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戦後日本の居住文化

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間取り集、家相本、日曜大工・・・。戦後日本の居住文化を紐解くことで、わたしたちにとっての住まいを再考します。
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記事一覧

大げさにいえば戦後住宅のふる里|「滋賀の家展」を読む

滋賀県立美術館の開館40周年記念企画展「滋賀の家展」がスタートしました。会期は2024年7月13…

「ローマ字の日」に読みたい原浩『家-建築の話-』|大きな夢を描くために

今日、5月20日は「#ローマ字の日」。 戦後教育改革期の文部省著作ローマ字教科書『MATI』(19…

1961年5月10日、家を買う|稲沢市中ノ庄土地付分譲住宅契約書類を読む

今日、5月10日は家尾勝太さん(仮名)が愛知県稲沢市「中之庄団地」の分譲住宅を購入した日で…

大黒柱をささえるママへ|1966年『パパと健康』を読む

今日のジャケ買い。近藤宏二『パパと健康:フジサワホームドクター』(藤沢薬品工業、1966年)…

植田展大『「大衆魚」の誕生』から「マイホーム」の誕生を妄想する

待ちに待った新刊、植田展大『「大衆魚」の誕生:戦間期における水産物産業の形成と展開』(東…

高度経済成長期の「受胎告知」|1961年「ナショナルテレビ・カタログ」を読む

たまたまヤフヲクで手に入れた松下電器産業「ナショナルテレビ・カタログ」。1961年版のそれは…

あたらしい「しきたり」|塩川弥栄子『冠婚葬祭入門』を読む

戦後日本の住宅を再考するためには「新婚住宅」について調べなければ、という問題関心の一環(というか脱線)で「ブライダル」関連本のほか、最近すこし「冠婚葬祭」本にも守備範囲を広げています。 たとえばこれ。1970~71年にかけて光文社「カッパ・ホームス」シリーズから出版された『冠婚葬祭入門』正・続・続々3冊(1970-71)、さらに姉妹編『図解冠婚葬祭』(1971)は4冊合計700万部のベストセラーとなったのだそう。 著者の塩月弥栄子は裏千家14代家元・千宗室の長女。茶道研究

ぼくは王子様になったようだ|1960年代、プレハブ勉強部屋という「お城」

ヤフヲクで入手した古雑誌をつれづれなるままにペラペラめくっていたら「永大の勉強部屋」(永…

「建築家住宅」批判の語られ方|「家は建てたが…」座談会から小島信夫、山口瞳の家づ…

建築家に依頼して自邸を建てた文化人たちが、いかにヒドイ家を建てられ憤慨しているかを語り合…

伊勢湾台風から64年|竹内芳太郎「海の中の干拓地」と小菅百寿『農村のブロック建築』…

9月26日で伊勢湾台風から丸64年を迎えました。真珠筏を心配した祖父がこの台風で亡くなったこ…

救援物資にもなった組立家屋|キートンの短編映画「文化生活一週間」をみる

里見弴の小説「極楽とんぼ」(1961)にこんな文章が登場します。 さらにこう続きます。 この…

『夢の新婚住宅をあなたも|戦後家族のつくられ方』【妄想企画メモ】

たまたま名古屋松坂屋がたぶん1960年代後半に出してたと思われるカタログ『FOR YOUR Bridal』…

「家庭」写真の写し方/近代「家族」のつくり方|1950年代写真マニュアル本を読む

写真はまったくの門外漢で、スマホ撮影のみな日常ですが、ひょんなことから「家庭写真」本をコ…

「箸の日」に読みたい民俗学者・高取正男「生活の知恵」|ボクのお茶わん・ワタシのお箸

8月4日は #箸の日 です。 1968年から69年にかけて朝日新聞に連載された「生活の知恵」には、その名も「箸」と題された第2回含め、日本人の箸への感覚と、その意識がもつ文脈をわかりやすく説かれています。書いたのは民俗学者・高取正男。 たとえば連載第1回目はこう説きはじめられます。「『ボクのお茶わん』『ワタシのお箸』などといって、茶わんと箸だけは、それぞれ個人用のものをきめている家庭は多い」。でも西洋料理や中華料理はそうではない、と。 なぜ、そんなことをしたのか?高取は