マガジンのカバー画像

戦後日本の居住文化

59
間取り集、家相本、日曜大工・・・。戦後日本の居住文化を紐解くことで、わたしたちにとっての住まいを再考します。
運営しているクリエイター

記事一覧

「滋賀の家展」勝手にスピンオフ|『滋賀からの戦後住宅』妄想目次

7月から9月にかけて滋賀県立美術館にて開催された企画展「滋賀の家展」。今回、おそれ多くも…

リカちゃんとプレハブ住宅|幻の「インスタントハウス」

書籍だけにしておけばいいのに、家づくりグッズ沼に足を踏み入れつつある今日この頃、ヤフヲク…

大げさにいえば戦後住宅のふる里|「滋賀の家展」を読む

滋賀県立美術館の開館40周年記念企画展「滋賀の家展」がスタートしました。会期は2024年7月13…

「ローマ字の日」に読みたい原浩『家-建築の話-』|大きな夢を描くために

今日、5月20日は「#ローマ字の日」。 戦後教育改革期の文部省著作ローマ字教科書『MATI』(19…

1961年5月10日、家を買う|稲沢市中ノ庄土地付分譲住宅契約書類を読む

今日、5月10日は家尾勝太さん(仮名)が愛知県稲沢市「中之庄団地」の分譲住宅を購入した日で…

大黒柱をささえるママへ|1966年『パパと健康』を読む

今日のジャケ買い。近藤宏二『パパと健康:フジサワホームドクター』(藤沢薬品工業、1966年)…

植田展大『「大衆魚」の誕生』から「マイホーム」の誕生を妄想する

待ちに待った新刊、植田展大『「大衆魚」の誕生:戦間期における水産物産業の形成と展開』(東京大学出版会、2024)。 全国で日常的に大量の水産物を消費するようになったその萌芽=大衆魚の誕生を戦間期にみる試みです。 ただ、そうした展開は当然とつぜん生まれたものではなく、その萌芽が戦間期にみられたという見立て。そこで本書は「日常的に水産物を消費する生活」を可能とした萌芽を、需要と供給の両面から明らかにします。戦後高度成長に連なる新たな消費生活の原型がそこに浮かび上がるというワク

高度経済成長期の「受胎告知」|1961年「ナショナルテレビ・カタログ」を読む

たまたまヤフヲクで手に入れた松下電器産業「ナショナルテレビ・カタログ」。1961年版のそれは…

あたらしい「しきたり」|塩川弥栄子『冠婚葬祭入門』を読む

戦後日本の住宅を再考するためには「新婚住宅」について調べなければ、という問題関心の一環(…

ぼくは王子様になったようだ|1960年代、プレハブ勉強部屋という「お城」

ヤフヲクで入手した古雑誌をつれづれなるままにペラペラめくっていたら「永大の勉強部屋」(永…

「建築家住宅」批判の語られ方|「家は建てたが…」座談会から小島信夫、山口瞳の家づ…

建築家に依頼して自邸を建てた文化人たちが、いかにヒドイ家を建てられ憤慨しているかを語り合…

伊勢湾台風から64年|竹内芳太郎「海の中の干拓地」と小菅百寿『農村のブロック建築』…

9月26日で伊勢湾台風から丸64年を迎えました。真珠筏を心配した祖父がこの台風で亡くなったこ…

救援物資にもなった組立家屋|キートンの短編映画「文化生活一週間」をみる

里見弴の小説「極楽とんぼ」(1961)にこんな文章が登場します。 さらにこう続きます。 この…

『夢の新婚住宅をあなたも|戦後家族のつくられ方』【妄想企画メモ】

たまたま名古屋松坂屋がたぶん1960年代後半に出してたと思われるカタログ『FOR YOUR Bridal』を手に入れました。タイトルのとおり、これから結婚式を挙げようとするふたり向け商品カタログです。というか正確には「ふたり」というより新婦となる女性向けの編集になっています。というのも最後のページにあとがき的に記された「きょうを大切に」という文章にこうあるので。 令和のいま読むとドキッとする「性別役割分担」節炸裂ですが、当時としてはむしろ姑のいる「家」に入るのではなく「新し