの取り組みも加速しており、2020年に香港のRice Roboticsが開発した屋内向けの自動運転配送ロボット「RICE」の国内展開のサポートを開始しています。高輪ゲートウェイ駅での実証実験や、日本郵便による配送ロボットの活用に向けた実証実験にRICEを提供しています。

この他、ロボット界隈の自動運転、MaaS、AIの領域においては、もっと豪快な投資をしています。

米Uberや中国DiDi Chuxing(滴滴出行)、シンガポールのGrabといった配車プラットフォーマー、米GM Cruiseなど自動運転開発企業、自動運転車両運行プラットフォーム「Dispatcher」を展開するBOLDLYなどなど。


どれがアタリ、どれが上手く行かないかというかはわかりませんが、成功間近の企業に積極的に投資するというのは、資金力があるソフトバンクだからこそできる作戦で、今後の動きにも目が離せないですね。


では、また来週〜。

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安藤健(@takecando)

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