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終章 毒とはうまくつきあおう 1.外来の毒生物:「特別展「毒」」見聞録 その32

2023年04月27日、私は大阪市立自然史博物館を訪れ、一般客として、「特別展「毒」」(以下同展)に参加した([1])。

同展「終章 毒とはうまくつきあおう 1.外来の毒生物」([2][3]のp.160-161)では、外来の毒生物が展示された。

日本に侵入した毒生物には、ヒアリ、アカカミアリ、ツマアカスズメバチ、および、セアカゴケグモなどが含まれる(図32.01,[4][5][6])。 

図32.01.日本に侵入した毒生物。
①ヒアリ、②アカカミアリ、③ツマアカスズメバチ、および、④セアカゴケグモ。

一方で、2019年終わり、米国西海岸で東アジア原産のオオスズメバチ(Vespa mandarinia)が2匹目撃された。当時、ソーシャルメディア上では「殺人スズメバチ(murder hornets)」として話題になった。

オオスズメバチは侵略的外来種として米国で問題になっているが、それに新たな英名が与えられた。2022年07月25日、米国昆虫学会(ESA)はオオスズメバチの英語での一般名として「ノーザン・ジャイアント・ホーネット(northern giant hornet)」を採用した(図32.02,[7][8])。

図32.02.アジアから北アメリカに侵入した毒生物。
①オオスズメバチ(外来種)、②クロスズメバチ属の1種(北アメリカ在来種)。

毒生物に限らず、外来生物は、生態系への影響を及ぼし(例.グリーン アノール)、人の生命・身体への被害をもたらし(例.セアカゴケグモ)、そして、農林水産業への被害をもたらす(例.アライグマ)([9])。

一方、米国では、日本在来のコガネムシの一種であるマメコガネが大豆やトウモロコシなどの農作物に深刻な被害を与え続けている。また、クズは現在、米国内でその繁殖に歯止めが利かず、草原や森林の植生を塗り替えてしまい、さらには自動車や建物、電線までもあっという間に覆い尽くしてしまう「グリーン モンスター」として恐れられている([10])。

世界各地の本来の生態系を維持するために、人の生命や身体の健康を守るために、そして、農林水産業への被害を最小限に抑えるために、毒生物に限らず、外来生物をできるだけ駆除する必要がある([11])。

それが無理というなら、とりあえず飼い猫を完全室内飼育しよう([12])。


参考文献

[1] 独立行政法人 国立科学博物館,株式会社 読売新聞社,株式会社 フジテレビジョン.“特別展「毒」 ホームページ”.https://www.dokuten.jp/,(参照2023年08月28日).

[2] 独立行政法人 国立科学博物館,株式会社 読売新聞社,株式会社 フジテレビジョン.“終章 毒とはうまくつきあおう”.特別展「毒」 ホームページ.https://www.dokuten.jp/exhibition05.html,(参照2023年08月28日).

[3] 特別展「毒」公式図録,180 p.

[4] 環境省 自然環境局  野生生物課 外来生物対策室.“ヒアリの基礎情報”.日本の外来種対策 ホームページ.外来種問題を考える.注目の外来種.要緊急対処特定外来生物ヒアリに関する情報 トップページ.https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/attention/02_general/index.html,(参照2023年08月28日).

[5] 東京都環境局 自然環境部計画課.“ツマアカスズメバチ”.気をつけて!危険な外来生物 トップページ.外来生物について.https://gairaisyu.metro.tokyo.lg.jp/species/danger_17.html,(参照2023年08月28日).

[6] 東京都環境局 自然環境部計画課.“セアカゴケグモ”.気をつけて!危険な外来生物 トップページ.外来生物について.https://gairaisyu.metro.tokyo.lg.jp/species/danger_01.html,(参照2023年08月28日).

[7] 株式会社 日経ナショナル ジオグラフィック.“「殺人スズメバチ」が米国西海岸に上陸、SNS話題”.ナショナル ジオグラフィック トップページ.ニュース.動物.2020年05月12日.https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/20/051100280/,(参照2023年08月28日).

[8] 株式会社 日経ナショナル ジオグラフィック.“「アジアの」「殺人」スズメバチに新たな英名、なぜ?”.ナショナル ジオグラフィック トップページ.ニュース.動物.2022年08月04日.https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/22/080100351/,(参照2023年08月28日).

[9] 東京都環境局 自然環境部計画課.“外来生物が及ぼす被害”.気をつけて!危険な外来生物 トップページ.外来生物について.https://gairaisyu.metro.tokyo.lg.jp/species/damage.html,(参照2023年08月28日).

[10] 株式会社 読売新聞東京本社.“海外で嫌われる…日本発の“外来種””.読売新聞オンライン トップページ.深読み.2018年10月08日.https://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/20181003-OYT8T50070/2/,(参照2023年08月28日).

[11] 環境省 自然環境局  野生生物課 外来生物対策室.“外来種の防除”.日本の外来種対策 ホームページ.https://www.env.go.jp/nature/intro/3control/index.html,(参照2023年08月28日).

[12] 環境省.“希少種とノネコ・ノラネコ”.環境省 ホームページ.政策.政策分野一覧.自然環境・生物多様性.希少な野生動植物種の保全.https://www.env.go.jp/nature/kisho/noneko.html,(参照2023年08月28日).

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