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社員のやる気、数字で見せる「人的資本」こそ競争力

AIが進化してきて、色々な仕事が奪われるという記事がたくさん書かれているようですね。

なんか寂しいような怖いような話です。

でも一方で全てをAIに任すことはあり得ないし、結局は松下幸之助さんが言われた「事業は人なり」という経営哲学が確信をついているのかもしれないですね。

それを認めるように今

企業会計では資産とみなされない社員のスキル、やる気などを数字で開示

する企業が注目されています。

そこで今日はかつての勢いを失った日本企業の再生につながるか?という思いをこめて

*人的資本を数字で開示する企業が増えている
*日本企業の人的資本をめぐる構図
*ESGの“S”は株価に影響しやすい
*日本の社員エンゲージメントは低い
*多様性や公平性をめぐる雇用インパクト会計

とみていきながら

人的資本の会計は、企業と社会をつなげる重要指標に

という指針の変化を感じていこうと思います。

*人的資本を数字で開示する企業が増えている

日本の上場企業の多くはアベノミクス以降に、株主にもたらす利益を最大化すべく「ROE(自己資本利益率)」を上げることに集中してきました。

しかし最近、風向きが変わり大手の企業で方針や評価の際に、人に着目してきている企業が増えています。

オムロンの場合

3月の期経営計画に「人的創造性」を高めるという異色の目標を掲げたそうです。
オムロンの人的創造性は、同社が1年間に生み出した付加価値を総人件費で割って算出する方法を取ります。目標は2024年度までに7%増を掲げています。

実はごく一般的な労働生産性の考え方に沿った公式ですが、人件費をコストとみて削減するのではなく、人に投資して付加価値で売上を伸ばして利益を増やす考え方です。

味の素の場合

食をめぐる知識を深めたり、次世代リーダーを育成したりする費用を「人財投資額」として開示しています。

その費用は2020年から3年間1人当たり88万円を見積もっています。

双日の場合

社員の新分野への挑戦を上司の評価によって「チャレンジ指数」に換算して、重要な経営指標のひとつと位置づけています。

上司の評価が「平均より上」の割合で23年度に70%を目指しています

*日本企業の人的資本をめぐる構図

岸田政権の新しい資本主義実現会議でも、形には残らない人への投資を評価する方法論をさぐっています。

費用としての人件費から、資産としての人的投資へ

と企業が人にフォーカスしてそれを開示する流れが出てきています。

世界経済を見渡すと、グーグルやアップルなど巨大IT(情報技術)プラットフォーマー「GAFAM」の圧倒的な強さが目を引きます。

これらの企業は共通してビッグデータや人工知能(AI)エンジニアらのスキルといった無形資産で稼いでいるのです。

日本もここを目指さないとういけないのでは?と思わせます。

というのも知的財産などを評価する米オーシャン・トモの試算では、米企業の株式時価総額の約9割は無形資産に由来するからです。

そしていち早く米証券取引委員会(SEC)は企業に人的資本にかかわる情報を開示させる仕組みを整えました。

*ESGの“S”は株価に影響しやすい

企業の「ESG(環境・社会・企業統治)」と株価の関係を調べた資産運用会社、ニッセイアセットマネジメントは、将来の収益にダイレクトにつながる

「Society(社会)」が最重要

という結論にたどりつきました。

同社は「社外でのボランティア活動や寄付行為よりも、能力や意識を高める教育システムがあるかどうかをみる」といいます

一方で課題として「なにが企業価値の源泉なのかを表現できている会社はまだ少ない」とも指摘してます。

それだけまだ価値観の変化に関して、どの会社も手探りなのかもしれません。

*日本の社員エンゲージメントは低い

人的資本の評価を測る目安に、仕事に対する熱意や満足度といった社員の内面がひとつの指標になります。

「士気が高く熱意のある社員」の割合を示す「社員エンゲージメント」をみると日本は本当に低いのです。

GAFAMの躍進するアメリカは、34%と高い比率を示しています。
チャイナドリームの中国で17%です。
お隣の韓国でも12%ですが日本は僅か5%なんです

信用評価会社クレジット・プライシング・コーポレーション(東京・中央)は、日本企業のクチコミサイト「オープンワーク」に寄せられる社員の匿名投稿をAIで分析して、個々の企業の働きがいのスコアを投資家に売っています。

今後は、日本もやりがいが投資に結びつく流れがやって来そうです。

*多様性や公平性をめぐる雇用インパクト会計

経営の神様と言われているパナソニックに創業者松下幸之助氏は冒頭で述べた「事業は人なり」を理念に置いています。

そのことは

どんなに完備した組織をつくり、新しい手法を導入してみても、それを生かす人を得なければ、成果も上がらず、企業の使命も果たしていくことができない

と言いたかったのですね。

それを別の形で表しているのが、ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)が開発した「雇用インパクト会計」です。

企業の雇用が社会に与える影響まで数字にする指数なのです。

人種構成が偏っていたり、管理職に女性が少なかったりすると、一定の計算式で「負のインパクト」の是正コストを算出しています。

優良企業と思われる米国一流企業であっても完ぺきではありません。

スターバックスは

社員の男女比、人種比に地域格差はないかという
社員の多様性」に

シスコシステムズは

一般社員と管理職で男女比、人種比に差がないかという
昇進の公平性

に改善の余地があることが分かりました。

こういう指数で指摘される事で

企業を変える力になる

と評価を受けています。

終身雇用は無くなっても、働く人の力に支えられている限り
人的資本の会計は、企業と社会をつなげる重要指標にあり続ける
と思います。

日本が最後尾からどれだけ追いつけるか?私たちの意識を変える事から始めていかないといけないと感じました。

#人的資本 #やる気 #エンゲージメント #資産 #日経新聞

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