歯黒猛夫

1962年生、大阪府出身在住のライター。合同会社オフィステイクオー代表。これまで100…

歯黒猛夫

1962年生、大阪府出身在住のライター。合同会社オフィステイクオー代表。これまで100冊以上の書籍執筆に携わり、現在、双葉社運営サイト「BRAVO MOUNTAIN」(https://bravo-m.futabanet.jp/)にて「関西鉄道路線周辺曼荼羅 」を連載中。

マガジン

  • 「浪花百景」のいまを訪ねる

    江戸時代の大坂を描いた浮世絵「浪花百景」。描かれた場所を訪ね、現在のようすと周辺界隈についてをレポートします。

  • 大阪府内の各役所・役場をたずねる

    大阪府下43市町村の役所・役場を人口の少ない順にまわり、散策した周辺のようすも紹介します。月1更新の予定

  • 大阪の穴場&珍名所

    京都や奈良、神戸にくらべて観光名所が少ないといわれる大阪。そんな中でもガイド本などでなかなか取り上げられない穴場や珍名所を紹介していきます。

最近の記事

【PR】「大阪がすごい」(ちくま新書)

経験もコネもないのにかかわらず、ライターを本業としたのは24年前。 それまではカレー屋を営んでいました。 当初はタウン情報誌やミニコミ誌などをメインにしていましたが、書籍に携わりはじめたのは2009年のこと。 その後、100冊以上の本を出してきたものの、著者本は恐竜関連と将棋関連の2冊だけです。 けれども、恐竜にはさほど興味がなく、将棋は駒の並べ方と進め方しか知りません。 そんなわたしにとって、自分の名前で自分の書きたいことを記した本が出ました。 タイトルは「大阪がすごい」、

    • 「浪花百景」のいまを訪ねる④

      天下茶屋公園と木津川河口(西成区編)薬店跡とされる天下茶屋公園    前回までめぐった浪速区の次は、南に位置する西成区を歩いた。あまり大阪に詳しくない人であれば、「西成」という地名を聞くと眉をひそめる方もいるかもしれない。しかし、西成というのは区の名前であり、特定の場所を指すわけではない。  悪くイメージされがちなエリアは釜ヶ崎、萩ノ茶屋、山王といった地域で、岸里や玉出、天下茶屋や津守などは、ごく一般的な住宅街であり工場地である。もちろん、危険な雰囲気はまったく感じられな

      • 大阪府内の各役所・役場をたずねる②

        コンパクトに凝縮された町の成り立ち・田尻町 かつては日本でもっとも狭かった町  大阪府内の市町村のなかで、田尻町は2番目に小さい自治体である。ただ、2006年まではもっとも狭く、全国でも最少だった。広くなった理由は、泉佐野市・田尻町・泉南市にまたがる関西国際空港の建設と、空港の対岸に造成された「りんくうタウン」の埋め立てにともなうものだ。  現在の田尻町の面積は5.62平方キロメートル、人口は約8000人。埋め立てなどが行なわれる前は3.86平方キロなので、このエリアに住

        • 大阪の穴場&珍名所③

          思っていた以上に魅力のつまった街(平野郷) 南海平野線の平野駅跡をたずねる  ご存知の方も少なくなったであろうが、かつての南海電鉄には「平野線」という路線があった。大阪市西成区の今池から平野までを結び、その距離は5.9キロ。専用軌道ではなく併用軌道、すなわち路面電車であり、現在の阪神高速松原線にほぼ沿う形で通じていた。廃止となったのは1980年のことである。  40年以上も前の話なので、その痕跡はほとんど失われているだろう。個人的には、勝手にそう思っていた。だが、いまも停

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        • 「浪花百景」のいまを訪ねる
          4本
        • 大阪府内の各役所・役場をたずねる
          1本
        • 大阪の穴場&珍名所
          3本

        記事

          「浪花百景」のいまを訪ねる③

          廣田神社と今宮戎神社(浪速区編) 廣田神社の神使は魚介類のエイ  浪速区内に神社はいくつかあれど、全国的にも有名なのは今宮戎神社だろう。毎年1月9日から11日まで行われる「十日戎」は大勢の参拝客でにぎわう、大阪でも屈指の祭礼である。今宮戎ほど名は知られていないが、約100メートル離れた場所に鎮座するのが廣田神社だ。  明確な創建の時代は不明だが、神功皇后が三韓征伐より帰還のころに祀られたとも伝わる。この神社で、ほかと大きな違いといえるのが神社の使いが「エイ」であること。そ

          「浪花百景」のいまを訪ねる③

          大阪府内の各役所・役場をたずねる①

          もはや「村」はブランドである!・千早赤阪村 できたてほやほやの新庁舎  4月に上梓する予定の新書のため、大阪じゅうを歩きまわった。その際に思ったのが、大阪に60年以上も住みながら知らない場所が多すぎる、ということだ。  ならば、あらためて大阪の全市町村を踏破してみようじゃないか。では、訪ねるポイントはどこがいい。主要駅とも考えてみたが、鉄道の通っていないところもある。  現在、大阪府下にある自治体の数は43市町村。そこに必ず一つしかない施設がある。役所であり役場だ。役所・

          大阪府内の各役所・役場をたずねる①

          大阪の穴場&珍名所②

          再オープンに期待がかかる「最後の負の遺産」(なにわの海の時空館) コスモスクエア駅からシーサイドプロムナードを歩く  バブルがとっくに弾けた2000年に開館し、わずか13年で閉館した博物館が大阪市住之江区にある。その名は「なにわの海の時空館」。  176億円の総工費をかけ、年間60万人の来場者を見込んだものの初年度の20万人が最高で、その後は赤字を垂れ流しつづける。赤字額は年間で2億円から3億円。閉館後も10年で7000万円の維持費を計上したらしい。 そんな、博物館の現状

          大阪の穴場&珍名所②

          「浪花百景」のいまを訪ねる②

          長町毘沙門堂から五階百貨店まで(浪速区編) ■ オタロードの中にある「毘沙門堂」  大阪市24区のなかで、もっとも狭いのが浪速区だ。ただ、区内には前回紹介したなんばパークスがあり、大相撲春場所が開かれる大阪府立体育館(エディオンアリーナ大阪)もあり、日本橋商店街もある。なんばシティは本館の半分と南館が浪速区で、南海の難波駅は北改札口と中央改札口が中央区、南改札口は浪速区。誤解されることもあるが、通天閣のある新世界も浪速区である。  電気の街、サブカルの街として有名な日本

          「浪花百景」のいまを訪ねる②

          大阪の穴場&珍名所①

          残されたもの失われていくもの(浜寺公園) 大阪屈指の名勝地だった浜寺公園  関西の観光地といえば、京都に奈良、神戸の名が挙がりがちだが、もちろん大阪にも観光名所はある。その中には、ガイド本などではなかなか掲載してもらえない、穴場や珍名所も存在する。そんな、「知る人ぞ知る」というようなスポットを訪ねてみた。  第1回は、「浜寺公園エリア」を紹介したい。  浜寺公園は1873(明治6)年に開園した日本初の公営公園であり、白砂青松の名勝地とされ人気を博していた。大正時代から昭和

          大阪の穴場&珍名所①

          「浪花百景」のいまを訪ねる①

          鉄眼寺から難波御蔵まで(浪速区編) ■ 中華風の建物が印象的な「鉄眼寺」    豊臣政権が終わって政治の中心が江戸に移っても、大坂は経済の中枢でありつづけた。堂島には米市場が設置され、中之島界隈には全国の大名の蔵屋敷が立ち並び、豪商が生まれて活況を呈していた。  そんな江戸時代の大坂の姿をいまに伝えるのが、浮世絵の「浪花百景」と「浪華百景幷都名所」の「浪花百景之内」だ。いずれも19世紀半ばから後半の作とされ、浪花百景は歌川國員、中井芳瀧、森芳雪、浪華百景幷都名所は長谷川

          「浪花百景」のいまを訪ねる①