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ウクライナ存立かかる電子政府

ウクライナ侵攻ですが、小国ウクライナが圧倒的な軍事力で差のあるロシアに対して善戦していると言えます。

その大きな要因はIT技術を駆使してSNSなど情報戦を有利に展開していることですよね。そういう意味でも世の中のキーはDXだと言えます。

近年、仮想エストニア国民(e-レジデント)など時代を先取りした取り組みで先進的ICT(情報通信)国家として「エストニア」が知られるようになったのですが。

「データ大使館」構想という「国とは領土ではなくデータ」という考え方

を持っているそうです。

今日はそんな情報データに関して、エストニア、韓国、日本と比べながら

*エストニア、不可侵の「データ大使館」に基幹データ退避
*韓国、サイバー防衛拠点を集約 データセンターは首都から離す
*ウクライナ、エストニアを参考に電子政府を構築中だった
*日本、危機の「想定」はできているか?

とみていきながら

インターネット・インフラのレジリエンスを高めるには平時から「想定」が欠かせない

という日本の課題をみつめていきたいと思います。

*エストニア、不可侵の「データ大使館」に基幹データ退避

フィンランドの南、ロシアの西に位置するエストニアのコトカ氏は、電子政府における

「デジタルコンティニュイティー(デジタル継続性)」

の重要性を繰り返し強調しているそうです。

それは

「エストニアは、政府機能の全てがデジタルになれば、たとえ領土を失っても国家を運営できる」

というものです。

電子政府を支えるシステムが他国からサイバー攻撃を受けた場合や、侵攻を受けてITインフラの安全稼働が脅かされる事態に備え、政府の基幹データのバックアップを国外に持ち、すぐにシステムを再稼働できるようにすることを目的にしています。

この構想を「データ大使館」と呼んでいます。

実際にルクセンブルクのデータセンターに「国家運営を継続できる最低限のデータセット」のバックアップを構築しています。

具体的には裁判記録、土地登記、年金保険登録、課税対象者登録、身分証明書登録などのデータを備えているのです。

そして「大使館」とはウィーン条約の下、設置国の官憲であっても敷地内に許可なく立ち入ることができないのですが、これと同様に、データ大使館も国外にありながら

「完全な制御と管轄権」

を維持できるというわけです。

*韓国、サイバー防衛拠点を集約 データセンターは首都から離す

同様に好戦的な隣国を抱え、国家レベルのサイバー攻撃にさらされている点で、エストニアと同じ悩みを抱えているのは韓国です。

そこで、韓国もITの発展とともにバラバラに構築・運用されていた行政システムを、

大田(テジョン)
光州(クァンジュ)

2つのデータセンターに集約しています。

データセンター集約には2つの理由があったのです。

1つ目は高レベルのサイバー防御を適用できる点 

です。

政府の情報システムに外部からのサイバー攻撃に対するセキュリティーの機能を集中させることで、守りを1点に集中できるからです。

2つ目はデータセンターを首都ソウルから離すことです。

万一北朝鮮と紛争が起きて首都であるソウルが攻撃を受けた際にも、政府の活動を継続できるようにすることです。

普段は大田、光州のデータセンターが別個の政府システムを稼働させているのですが、仮に1つのデータセンターが全面的にダウンしても、もう1つのデータセンターで業務を継続できるようになっています。

韓国では、政府だけでなく民間企業も「戦時」を想定したITインフラを構築しているそうです。

今回ウクライナもアメリカのスペースX社がサポートしていますよね。

「サムスンでは少なくとも00年代から、経営トップがボタン1つで情報システムの運用を海外のデータセンターに移管できるバックアップ体制があった」

という発言もあるそうです。

*ウクライナ、エストニアを参考に電子政府を構築中だった

ウクライナ政府は19年、エストニアの電子政府システムを支える基幹技術として知られる

「X-Road(エックスロード)」

をベースとした官庁間データ交換システム

「Trembita(トランビタ、ウクライナの木管楽器を指す単語)」

を稼働させました。

ウクライナ政府が19年に設立した新しい官庁

デジタルトランスフォーメーション省

を立ち上げてDX推進に努めてきたからです。

20年には政府ポータルサービス「Diia(ディーヤ)」を開始して、スマートフォンアプリを経由して電子運転免許証や国際ワクチン証明書を発行できるようにしました。

仮にロシアの侵攻を受けたウクライナ政府要人が国外で亡命政府を立ち上げ、一方でロシア軍が後ろ盾となり国内に暫定政権を立ち上げた場合、統治の正統性をめぐって同じウクライナ人同士が争う格好になる可能性があります。

しかし、亡命政府が住民データや電子政府システムの権限を引き続き掌握できれば、亡命政府は統治の正統性を主張しやすくなるのです。

*日本、危機の「想定」はできているか?

日本が置かれた状況は、エストニアやウクライナなどとは大きく異なり、軽々に比較できるものではないのですが、何度も北朝鮮から打たれる弾道ミサイルの事を考えるとアメリカと深い友好関係にある日本はしっかり考えていかないといけない立場であると言えます。

しかし、現在の日本のインターネットを支えるインフラは停電・災害・紛争といった各種リスクに対し、

レジリエンス(復元力)の点で盤石とはいえない

と言わざる負えません。

ウクライナ侵攻の翌日トヨタがサイバー攻撃で工場停止に追い込まれています。因果関係は分からないものの攻撃でシステムがダウンした事は事実です。

東日本大震災以降も東京・大阪にインフラ拠点が集中

している現状であり、震災が大きく考える機会であったのに一部では、東日本大震災時から余り変化ないとも言われています。

東日本大震災の時よく耳にした

「想定外」

を未だよく耳にします。もちろん全ての事態に対応できるシステム構築なんてお金がいくらあってもたりないのですが、

インターネット・インフラのレジリエンスを高めるには平時から「想定」が欠かせない

と思います。

「何かあってから考える」という姿勢に厳しく向き合いながら、想像して優先順位をつけながら取り組んでいくことが大切で、これは自分たちのビジネスにも言える姿勢だと思います。

#危機管理 #DX #リスク分散 #エストニア #データ大使館 #韓国

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