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エレベーターで「大学院、楽しいですか?」と聞かれた話

ある日の夕方、帰路につく学部生の波を逆流しながら、大学院の講義を受けるため、講義棟のエレベーター前まで辿りつきました。
自分が大学構内にいることを示すプレートを裏返し(そういえば、あのアレってなんていうんだろうと思って「出席 プレート 裏返す」で検索したら「回転ネーム表示盤」とか「回転標示盤」とかいうんですね)、エレベーターの扉が開いたところに滑り込みました。
講義が始まる5分前に着けたことに、ギリギリでいつも生きていたい系大学院生としてはホッとしつつ、院生室がある階のボタンを押して「閉」ボタンを押そうとしたところ、視界の端にこちらに駆け寄ってくる人影が見えたので、「開」ボタンに指を移動させてその方が乗るのを待ったのでした。

「何階ですか?」と私が聞けば良かったのに、その一言が出てこなくて、その方が何階に用事があるのかわからないままドア近くのボタンの前から一歩下がりました。他の階を押す気配もなかったので、「同じ階に用事があるのかな」と思うことに。
私がボタンを押した階は、院生室と先生の研究室と院生用の講義室があるので、基本的には顔を知っている人しか同じ階に用事がないはずなのですが、たまに先生の研究室に用事がある学部生も見かけることがあるので、そのパターン?なんて思いながら、狭い密閉空間で空を見つめていたのです。

「大学院、楽しいですか?」

後方から声がして、突然のことに驚きつつ、振り返りながら「はい、楽しいです」と答えました。
私の答えを聞いて、その方は私の事をパンフレットで見たこと、そして大学院への進学を考えていることを教えてくれました。
ええ、確かに私は今年の大学院のパンフレットにメッセージとともに写真まで掲載されているのです。なぜ自分は大学院に進もうと思ったのか、大学院ではなにを研究する予定なのかなどなど。大学院に入ってすぐ依頼があって原稿を書きました。

実のところ、こんなの読む人いるのかね、と思いながら書いた原稿ですが、そういえば自分も大学院に進むか考えていたころ、そのパンフレットは隅から隅まで読んだな……と思い出しました。

エレベーターが目的の階につくまでのほんのひと時でしたが、「また今度機会があったら話聞かせてください」、「もちろんですよ」なんてやり取りをして私はエレベーターを降りました。
その方はひとつ下の階の講義室だったらしく、何階なのか聞かなかったことを反省しながら、別れ際もう一度「大学院、楽しいですよ」と伝えました。
きっと、エレベーターに乗って「あ、パンフレットの人だ」と気がついて、目的階のボタンを押すよりも、声をかけようかどうしようか考えてくれていたのだと思います。余計、何階なのか聞けばよかったです。
本当に申し訳ない。

今思えば、メールアドレスが書いてある名刺渡せばよかったと後悔しておりますが、今後noteで「大学院に進んでどうよ」とか、決してラクではないけれど「なにがどう楽しいのか」みたいな記事を書いていけたら、声をかけてくれた方のように大学院への進学を考えているひとに一例を示すことができるのかなと思うので、そのあたりもちまちまと書きたいと思います。

とりあえず今回は、声をかけてもらって嬉しかったです、という話。


追記(20240302)
この話をきっかけに #文系大学院生のあれやこれ としてマガジンにまとめてみることにしました。
まとめてお楽しみいただけますと幸いです。(まだ記事そんなないけど)

ポップな文章をさらにお手軽な分量にしたつぶやきを不定期更新している #文系大学院生のゆる3行日記 も併せてどうぞ。

最後まで読んでくださり、ありがとうございます