大学4年間で読んだ本の話をする

どうして今さらこのようなことを書くのか。もう卒業してから4ヶ月が経過したのに。そう思うのはもっともであるし、誰よりも僕自身がそう思っている。ただ仕方ないのだ。なにせ、ネタがないのだから。

いや、困った困った。noteを始めてからまだ一年も経ってないというのに、もうオワコン化するなんて。ネタがないというのは、もしかしたら単に僕の努力不足かもしれない。というわけで、ここに一度、僕が最近休日をどのように過ごしているのかを書いてみると、勉強、読書、アニメ鑑賞、運動、家事。あとは…いや、もう本当にこれくらいなのである。しかも費やす時間の割合的には8:0.5:0.5:0.5:0.5くらいなのだ。人に話せるような(ましてや人に面白いと思ってもらえるような)ことなど、ほとんど何もしていないに等しい。もちろん僕自身は毎日とても楽しく過ごしており、例えば先週なんかは初めて京大の数学の問題を1完できて、1年前に第一志望の企業から内定の電話がきたときと同じかそれ以上に興奮したり、(ちなみに青本の講評には「これくらいの問題は解けて当たり前である」とあったが、まあそれでも嬉しい)6年ぶりにZ会の日本史100題に取り組んで一喜一憂したり(受験後に捨てた参考書なのだが、先月再び購入した)と、もう本当に刺激的なのだが、残念ながらそれを理解してもらえるように伝えるのは、今の世の中の風潮と、それに僕の文章表現力では不可能だ。(受験勉強が娯楽のスタンダードだったら、そう願ってからそろそろ3年経つ)

というわけで、ここはもう、思い出に頼るしかないと考えた。アニメや映画、それに読んだ本の感想や点数を簡単にまとめたノートをつけているので、それを有効活用してしまおうと、こう思ったのである。仮にも大学生活4年間で400冊以上読んだ身。これを自分の中だけにとどめておくのはもったいない。それに社会人になって新しい趣味が欲しいとか、往復の電車の暇つぶしに読書がしたいとか、そういった需要もなくはないだろう。(とか言いつつ本当は自分語りがしたいだけなのである。それに付き合わされてる皆さん、本当にお疲れ様です。あと、ありがとうございます)では、発表します。

『いちご同盟』三田誠広
ぶっちぎりの1位。世の中には泣ける本が出回っていて、実際に読んでみた後に初めて帯に騙されていたことに気がつくことも多々あるのだが、この本は正真正銘の泣ける本だと思う。メディアワークス文庫でありがちな「不死の病、○○病」という設定なのだけれど、この本に関しては、そこらへんにたくさんあるヒロインが難病ものとは一線を画している。初めてこの作品を知ったのはアルバイトのときで、たしか東京の名門、芝中学校の国語の入試問題になっていた。授業で扱ったときは「まあ続きが気になるし読んでみるか」程度だったけど、最後まで読んで度肝を抜かれた。あまりハードルを上げてしまうのも良くないけど、泣ける本を紹介することになったら僕はこの本を一番に挙げる。


『夜市』恒川光太郎
ストーリーが天才的。ホラー小説というカテゴリだけど、全く怖くないし、どちらかというとファンタジーに近いかもしれない。内容と筆致の雰囲気がピッタリで、文字通り物語の世界にどっぷりハマることができると思う。千と千尋の神隠しに似た、不気味で妖しい世界観が好きなら絶対に楽しめる。サイエンスSARUあたりにアニメ映画化してもらいたい。「何でもいいからオススメの本を紹介して」と言われたら、とりあえずこれを勧めるくらいには神作。中編で読みやすいし、内容的にもいい意味でクセがないし。同じ作者の『無貌の神』『草祭』『秋の牢獄』も面白いのでぜひ。


『かがみの孤城』辻村深月
本屋大賞とか文庫化とかで書店を賑わしているから知ってる人も多いでしょう。流行り物が嫌いな人、気持ちはわかる。でもとりあえず読め。(ちなみに僕はその天邪鬼を『君の膵臓を食べたい』で発揮してかなり後悔した。あれ、めちゃくちゃ面白いですよね。アニメ映画の方は声優が…まあでもsumikaのファンファーレが良かったです)これ読んだのはだいぶ前、単行本が発売された直後くらいで、あれから実は再読をしていないので、詳しい内容を覚えているわけではない。でも僕が高3の夏から律儀につけていた「読んだ本ノート」に記された500冊以上の作品の中で、4つしかない満点を記録した作品のうちの一つである、ということで、ここで紹介させてもらった。ちょっと長いけど、時間をかける価値は確かにある。


『ほかに好きな人がいるから』白河三兎
さっきも書いたように、世間には恋愛小説がわんさかあるのだが、その多くは僕のようなひねくれてこじらせた陰キャの趣味に合うものではなかった。印象的だったのは『陽だまりの彼女』くらいで、あとはタイトルしか覚えていない。そんな中で、この作品はそういった「普通の」恋愛小説とは違うということだけは強調しておきたい。そして僕はこういった作風がたまらなく好きで、さらにこういった作風がたまらなく好きな人は実は大勢いると確信しているので、この場を借りてプッシュしているのである。乙一とか三秋縋が好きな人は、たぶんこの作品も好きになると思う。単行本の大槻香奈(新装版『星へ行く船』シリーズとか『暗黒女子』の表紙イラストと同じ人。たぶんみんな見たことある)の装画も良かったけど、文庫の中村至宏の表紙がまたいいんだよなあ。


『雪には雪のなりたい白さがある』瀬那和章
中には受験の現代文以来、まともに活字を追っていない人もいるだろう。そんな人にいきなり「ハイ、かがみの孤城読んでくださ〜い!」なんて言っても、いくら作品が面白いからって、なかなか大変なところがあるだろう。長い作品は読むだけでスタミナを使うのだから。その点この作品は短編で読みやすく、さらに話のクオリティも高い。マジでわけわかんないこと言ってる自覚はあるけど、デートの待ち合わせまでの時間に読みたい一冊。


『気分上々』森絵都
作者の森絵都は、アニメ映画化もされた『カラフル』が超有名だろう。児童文学よりで、それこそこれも中学入試の国語で出題されていそう。手軽に読めて、面白いという点では他の追随を許さない。上に紹介した作品が恋愛メインなら、こちらは青春メインといった形か。サクッと何から読みたいときには、いいのではないでしょうか。(今回は大学時代に読んだ本縛りなので詳しく紹介しないが、上で触れた『カラフル』の原作小説はマジで面白いのでげひ読んでほしい)


『キキホリック』森晶麿
簡単に言うと、この作品はチートを使ってる。話せば長くなるがあえて話すと、そもそもこの作品は、丹地陽子という僕の好きなイラストレーターが装画を担当していて、それが読むきっかけになった。その時は作者が誰かなんて、全く気にしていなかった。実は高3のとき、同じ作者の『人魚姫の椅子』という本を読んだのだが、そのときも同じ類のチートを使われて度肝を抜かれたことがあったのだ。表紙イラストだけしか見ていなかった視野の狭い僕は、同じ過ちを繰り返してしまったのであった。とりあえず読んだ後(もとい読んでいる最中)の衝撃に関しては、もうこれはトップクラスだ。


以上。あと、書いているうちに楽しくなってきたので、これをシリーズ化して月一でnoteを更新しようと思います。それでは、また。

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