DAZNバスケ担当の1年間 vol.③
Vol.③は僕が今回一番やりたかった事を200%やらせてもらった
"THE FOCUS"に関してです。
W杯前に配信したこのコンテンツ、実は大事件が起きていました。
ウぉーーーーーー!!!!!!!あの井上雄彦先生からのお・ス・ス・メ!
「スラムダンクをこよなく愛する党」の一員としてはこれ以上の嬉しみは
ないぐらい高ぶった。
まさにゴリが深体大から誘いを受けて吠えた時と同じ気持ちね。
今回はこの企画の制作背景、制作秘話、制作の想いなどなど
色々書き記したいのですが、いかんせん文才と構成力が伴わないので、
恥ずかしながら自分で自分を取材しちゃいました....
以下、語り手・取材・編集/市来健
Q."THE FOCUS"とはどんなコンテンツ?
1.W杯に挑む選手一人一人の歩み
2.それぞれの考え方や価値観
3.キャリアにおけるW杯の位置づけ
大きくはこの3つを軸にしたショートドキュメンタリーです。
Q.なぜこのようなコンテンツを作りたかった?
企画段階で意識したのは、なるべく多くの選手を知れる特集にする事。
これはキレイごとではなくて、本当に代表メンバー12人分作りたかった。
それにDAZNならそれが出来ると思っていました。
どういう事かというと、僕自身テレビ局で仕事をしていた時期があり、
ゴルフや陸上といったいわゆるマイナー競技の担当をしていました。
例えば1分のゴルフニュースで、本当は純粋な優勝争いを伝えたいのに、
そこまで活躍してないけど知名度のある人気選手を軸に50秒、
本当に伝えたい優勝争いは結果だけ10秒、なんて事がざらにあった。
どこの放送局を見ても、同じ人を同じような切り取り方。
今で言えば、シブコシブコシブコ。(個人的には渋野選手大好きです。)
無名選手の優勝より、人気選手のトップ10入りの方が重宝される世界に
これが本当にスポーツ報道かと、やりきれない思いを何度も味わいました。
それはビッグイベントも一緒で、ごくたまに稀なストーリーを持つ選手が
取り上げられる事はありましたが、基本的には人気選手が特集されました。
(個人の経験に基づく)
それがDAZNに移って良かったと思うのは、代表戦やオリンピック、
W杯などのビックイベントだけではなく、むしろ普段のリーグ戦にいかに
価値を持ってもらい視聴してもらうか、がサービスの軸であるという事。
当然、W杯をきっかけにBリーグで活躍する選手を知りファンになって
もらう事で、Bリーグ自体もシーズン通して応援してもらえた方がいい。
だから八村選手や渡邉選手のようなNBAで活躍する選手だけでなく、
Bリーグを含め、なるべく多くの選手を特集したかった。
Q.その応援したくなる、
ファンになれるようなコンテンツを目指した?
はい。これは僕自身の経験からになりますが、「情熱大陸」で全く自分が
知らない職人の特集でも食い入るように見てしまった経験はありませんか?
なんとなくその人の思考に粋を感じたり、苦難な道のりに共感したりする。
そういったストーリーや、哲学、夢や挑戦を知る事、つまり深くその「人」を知る事で初めて、無関心だった人➪知ってる人➪応援したい人という
サイクルが機能すると考えました。少なくとも僕自身はそうでした。
W杯はほとんどの選手にとって初めての世界舞台。
「人生最大の大舞台」とも言える大会を前に、選手たちがどんなきっかけでバスケットを始め、どんなキャリアを送ってきたのか、またその過程で
どんな事を考えていたのか。これが最終ゴールなのか、通過点なのか。
1.歩みはその選手の「ストーリー」
2.考え方や価値観は「哲学」
3.W杯の位置づけは「夢や挑戦」
自分理論に当てはめて、取材を重ねました。
Q.結果的には比江島選手、篠山選手、竹内譲次選手、ニック・ファジーカス選手、渡邉雄太選手の5人に
これは取材タイミングやリソースの問題が原因で本当に悔しかった。
ただ12人を目指していなければ5人を特集する事は不可能でした。
<取材時期>
比江島選手 5月下旬
篠山選手 6月下旬
竹内選手 6月下旬
ニック選手 7月下旬
渡邉選手 7月下旬
※6月~7月中旬までキャンプ、サマーリーグ、7月下旬~8月には代表拘束
取材期間はそれぞれ1日、多くて2日。
一見、隙間を見て他の選手も取材できそうですが、
先ほど触れた自分理論の形に寄せるため、全選手の撮影、取材、構成、編集を自分で担当しました。
さらに8月に入ると代表合宿の密着取材もあったので、
撮影➪取材➪構成➪編集のヘビロテ地獄に陥りました。
このヘビロテ地獄を見越して、昨シーズンが終わった5月から動き出して
いたので、何とか5人の特集を制作する事が出来たと思います。
もし、最初から5人と決めていたら2~3人が限界だったかもしれません。
Q.それぞれの選手の印象は?
比江島選手はどんなに短い取材でも、
その時の考えや思いを自身の内側と対話し、炙り出してくれます。
その「間」がなんとも心地よく、どんどん話を聞きたくなる選手です。
実際、この一年間で最もインタビューしている選手かもしれません。
ちょうど僕が取材を始めた頃からは、キャリアを通じても苦しい時期にいる事の方が多いかもしれませんが、だからか人一倍応援したくなる選手ですしそんな時期だからこそ、ちゃんと本人の口から語られた想いや考えを
届けたいと思わせてくれる選手です。
篠山選手は1対1で取材をさせて頂くのは今回が初めてでした。
これは取材を通して分かった事ですが、練習中の篠山選手はこちらが
話しかけるのを躊躇してしまうぐらい黙々と没頭します。
正直最初はその距離感が分からず、上手く話しを聞き出せるか不安でしたが
練習が終われば気さくな兄貴肌。何を訊いても自分の考えを的確に話すのが上手くて、それでいて人間味を感じられる、大好きな選手です。
そのON・OFFの凄みにプロフェッショナルを感じました。
ニックはいつも気取らない気さくなパパみたいな存在です。
早い段階から打ち解けられたと思いますし、とにかく壁を作らない選手で
こういう選手が代表にいる事は改めて大きな存在だなと思います。
ただ、表で見せる表情とは裏腹に歩んできた道のりは壮絶で、
今回の取材を通してそういった背景を知れた事で、
より日本を愛し楽しんでいるニックを応援したくなりました。
あと、時間を見つければいつもシュートを打っています。何気ない1本1本の
積み重ねがあの繊細なシュートタッチを生んでいるのだと感心しました。
譲次選手はクールハンサム。それでいてものすごく真面目。
言い換えれば責任感が誰よりもあって、恐らく自分に満足した事ないのではというぐらいストイックです。
一回り以上年齢差がある後輩に対しても、純粋に学ぶ姿勢を持ったり、
実際に向上心を持つだけでなく、プレーで成長を証明している所は本当に
尊敬でしかありません。
多分自分自身が一番自分自身の成長にワクワクしているのではと思います。
最後に渡邉選手。僕が初めて目にしたNBAプレーヤーです。
最初の取材はいきなり車中という密閉空間でしたが、
初対面の相手に対しても誠心誠意向き合ってくれている事が、
少ないやり取りの中でも感じられる、本当にナイスガイでした。
印象的だったのは車中の取材から1週間後。
今度は座りでしっかりめのインタビューを取らせて頂いたのですが、
言葉の節々に感じる熱量や眼光の鋭さ、まるで"覇気"を纏ったような
エネルギーの圧は今までの取材では感じた事のない初体験でした。
W杯のモンテネグロ戦もそれに近いのかもしれませんが、普段の柔らかさとスイッチをいれた時の野性味溢れるギャップが魅力的な選手です。
Q.結果、ファンの醸成に一役買えたと思いますか?
ここまで偉そうに書いていて申し訳ありませんが、正直分かりません。
数字だけで見れば特別多く見られたというデータはありませんし、
1人10分以上のコンテンツは今の時代長すぎないかとの意見もありました。
ただ本音を言えば、多くの人に見られ数字上でも結果が出る事に越した事はありませんが、例え1人でも100人でも10000人でも、観てくれた人にとって
深く印象に残ってくれていたり、深く選手の事を知れたコンテンツに
なっていてくれればこれ以上にHAPPYな事はありません。
Twitter上でのそういった声には本当に勇気をもらっていました。
そしてファンの方のみならず、選手との信頼関係という意味でも、僕らは
取材させて頂いている側として、最低限のマナーやコミュニケーションは
もちろん、制作したコンテンツの中身で選手やクラブから信用を勝ち取っていかないといけないと思っています。
そういった意味で、コンテンツ制作を通して選手から顔を覚えてもらったり声をかけてもらえるようになったり、また取材を快く受けてもらえる事は
数字には表れない信用を少しは得られたのかなと満足しています。
今回の"THE FOCUS"はW杯の事前コンテンツとして制作しましたが、
実はいつ見ても選手それぞれのストーリー、哲学、夢や挑戦を知れるように構成したつもりです。まだ見ていない方はその選手を気になった時に。
一度見た方でも、ぜひお気に入りの本と同じように時々見返して頂けたら
嬉しいです。
比江島 慎選手
https://youtu.be/hRBRgMqjM5M
篠山 竜青選手
https://youtu.be/SufoMZQcUi4
ニック・ファジーカス選手
https://youtu.be/8rhvyUbBuCQ
竹内 譲次選手
https://youtu.be/Ka9AQgNReBw
渡邊 雄太選手
https://youtu.be/i1dC55nRoYI
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