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『王様戦隊キングオージャー』第1話感想

第1話 我は王なり


物語の始まりの始まり

 伝説が語られる。
 昔々に人類とバグナラクとの争いがあり、人類が5人の英雄と守護神によって勝利し、救われたこと。その5人の英雄が王となって守護神であるシュゴッドと共に国を作り、長きにわたり平穏に暮らしてきたこと。しかしながら、誰によっていつなされたのかも分からない「2千年の眠りを経て、バグナラクが地の底から蘇る」という予言があり、今まさにその予言の年を迎えた……とさ。

 語りに沿って、映像が流れる。伝説を表した壁画、5人の英雄を象徴する5本の剣と様々な昆虫型ロボット、巨大な人型ロボット。5人の英雄が5色の光となり、5体のシュゴッドがそれぞれの王と共に世界各地に飛び立つ。光とシュゴッドが降り立った地では、5つの国と象徴となる城が建つ。
 誰もが見覚えのある青い惑星。「おや?」と思う間もなく、虫などや草の象形文字らしきものが示される。もちろん視聴者に読めはしないが、語りと同時に現れるので、予言が書かれていると察することはできる。そして予言の文字の向こうには、不穏なスモークと赤い光に包まれた謎の存在が……
 そして語りの終わり、静かに作品のタイトルロゴが現れる。

 なんと、ここまで1分足らず。視聴者は、この作品世界=チキューに生きる人なら誰もが知っている伝説と予言、5つの国とその成り立ちと、敵の名前と姿など、最低限の知識が頭に入る。さすがの親切設計。
 それにしたって、シュゴッドやキングオージャーはもちろん、5つの国が出来上がって城が現れる流れがカッコいい!もう夢中の私。ちょろい。
 語り手の男性の声質は高すぎず低すぎず耳馴染みが良いため、いささか大仰な語り口も気にならない。しかし、第1話冒頭にして、すでに行間が深いのだ。そして初見で誰が気付けるというのか……今見返しても唸らされる。何がどうだったのか、明らかになった時に言及するので、ここではあえて伏せておきます。

 スポンサー様用カット。どピーカンな青空、バンバン打ちあがる花火、どこからともなく降り注ぐ紙吹雪。旗飾りが掛けられた中世ヨーロッパ風の街並みに囲まれた広場の真ん中にある、古ぼけた巨大なクワガタの像。
 スポンサー各社の名前が並んでも、世界観に浸っていられる秀逸な映像。

5つの国、5人の王様

 白い雲の中を通り抜けると、内陸部の山々と、そのはざまに作られたいくつかの円環状の都市が見える。5王国の一つ「シュゴッダム」である。ひときわ大きな都市には、他の都市にはない巨大な木のような構造物がいくつかそびえ立っている。その構造物の上や地表の街などあらゆるところで、様々な大きなくくりでの虫型ロボットが行き交い飛び交い、たまにぶつかったりしている(笑)。
 クワガタの像がある広場では市民たちが集まって、軽やかな音楽に合わせて楽しそうに踊っている。空には花火がいくつも打ちあがり、大量の紙吹雪が舞っている。
 舞い踊る人たちをかき分けながら、10歳未満とおぼしき男の子が人の多さとにぎやかさに、今日はお祭りかと笑顔で見まわす。男の子を追いかけてきた10代前半の女の子が「調印式だよ」と彼に教える。
 二人を含む人々の上に飾られた、5王国の旗が映し出される。調印式が何かと聞かれた女の子は、それが何かは分からないものの、5王国の王様が集まるのだと話す。
 
 樹木型の構造物から伸びる空中回廊の中心。地表の賑やかさとは裏腹に、静かである。
 「……5王国同盟。ついにこの日が来たか」その声には感慨がにじむ。
 王宮らしき大きく威厳のある建物の前の広場に立つ、赤を基調とした衣装の二人の人物。
 二人は空を見ている。前に立つ人物はマントをまとい、遠目でも高い地位にあると分かる。後ろに立つ人物は腰に剣を提げた武官である。
 うまくまとまるでしょうかという渋みの利いた男性の声に、笑みを浮かべマントの人物が答える。「アクの強い王ばかりだからな」
 マントにはシュゴッダムの紋章、その腰には独特の装飾が施された剣を帯びている。

 イシャバーナ国・フラピュタル城。黄色を基調としたイシャバーナ国の紋章。王宮内は水が循環し、花びらが天井から舞い降り、そこかしこに色も品種も様々な花が咲いている。
 玉座の前には幾人ものメイドや従者たちが列をなし、両手に捧げ持った盆の上の靴などを一目見せては引き下がっていく。その横で、執事がどんな職業でどんな服装かを知っていれば1000%そうだと確信する、眼鏡をかけた初老の男性が、目の前の主に出発の時間だと声をかける。
 ヒメノ様と呼ばれた若い女性がきっぱりと言う。
「イヤ。おめかしが終わってない」
 ゴージャスなソファのような玉座にゆったりと座るヒメノ様。彼女の玉座の後ろでは、同じようにゆったりと横たわるカマキリ型メカ。
 彼女は気品ある美しい笑みを浮かべ、弱り切った執事にこう言い放つ。
「この私のお願い以上に、大事なことなんてある?」
 ため息をついて口ひげをいじり、やれやれと見やる執事。その後ろで笑みを浮かべながら、「いいえありません」とばかりに首を横に振るメイド長。
 二人に、ヒメノ様はいたずらっぽく笑いかける。ズル過ぎる可愛さ。

 トウフ国・タキタテ城。はるか遠くには富士山にそっくりな山。いくつもの六角形の田んぼに囲まれた山の頂上には城が建っている。その後ろには城と山とを足してもなお高い、何とも巨大な極彩色の屏風が建っている。
 いきなりパンチ力が強い。
 その城下。おにぎりを高く掲げて、今年の米の出来を褒めたたえる長髪の男性。彼がまとう黒地のフード付きの外套の背には、大きなトウフ国の紋章が白く染め抜かれている。フードにも袖にも身頃にも、様々な色やら地紋やらが使われていて、後ろ姿だけでも……あれ、やけに肩幅デカいな、とにかく尋常ではない。
 彼の前に居並ぶ人々はカグラキ殿(読みはどうも"トノ"らしい)の指導があってこそだと、数々の農作物を並べて褒めたたえる。
 カグラギと呼ばれた男性は、幸先が良いと喜び、これまたド派手な扇子を広げて、予言が外れて平和が続くことを願おうと、口元にご飯粒を付けたまま見得を切る。彼に合わせて、各々手持ちの扇子を広げ、共にポーズを決める民たちとハチ型メカ。つくづくパンチ力が強い。

 ゴッカン国・ザイバーン城。無機質で冷気漂う大広間を歩く、背に剣を背負った紫と黒の衣装の人物。天井から鎖で吊るされたベンチ状の長椅子。床には場を仕切るような柵が並ぶ。その中央で話し合う二人の人影。
 一人は若い女性で、バグナラクが蘇って大きな戦いになるという予言を信じているのかと尋ねる。
 若い女性が扉を開け、剣を背負っていた人物が外に出てくる。
 外は猛吹雪だが、リタと呼ばれた人物はまるで意に介さないように歩みを止めず、「我々のやるべきことは一つ」と決然と答える。
 雪と氷と森の中の、巨大な天秤を模した巨大な城の前で、リタ様は抜いた剣の先を地に打ち付ける。冷たい金属音を響かせ、「ただ不動を貫くだけだ」と揺らがぬ決意を語る。風になびくサラサラの長髪。カッコいい。
 ザイバーン城に止まっていた紫色のチョウ型メカが、ゆったりと羽を動かしながら城から離れる。
 
 ンコソパ・ペタ城。ザ・近未来SFの映像作品という外観で、メタリックでスケルトン感があってネオンが光っている。
 待ってぇぇぇぇ!と、若い男性の声が響く。その声に「お守りはいらねえって言ってんだろ」と答えながら、何かの中で何かを操る、リーゼントの髪形にどでかい耳飾りの、これまたザ・ヤンキーな出で立ちの若い男性。シュゴッドの合体は自分一人でやれる、と当然のごとく述べる彼の背後には、大きな構造物に取り付けられたンコソパの紋章のネオンサインが青く輝く。
 トンボ型のメカの前に駆けつけた若い男性は、これまた1000%舎弟な風貌と口調で「ヤンマ総長はオイラがいないとすぐもめるでしょ?」と話しかける。自分で自分を両手の人差し指で示す仕草があざとカワイイ。
 ヤンマ総長と呼びかけられた男性は、図星だったのか、舌打ちをしながら腰に横向きに差した剣の柄にある赤いレバーを引く。「シュゴッド!」の音声と共にトンボ型メカの口が開き、舎弟の男性を中に取り込む。ヤンマ総長は、トンボ型メカの中で一人で出発準備をしていたと分かる。
 トンボ型メカは素早く飛び立つと、まるでワープしたかのようにその姿が消える。

 ここまでで、シュゴッダム以外の国と城、国王とその名前、側近たちの顔ぶれ、それぞれのシュゴッドが分かる流れになっています。
 改めて見返すと、シュゴッド単体の操作の仕方や長距離移動の方法がちゃんと示されていて、こんなとこも行間深いな!と思いました。
 そして側近たちとの会話で、王様たちがどう「アクが強い」のかが垣間見えます。どう考えても5王国の会議がまとまる気がしませんね!

 シュゴッダムに到達し、着陸する4体のシュゴッド。シュゴッダムの民たちが歓迎する中、王たちが降り立ち、それぞれ側近と共に王宮へと向かう。
 ツンツンしてるヤンマ総長と歓迎ぶりに口を開けて驚いている舎弟の青年。笑顔で大げさに手を振るカグラギ殿の後ろには黒子……黒子!?可憐な笑みと共に手を振るヒメノ様と剣を捧げ持つ執事。表情がほぼ見えないリタ様とまるで興味なさそうにあくびしているメガネ女子……という具合に、王たちの訪問に沸き立つシュゴッダムの民たちに対し、四者四様というか側近含めて八人八様の対応や仕草にもそれぞれの個性がダダ洩れしている。

 出迎えた群衆の中の幼子が、リタ様の背にある剣を見て伝説の王剣と声を上げる。一緒にいた母親が興奮気味に本物の王様の証だと我が子に教える。
 さりげなく大事な情報を的確に教えてくれる親切設計。

 王様たちを出迎える、二人の男性。一人は先ほどの武官で、もう一人はいかにも文官らしく、左腕に書物を抱えている。
 王様たちが立ち止まると、武官が「ようこそシュゴッダムへ」と出迎えのあいさつをする。
 「まさかこの私を歩かせるとはね」とヒメノ様が毒づくと、文官が一礼しながら王たちの姿は民の希望になるのだと応じる。武官と文官が先を促す仕草をしながら身を引くと、扉が開き、王たちは中へと進む。
 進んだ先はエレベーターで、乗り込みながらヤンマ総長が「さすがシュゴッダムの国王様だ。考えることがご立派だ」と吐き捨てるようにつぶやき、透明の壁にもたれながら、遠くに見えるシュゴッダムの城を眺める。このエレベーター、クラシカルな装飾があるものの、壁が透明で外の光景が丸見えになっていて、しかも高速で上昇していく。高所恐怖症じゃなくてもちょっと……いや、だいぶ怖い。

 これまでの王様たちの言葉で、みんなそれぞれにシュゴッダムの王に好感をさほど持っていないらしいと察せられる。絶対まとまんないな、会議。

ギラ登場

 冒頭で出てきた男の子が、苦しげに咳をし、険しい顔で「邪悪の王め、コガネを離せ!」と叫ぶ。何事かと思うが、よく見れば身にまとっているのはシーツっぽい白い大きな布なので、ごっこ遊びしていると察せられる。
 彼の視線の先から、黒い布で顔を隠した人物が、少女を引き連れて高笑いしながら現れる。視点が変わり、先の男の子の他に数人の子供たちがいて、マント代わりの布を肩に巻いたり、細い棒を手にして身構えたりしている。
 黒い布で顔を隠した人物がいかにも悪者っぽい作り声で名乗りを上げる。
「そう、オレ様は邪悪の王・ギラ!卑怯・卑劣・残酷!オレ様が世界を支配する!!」
 この名乗りは、今後も様々な場面で様々に違う色合いで使われるため、要チェックやで!(Ⓒ某有名バスケットマンガ)
 やる気満々のチビッ子たちと違い、捕まった女の子=コガネのやる気のなさ。助けを求める声は、飽きたとかウンザリとかを越えてもはや何の感情もない。合わせるように牛ののん気な鳴き声まで響き渡る始末。
 チビッ子たちは伝説の英雄キングオージャーになり切っている。
 明るい日差しが降り注ぐ庭では、チビッ子たちの他にも花壇で水やりをする女の子、大きな木につるしたブランコで遊ぶ子たちや、洗濯物を干しながら談笑する女の子たちがいる。平和な日常の一コマ。
 突然、今月分の税を徴収しに来たと荒々しく告げる声がする。庭にいた皆が注目すると、一人の兵士と大人の男女二人組がもめ出した。この間払ったばかりだと抗議する男性と、王様の命令に逆らうのかと威嚇する兵士。女性は「ラクレス様がそんなことを言うはずないでしょ」と取り合わない。
 しびれを切らした兵士がさらに威圧しようとした時、ギラが兵士の方に腕を回しながら、兵士に同調するように男女二人に怒鳴りつける。
 不意に現れ、見ず知らずの青年に肩を組まれた兵士は、当然ながら「何だ貴様!?」とギラに問いかけるが、ギラは無視してオレ様たちが相手になるなどと言い出す。
 するといつの間にか高い所に登った子供たちが、一斉に足を踏み出し、剣代わりの棒を掲げて「合体!キングオージャー!」と叫ぶ。一番端には手で顔を覆うコガネちゃんの姿。
 子供たちは掛け声とともにギラや兵士に、当たったら痛そうな様々な物を投げつけてくる。止めろと喚いていた兵士は、とうとう「ただで済むと思うなよ!」という王道の捨て台詞を残して逃げ去っていく。
 逃げる兵士の後ろ姿に、棒を高々と差し上げて勝利を喜ぶ子供たち。思わず棒を上げて、ハッと我に返るコガネちゃん。
 大成功!と叫び、子どもたちとハイタッチするギラ。男性はギラに礼を言いつつも、王様の命令に逆らって捕まったら、園の子たちが路頭に迷ってしまうと心配する。
 ギラはそばにいた幼児を抱きあげながら、そんなことにはならないと穏やかに話す。王様は悪者じゃないというギラの言葉を笑顔でうなずきながら聞くコガネちゃんと男の子。
「王様は国民全体を守ってる。だから僕たちは手の届く大切な人たちを守る」それは王様の望みのはずだというギラを、男女二人は温かい笑顔で見つめる。幼児も可愛いが、幼児のほっぺをムニムニしながら、笑顔で話すギラもなおカワイイ。

 それにしても、劇中では「園」としか言っていないのに、この場面を見ただけで「ここは民営の児童養護施設で、ギラはここでずっと育ったんだな」と、事前情報が一切ないまま観た私にもちゃんと伝わったので、ホントこの作品すごいと思う。

 ここでのギラたちのシュゴッダム国王=ラクレスへの信頼や王様への思いもまた行間が深く、後々に様々に展開するので要チェックやで!(2回目)

どうなる、5王国同盟

 シュゴッダム王国の城内・王の間。リタ様の声が響く。ここはとにかく広く大きく天井が高い。天井には年季が入っていそうな壁画。広間の壁は配管や歯車などのレトロ感ある機械やクラシカルな装飾で埋め尽くされ、さらには騎士の石像が下座から上座までずらりと並ぶ。光源は少なく、陰影が濃い。
 もっとも下座に一列に並んで控える各国の側近たち。彼らの前に円形の壇があり、4人の王たちの席が向かい合うように配置されている。席のそばには一つずつ丸い台座があり、それぞれに王様たちの剣が刺さっている。
 リタ様は立っていて、手にした紙に書かれた文章を読み上げている。内容は来るべき危機=バグナラク襲来に備えて国境や利害の関係なく、一丸となって戦うという5王国同盟に関するものである。他の王様たちはそれぞれの姿勢で着席し、リタ様の声に耳を傾けている。

 天窓からの光を浴び、剣先を地に向けて持つ甲冑姿の騎士の巨大な立像。何たる威圧感。剣先の下の甲虫の角を模したモニュメントもまた、光を浴びて輝いている。モニュメントの真ん中には、4人の王たちと同じ剣が突き立っている。
 剣士の立像の前、床より一段高い壇上、赤色の歯車をモチーフにした玉座に、先ほどのマントをまとった男性が腰かけている。彼と国王たちの間には、先ほどの文官と武官が控える。

 リタ様が文書を読み終えると、シュゴッダム国王が口を開く。
「長きにわたる悲願であった守護神キングオージャーの復活が予言の年に達せられたこと、奇跡か運命…。この先どんな脅威が待ち受けようとも、シュゴッダムの国王ラクレス・ハスティー、民のためチキューのため、この命を捧げることを誓おう」
 その声は力強く豊かであり、時に右手を胸に添えて語る様は、気高く凛としていて威厳がある。そして記念すべきラクレス劇場第一幕の最初のセリフでもある。
 シュゴッダム国王が語る間、天井の壁画が映し出される。冒頭のキングオージャーの伝説を表した壁画と同じ絵である。

 ラクレス様の「剣を取ってくれ」という言葉を待たずに、カグラギ殿とヒメノ様が立ち上がり、元々立っていたリタ様と共に自分の剣を手にして剣先を空に向ける。
 とーこーろーがー!一人だけ、剣を手にするどころか立ち上がりもしない王様が!ずーっと椅子の座面に片足載せてるわ頬杖ついてるわとお行儀の悪さを1ミリたりとも直そうとせず、あとはお前だけだ、とリタ様に促されてもピクリとも動かないのは、そう、ヤンマ・ガストだ!
「ラクレスがキングオージャーの操縦権を握るってのが納得いかねえ」
 ヤンマ君の言葉に、カグラギ殿もヒメノ様も驚いたり呆れたりして、いったん剣を下ろして、椅子に座り直す。ただ二人も同じことを思っていたのか、ヤンマ君を責め立てたりはしない。

 ヤンマ君は顔だけをラクレス様の方に向け、「テメェがリーダー面をする道理は何だよ?」と問いただす。何ならちょっとケンカ腰である。
 ラクレス様は「始まりの国だからだ」とさも当たり前だという風に答え、玉座から立ち上がる。「キングオージャーはゴッドクワガタなくして蘇らない。であれば、私がその任を負うのは当然の責務なのだ」
 つまり、ゴッドクワガタはシュゴッダムのシュゴッドで、ゴッドクワガタがいないとキングオージャーは蘇らないのだから、シュゴッダム国王の自分こそがキングオージャーの主導権を握るのが自然当然当たり前である、ということ。並の人間ならそうですね!と納得してしまう威厳と威圧感。

 しかーし、そのラクレス様の言葉を、昔話だと鼻で嗤うヤンマ君。その上、二千年も動かなかったゴッドクワガタを電子制御で動かしたのは自分だ、とさりげなく自慢してくるではないか。
 ラクレス殿に任せて何の不満があるのかと尋ねるカグラキ殿。ラクレスは予言にかこつけて力を独占したいだけと疑い、睨みつけるヤンマ君。

 ヤンマ君に難詰されても、微塵の動揺も見せず、余裕たっぷりに玉座に腰かけるラクレス様。自分は常にチキューの平和を願っており、むしろヤンマ君こそが力を欲しているのではないか、と切り返す。話しながら頬杖をつき、笑みさえ浮かべて煽ってくるスタイルのラクレス様、マジでしびれる。
 煽られたヤンマ君、ナメんじゃねーぞと吐き捨てると、オレは降りると言って立ち上がり、剣を手にして帰ろうとする。リタ様が剣で行く手を遮り、カグラギ殿がバグナラクがいつ来るかも分からないと説得を試みる。しかし、「うるせえスカポンタヌキ」と独特の罵倒をすると、「オレがテッペンだ」と言い残して王の間を出て行く。

 キングオージャーどうこう以前に、普通に相性が悪そうなヤンマ君とラクレス様。ヤンマ君はラクレス様やシュゴッダムに色々と思うところがあるというのは今後明らかになりますが、果たしてラクレス様はどうだったのでしょうか。今のところは余裕たっぷりで相手にしてない感がありますね。

 王の間の扉の開け閉めをする武官、ラクレス様の剣を引き抜く文官など、王様たちをずっと見せるだけでなく、誰がどのタイミングで何をしているかみたいな細かいところまで行き届いている演出、大好物です。

襲来・バグナラク!

 ギラたちの児童養護園。庭で食事中の子供たち。しかし育ち盛りには全然足りない!おかわりしたことをコガネちゃんに突っ込まれても、まるで耳に入っておらず、男の子が〈レインボージュルリラ〉を食べたい!とテーブルの上に突っ伏す。向かいに座っていたギラが、男の子の皿にパンを一切れ分けてやり、いつか絶対食べさせてあげると言外に約束してなだめる。何だ、シュゴッダムの高級料理か?
 すると突然、衝撃音と共に地面が大きく揺れる。怯える子供たち。素早く動いて、子供たちをかばうギラ。

 シュゴッダムの王宮前広場も揺れる。王宮の外へ出てきた王や側近たちがそれぞれに驚く。「まさか、予言が……!?」と呟くカグラギ殿。

 激しく揺れている王宮内の玉座。険しい顔で座っていたラクレス様が剣を手に立ち上がり、いずこかへ向かっていく。

 広場に様子を見に来たギラとコガネちゃんと男の子。他の民たちも何が起きたのかと不安がり、子どもが怯えている。広場にいた虫型メカたちが一斉に飛び去って行く。
 城壁の向こう側に、遠くに霞む巨大な影がいくつも見える。それらが立てる煙か垂れ込める雲か、その向こうから不気味な姿が垣間見える。おののくシュゴッダムの民たち。悲鳴や「神の怒りだ」という嘆きの声が聞こえる。
 息を呑んで、見つめるギラ。

 険しい山肌の上。明らかに人類ではない外見で、生き物然とした生々しさとメカメカしい装備が独特の存在感を放つ。360度のどこから見ても絶対強いと確信できる風貌とあふれる威圧感――冒頭のスモークの向こうに見えていたバグナラクが、彼方を見据えつつ冷徹に言い放つ。固く握った拳には、積年の思いが込められている。
「人間どもは、皆殺しだ」
 彼の一歩後ろで、細長い杖のような棒のようなものを手にした、いかにも頭脳労働が得意そうな怪人(?)が不気味に含み笑いをしている。
 誰がどう見てもバグナラクの親玉とその幹部であるが、総攻撃を仕掛けているとはいえ、初回からアジトから出てくるとは、今回の敵はずいぶんとアウトドア派ですなあ。

 シュゴッダムの広場。街を取り囲む壁が壊され、破片がいくつも飛び散る。人々は悲鳴を上げて広場から逃げる。ギラも子どもたちをかばいつつ広場を後にする。

 シュゴッダム王宮前の空中回廊。剣をかざし、ラクレス様が檄を飛ばす。「悲劇にも予言は的中した。だが、我らはこの日のために備えてきた。戦士たちに、シュゴッドの加護があらんことを!!」
 他の空中回廊には、シュゴッダムが誇る屈強の兵士たちが整然と並び、その彼らの前にはヤンマ君たち以外の各国の王と側近、そしてシュゴッドが待機している。
 剣を手に取った王様たちは、それぞれにポーズを取り、剣の柄の虫の一部をかたどった装飾を操作し、「王鎧武装!」と叫ぶ!何だって!いきなり変身デスカ!?
 変身した王様たちが出撃するぞ!それどころじゃないけどワクワクする!

 シュゴッダムの壁の外。無数のバグナラクの下っ端たち=サナギムが地表を埋め尽くし、シュゴッダムに向けて進撃している。何体もいる巨大化したサナギムが、同じように巨大化したスコップ型の武器から砲弾をぶっ放す。炎をまとった砲弾は黒煙を引き、次々とシュゴッダムの街に落ちてくる。
 襲い来るサナギムの群れの中に飛び込み、シュゴッダムの街に降り立ち、戦う王様たち!
 襲い来るサナギムたちが巨神兵っぽかったりアタックオブタイタンだったりするの、これがオマージュっていうヤツなんですね、大好物です。

 街の中に落ちる砲弾がそこかしこで爆発し、炎や煙が上がる。街の中で暴れるサナギムや飛び交う銃弾、舞い上がる瓦礫の破片、そして逃げ惑う人々の間を縫って必死に駆け抜けるギラたち。一体の巨大サナギムがスコップ型武器を振るって塔を壊す。塔の先端部分がギラたちの前に飛んできて、それが地上に落下した衝撃にギラが吹っ飛ばされる。体を起こすギラ。男の子がコガネちゃんを呼ぶ声に目をやると、コガネちゃんは気を失って横たわっている。

 ギラはコガネちゃんのそばに駆け寄り、彼女を抱き起こして呼びかける。コガネちゃんは目を開けると、ギラに王様が守ってくれると呟き、再び気を失う。
 そんな彼らを襲おうとしたサナギムを切り裂く黄色の戦士=ヒメノ様!彼女はギラにコガネちゃんは自分にまかせて逃げろと落ち着いた声で告げる。
 うじゃうじゃと群れてくるサナギムをまとめて切り裂き、あたりを見回しながらヒメノ様は「ラクレスは何してるの!」といら立ちの声を上げる。
 その言葉を耳にしたギラは「王様が……」と呟き、彼方のシュゴッダム王宮に目を向ける。

「民は道具、私が国だ」

 シュゴッダム王宮内・王の間。扉が開く音がして、武官が振り返る。そこにはヘロヘロになって駆け込んできたギラ!武官は慌てず騒がず、重々しく「何者だ?どうやって城に入った?」と問う。

 息を整えて顔を上げたギラ(と視聴者)は驚愕の光景を目にする。何と先ほどあんなにカッコよく兵士たちに檄を飛ばしたラクレス様が、装飾が施された脚付きの杯を片手に、足を組んで玉座に腰かけているではないか!ラクレス様に盆にのせてグラスを差し出していた文官が、ギラの方を振り返る。ラクレス様は「何かな?」と目で問いかけ、笑みを浮かべる。
 呆然としつつ、そこで何をやっているのかとギラが問いかける。街で人が襲われてるのに、と訴えようとしたギラに、ラクレス様が「それは悲しいな。尊い犠牲だ」とゆったりと答える。

 予想外の言葉に耳を疑い、ギラは何を言っているのかと再度問いかける。
ラクレス様は続ける。今のこの事態は、ゴッドクワガタの目覚めを拒否したヤンマ・ガストのせいで起こったことであり、バグナラクを退けた後で正義の名のもとにンコソパに攻め入る、と。
 ラクレス様の言葉の意味をようよう理解しギラは、他国を侵略するためにわざとバグナラクを放置したのかと問い詰める。
 しかしラクレス様はギラの難詰など気にせず杯を傾ける。人聞きが悪いと一笑に付し、文官の持つ盆へと杯を戻す。
 ラクレス様は「全てはチキューを統一するためだ」とギラを見据える。玉座から立ち上がると剣を手に取り、ギラに歩み寄りつつ腰に収める。
「真の平和は、絶対的な力によってもたらされる。だからこそ、私の力で五王国を一つにする」

 ラクレス様の意図を知らず、王宮の外ではヒメノ様、リタ様、カグラキ殿がそれぞれの武器や戦闘スタイルでサナギムたちを倒し続けている。

 どれだけの犠牲を払っても他の4王国がシュゴッダムにひれ伏すまで戦い続けると語るラクレス様。
 思いもよらない言葉に打ちのめされ、ギラは目を伏せ、絞り出すように尋ねる。民を守るのが王ではないのかと。

 ラクレス様は答えた。「民は道具、私が国だ」

 ラクレス様の冷酷な言葉に、ギラは「ふざけるなーーーーー!」と一声吠えると、ラクレス様に掴みかかる。ラクレス様が体をひねってかわす。ギラの手はマントだけを掴んで、そのまま玉座に突っ込んでしまう。
 武官が取り押さえるべくギラに近づこうとすると、ラクレス様が止める。
 ふと、ラクレス様が自分の体に目をやり、マントだけでなく、腰にあるべきものがないことに気付き、ギラを睨み据える。
 右手に握った剣を杖代わりにして、ゆっくりと起き上がるギラ。

 街の広場。砲弾が飛び交う中、トンボ型のシュゴッドがクワガタの像のそばへと飛んでくる。中にはもちろんヤンマ君が乗っている。ヤンマ君はクワガタの像に向かって、起きろと呼びかけながら剣の虫の角型の装飾に手をかけ、レバーを倒すように操作する。しかし、クワガタの像には何の反応もない。「何で?ロックは完全に解除しただろ!?」と動揺もあらわにヤンマ君は何度も操作する。

邪悪の王、爆誕!

 王の間。王の剣があればみんなを救えるんだろ?とギラが問う。ギラが使うつもりなのかと思い、ラクレス様は「無駄だ。王以外は使えない」とくぎを刺す。悔しそうに、だからお前が使えと剣をラクレス様に向けるギラ。
 武官がギラに向けて剣を抜き、文官が身構える。

 ラクレス様がおもむろにギラに向き直り、真っ正面から見据える。
「……この私に、王に剣を向ける意味が分かっているのか」
 一時的な昂ぶりは鎮まったものの、ギラはラクレス様に向けた剣を下ろさない。ラクレス様が追い詰めるように畳みかける。
「お前は今、世界の敵になったのだ!」

 ギラの剣を持つ手が細かく震えだす。状況を理解し、恐れと怯えが目元でたゆたう。目は潤み、呼吸が乱れる。
 目を閉じ息を整え、再び目を開けた時、その眼差しには決意が宿っていた。顔を伏せ、口元を大きく歪ませる。にじんだ涙を左の拳で乱暴に拭う。
「……望むところだ」その声は小さかったが、ギラの口調に揺るぎはない。
「貴様の語る正義など、つまらん下らん気に食わん!子供たちを犠牲にすることが正義なら、オレは!正義をぶっ潰す悪になってやる!」
 顔を上げて高らかに告げるギラ。その表情にはもう恐れも怯えもない。ラクレス様から奪ったマントを身にまとい、玉座の前に堂々と立つ。先ほどとは180度違う方向で昂って来たのか、ギラの身振り手振りが大きくなり、しまいには剣を高々と掲げて言い放つ。
「恐怖しろ!そしておののけ!一切の情け容赦なく、一木一草ことごとく、貴様を打ち滅ぼすものの名は、ギラ!邪悪の王となる男!オレ様が、世界を支配する!」

 その時、クワガタが中に入った琥珀色の宝玉のようなものが光り輝く。それは虫の角型のモニュメントに収められていたようで、そこからまばゆい光が放たれる。
 その輝きは町の広場のクワガタの像にまで届き、一瞬にして像を覆っていた土くれやら何やらがボロボロと崩れ落ちる。
 本来の鮮やかな赤い体色が現れる。クワガタのシュゴッドが体を大きくそらせ、咆哮を発する。その衝撃に、周囲にいた全てのサナギムがなぎ倒されて悲鳴を上げる。
 突然のことに、戦っていたヒメノ様たちも、起動しようとしていたヤンマ君も驚く。

 光に包まれたギラが、王宮前の広場に姿を現す。クワガタのシュゴッドが待っていたかのように飛んでくる。クワガタのシュゴッドは広場に着地し、語りかけるように鳴き声を発する。間をおいてオレ様も気に入ったとニヤリとギラが笑う。
 王宮の上では駆け付けたラクレス様が広場を見下ろす。「バカな、何故……?」と自問する姿には、明らかな動揺がある。

 笑みを浮かべ、剣を掲げると、ギラは剣の装飾に手を伸ばして、一つ一つ操作する。「王鎧武装!」ポーズを取ってそう叫ぶと、ギラが赤い戦士に変身する!
 ギラが変身する動作を一つ一つ丁寧に見せることで、剣の装飾が何を表し、何故変身するのに剣が必要なのか、つまり真の王様の証とはどういうことかが改めてここで分かる。
 何はともあれ、とにかくカッコいい。

 第1話の見せ場の一つ、ギラとラクレス様が初めて対決する場面。まるで舞台劇の緊迫感と臨場感です。
 ラクレス様のパワーワード「民は道具、私が国だ」は視聴者に衝撃を与えました。まず言葉そのものが強烈です。いかにも世界を支配しようとする人間が考えていそうなことですが、この言葉を口にして、これほど様になる人物がいるのかということに最も驚きました。こういう独裁者然としたことを口にするキャラは、どこかに小物感が漂うものですが、ラクレス様にはまるでありません。表情、仕草の一つ一つに堂々たる威厳と風格があります。
 ギラもまた、自分の理想=夢想を壊された時の怒り、一瞬の昂ぶりで全てを失ったと気付いた時の絶望と動揺、ラクレス様の正義を真っ向から否定するために「邪悪の王」を名乗る決意と覚悟……その心の移り変わりが表情の変化だけで十分に伝わってきて、非常に見ごたえがあります。

 さて、あまりにもテンポよく話が進んでいくため、初見では話の展開をそのまま受け入れていました。改めて見直していて気付いたのですが、ラクレス様はなぜ、こんなどこの誰とも分からぬ一青年に、自分の企みを明かしたのでしょう?そしていくらでも取り押さえようがあったのに、結局捕まえず、逆に煽るように試すように、言葉でギラを追い詰めました。そしてクワガタのシュゴッドの目覚めに対して何故動揺したのか。そこに深い行間があるのかないのか……視聴者たちの悶々とした日々が始まります(笑)

キングオージャー、降臨!

 クワガタオージャーの姿に変身したギラは、クワガタのシュゴッドの上に飛び乗り、「行くぞ、クワゴン!」と呼びかける。クワゴンは正式名称ではなく、ギラ独自の愛称。ネーミングセンスかわいい。
 クワゴンが呼びかけに応じると、ギラは一瞬のうちにクワゴンの中に移動した。そこは、ヤンマ君がトンボのシュゴッドを操っていた時と同じ作りのコクピットである。上から装置が降りてきて、ギラの上半身に装着される。ギラが体を動かすと、その装置もギラの動きに合わせて動く。
「降臨せよ、キングオージャー!」
 ギラが叫ぶと、コクピットの中が赤く光り、勢いよくクワゴンが飛び立つ。メカなのにクワガタの薄い羽根までちゃんと再現してあるんだな。

 シュゴッダムの街。カマキリ、ハチ、チョウのシュゴッドが一目散に同じ方向へ飛び立つ。驚くヒメノ様たち。

 クワゴンたちは空の上で集まると、飛びながら変形を開始する。あれ、数が多いな?そして初回でいきなり初変形、初合体!まだ王様たちが集まってないのに!(笑)
 どのシュゴッドがどのように変形し、どの部分になってどう合体するのかをじっくり見せる。しかしメインのシュゴッドのトンボとチョウが合体して剣になるのは予想外。楽しい時間なんだけど、こんなに時間をかけて、1話のうちに敵を倒せるんだろうかと少し心配になる。
 合体を終え、1体の人型ロボットが地表に降り立つ。これこそが伝説の守護神・キングオージャーの雄姿!
 それぞれの場所で息を呑んで見上げる、ヒメノ様たち、ヤンマ君。

 キングオージャーの中。シュゴッドの中のコクピットはそのまま使われ、ギラが操縦している。腕の形をした装置の右手には剣が握られている。
 邪悪の王モードのまま、意気揚々とダンゴムシの特徴を持つ怪人(公式設定上では怪ジームという)の前へとキングオージャーを進ませるギラ。向かい合うなり、両者の切り合い殴り合いが始まる。怪ジームの攻撃の隙をついて剣で斬り付けるキングオージャー!負けじと怪ジームが、体の中から無数の丸い爆弾……丸まったダンゴムシを放つ!えっ!コワッッッ!!

 飛んできたダンゴムシ……爆弾は、キングオージャーやその周りの家々に当たり、爆発!立ち上る炎と煙、飛び散る土や家の破片!しかし攻撃をものともせず、間を一気に詰めてキングオージャーが怪ジームに再び斬撃を浴びせる。
 いかんせん、それまでの戦闘経験はごっこ遊びだけ、そして当然ながら巨大ロボの操縦経験もないので、ギラが所かまわず剣をぶん回した結果、街の塔に刺さってしまう。キングオージャー大ピンチ!

 するとギラは、クワゴンだけをキングオージャーから分離させるという、文字通りの離れ業を思いついて実行する。クワゴンは怪ジームに突っ込んでその角で挟むと、はるか彼方へとぶん投げる!落ちてきた怪ジームの衝撃で地面が揺れ、その近くにいたシュゴッダムの兵士たちが悲鳴を上げながら倒れ込む。

 キングオージャーはクモ型シュゴッドから網を放って怪ジームの動きを封じると、剣にエネルギーをため込む。もがく怪ジームがダンゴムシ……型爆弾を浴びせるが、ものともせずに駆け出す。
 「貴様らのような雑魚ごとき、ひねり潰してくれるわーーー!!!」
 ギラが叫ぶ。勢いよく助走をつけて、キングオージャーが跳ぶ。渾身の一撃が怪ジームに炸裂!キングオージャーが着地した一瞬ののち、怪ジームは木っ端みじんに爆発、ひときわ大きな炎が上がる!炎を背に、勝利のポーズを決めるキングオージャー!これこれ、カッコいいとはこういうことだ!
 ……とはいえ、壊し過ぎじゃない?

 戦いが終わり、シュゴッダムの街に降り立つクワガタオージャー。変身が解けたギラが、夕暮れに染まる街を見る。クワゴンがいずこともなく飛んで行く。

 〈これは、王たちの物語〉語り部がゆっくりと言葉を紡ぐ。
 ヤンマ君、ヒメノ様、カグラキ殿、リタ様がそれぞれに思いを巡らす。

 〈……そして、いつか王になる男の物語である〉
 ギラが暮れなずむ空に剣を掲げる。「オレ様が、世界を支配する!みんなを守るために!」
 そこへ、シュゴッダムの兵士たちが何人も現れ、ギラを取り囲む。兵士たちを見渡すギラ。その表情は落ち着いている。

 シュゴッダム・王の間。玉座のラクレス様が、厳しい顔で宣言する。
「反逆者の名はギラ!捕まえ次第、死罪とする!!」

 ラクレス様の声が聞こえたかのように、ニヤリと笑うギラ。
 さて、どうなるギラ!どうなる次回!?

 というわけで、ここまでが1話です。全部で正味30分ないとか、あり得ないほどの濃厚さです。しかし、それを感じさせないテンポの良さ、緩急のメリハリ、簡潔かつ平易な言葉を使いながらも印象に残るセリフの数々。放送時にギラとラクレス様の対決の場面を見て、「勝った!」と思いましたが(何に?)、ラクレス様のファンが自らを道具と名乗るほどに「民は道具、私が国だ」が人気になるとは思いませんでした。さて、道具……いやさ、シュゴッダムの住民になるにはどこで手続きができますか?

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