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自分の気持ちの整理の仕方を教えてください!

①気持ちを整理するにはどうすればいいの?

松本市で月一回開催している坐禅イベント「zen café」のアンケートにて、先日こんな質問をいただきました。

「自分の気持ちの整理の仕方を教えてくれませんか?」

気持ちを整理する方法。
毎日を幸せな気持ち、穏やかな心で過ごすにはどうすればいいのか。
おそらく私を含め多くの方にとって、自分の心との向き合い方は重要な課題なのではないかと思います。
そこで今回は、こちらの回答を中心にお話しさせていただきたいと思います。

早速結論ですが、気持ちを整えるための方法をお伝えします。
それは、

「まずは体から整えましょう!!」

ということ。
「気持ち(心)と向き合うのに体が関係あるの⁉︎」と思われた方もいらっしゃると思います。
実は体が超重要です。笑
なぜなら、私たちの心はこの体の中にあるからです。
そもそも、気持ちが整理できていないのはどんな状態でしょう。
「今日は嫌なことがあって、気持ちがモヤモヤする」
「先のことを考えると、なんだか心が落ち着かないなあ」
このように、未来を憂い・過去を後悔するとき、私たちは心が乱れるのではないでしょうか。
その結果、今やるべき事に集中できない。
そんな時、皆さんならどうしますか?
「こんなことで落ち込んでちゃダメだ。もっとしっかりしなきゃ。」
そうやって自分で自分に言い聞かす方もいらっしゃるのではないかと思います。
しかし、私たちの気持ちは不思議なもので「忘れよう」「頑張ろう」とすればするほど、さらに心は落ち着かなくなってしまいます。

「気持ちは心でコントロールできない」

気持ちが落ち込み苦しい時は、どれほど心で「穏やかになれ」と言い聞かせたところで思い通りになりません。
私たちは気持ちを心でコントロールできないのです。
だって、もし友人の恋人を好きになってしまったら「あの人は諦めろ」と何回言い聞かせても簡単にはその気持ちは無くなりませんよね。笑
そんな、言うことを聞いてくれない気持ちをコントロールするにはどうすればいいのか。
そこで重要になってくるのが、私たちの体なのです!

②体を整える具体的な方法

仏教に「身心一如(シンジンイチニョ)」という言葉があります。
これは、自分の身体と心は一つのもので分けることができないという意味。
先ほど述べてきたように、心は自分でコントロールすることはできません。
しかし、体なら習慣・生活を通してコントロールすることができます。
そこで、まずは体を整えることで心も整えていくのです。
言うことを聞いてくれない厄介な気持ちをコントロールするために、体からアプローチする。
だからこそ、「まずは体から整えましょう!!」が気持ちを整理する方法なのです。
頭だけで悩まず、行動あるのみ!

では、具体的にどのようにして体(生活習慣)を整えるのか。
人によって様々だと思いますが、代表的なものを四つ挙げていきます。
⒈掃除
生活環境を整えます。例えば「靴を揃える」「不要なものは捨てる断捨離」など、毎日を過ごす自分の部屋を整頓します。
⒉食事
私たちの体をつくる食事。お付き合いがあるので毎日は難しいかもしれませんが、暴飲暴食は避け、なるべく健康的な食事を心がけます。
⒊睡眠
食事と同じく体の健康を保つ睡眠。また不足しがちな休息も含まれます。人によって必要な睡眠時間は違いますが、自分にとって十分な時間を確保しましょう。また、お仕事によっては難しい場合もありますが、早寝早起を意識します。
⒋瞑想
これは「自分と向き合う時間」のことです。例えば「ポジティブ日記(日常を前向きに捉える)」「坐禅」などです。また、ご自宅に仏壇がある方は「ご先祖さまに手を合わせる(感謝する)」のもオススメです。

以上は、あくまでも私が普段心がけている生活習慣です。
なんか全部、当たり前のことばかり。笑
でも、この当たり前を続けていくのがメチャクチャ難しい。
「最近、気持ちがモヤモヤするな」と感じたら、四つの習慣を見直し、必要があれば改善していきます。
これ以外にも、「朝の散歩」や「音楽を聴きながらコーヒータイム」なども有効かもしれません。
皆さんも、それぞれ自分にあった心と体を整える生活習慣を探してみてください。

③気持ちの整理が苦手な高校時代

未来を憂えず・過去を後悔せずに、今に集中する気持ちの整理法。
ここまで、体と心を整える私の生活習慣について述べてきました。
しかし、私自身が初めからこれらを実践できたわけではありません。
むしろ、規則正しい生活は大の苦手でした。
今でも得意分野ではありませんが。笑

特に、高校時代の私は気持ちの整理ができず、毎日をやる気なく過ごしていました。
「授業なんか受けても無意味なんじゃないか。」
「学校に通うよりも、もっと有意義でやるべきことがあるんじゃないか。」
明確な原因があったわけではありません。
強いて言えば、生活習慣の乱れでしょうか。
やる気が起きないので、お昼頃に起きて学校に行く。
しかし、学校に行っても授業に集中できない。
次第に「こんな生活を送る自分に価値はあるのか」と自分を責め、気持ちが沈んでしまう。
そして落ち込んだ気持ちの整理ができず、前向きになれないまま翌日も遅刻してしまう。
そんな悪循環の毎日でした。
改めて振り返ると典型的な劣等生です。笑
これは余談ですが、私は高校時代の同級生と結婚しました。
元同級生の妻が当時の担任の先生に結婚報告に行った際、
「竹村だけはやめといたほうがいいぞ。あいつはダメだ。」
と言われたそうです。笑
先生、たくさん迷惑かけました。ごめんなさい。

そんな劣等生の私も、先生の支えもあり、何とか高校を卒業し駒澤大学仏教学部に進学しました。
大学では、寮生活でした。
しかも、普通の寮ではなく、仏教学部の学生だけが入るゴリゴリ体育会系の寮です。
先輩も同級生もみんな丸坊主。
毎日がプチ修行生活です。
5時起床→坐禅→お経→掃除→朝食→学校→夕食→入浴→お経の練習→就寝
それまで、不規則な生活をしていた私にはつらい日々でした。
けれども、不思議と充実感があったのです。
環境の変化は厳しい面もありましたが、「将来、社会の役に立てる住職になろう」とやる気も生まれ、毎日楽しく学校に通っていました。
卒業単位以外にも教員資格を取得し、あれだけ迷惑をかけた母校にも教育実習に行きました。
あの時の「何でお前がここに」という元担任の先生の顔が忘れられません。笑

気持ちの整理ができず、前向きになれない高校時代。
やるべきことに集中し、毎日が充実した大学時代。
その違いは、どこから生まれたのでしょうか。
それは、やはり生活習慣です。
早寝早起で規則正しい生活。
そんな生活を通して、前向きに気持ちが整えられたのです。
おそらく、これをご覧になっている皆さんにとっては当たり前で拍子抜けしたのではないかと思います。
しかし、そんな当たり前のことを当たり前に日々繰り返す中で、やるべきことに集中できた自分がいたのです。
生活を整えることで、毎日の自分の気持ちにも変化が生まれた。
それ以来、気持ちがモヤモヤして落ち着かないときは、自分の生活を見直すようになったのです。

④気持ちを整える一番のおすすめ方法は、やっぱり坐禅

先ほど、具体的な体の整え方として坐禅を紹介しました。
坐禅の心得として「調身(チョウシン)・調息(チョウソク)・調心(チョウシン)」という言葉があります。
「調」とは「ととのえる」という意味。
「身体(姿勢)を調え、呼吸を調え、心を調える」
坐禅と聞くと、どうしてもじっと我慢する厳しいイメージを持たれるかと思います。
しかし、実は坐禅というのはリラックスし、気持ちを穏やかに過ごす安らかな時間なのです。
壁に向かって座り、姿勢を正し呼吸をゆっくりと整えることで、次第に心も穏やかに整えられる。
つまり、姿勢や呼吸といった体の状態を整えることで、モヤモヤした気持ちを整えていくのが坐禅です。
そして、この心得は坐禅だけでなく日常生活にも当てはまります。
規則正しい生活習慣を心がけ、ゆったりした呼吸を意識して毎日を過ごすことで、次第に気持ちが整理され穏やかな心で日々を送れるのです。

はじめに、「まずは体から整えましょう!!」とお伝えしました。
「今日は嫌なことがあって、気持ちがモヤモヤする」
そんな時は、「早く忘れて切り替えなきゃ」といきなり心で気持ちを整えようとするのではなく、まずは体(生活習慣)を整えることから始めてみてください。
きっと、丁寧な生活を送るあなた自身が、あなたの支えになってくれると思います。
そして、「坐禅なんか効果あるの?」と疑問に思われた方は、ぜひ一度体験してみてください。
劣等生坊主がお待ちしてます。笑

参考文献:枡野俊明著『心配事の9割は起こらない』三笠書房