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いい文章を書けるようになるために学生時代やっておくといいこと

「文章上達のために学生時代やっておくといいことはありますか?」という質問をいただいたのでそれについてざっと書きたいと思います。

ぼくも書くのが苦手でした

 先に断っておきますと、いまは偉そうに「編集者」とか言ってますが、ぼくだって別に「文章がうまい学生」ではありませんでした。 読書感想文もイヤイヤやっていましたし、文章を書くことで何か賞をもらったりしたようなこともあまり記憶にありません。

ただ、「人に何かを伝える」ことは好きでした。

学校では新聞部に入っていましたし、家でもチラシの裏に本や雑誌で読んだ役立ちそうな情報(おばあちゃんが「安心」という健康雑誌をよく読んでいたので、「安心」の情報が多めでした)をまとめて新聞にして、親や親戚に配ったりしていました。 

「書く」のは好きではなかったですが「何かを伝えて喜んでもらう」のが好きな子どもだった気がします。 

「感性の畑」を耕そう

……ということを踏まえて、もし文章がうまくなりたいと思うのであれば、やっぱり月並みですが「感性を磨く」ことがいちばんいいのではないでしょうか?

ぼくの持論に「おもしろい文章は内容がおもしろい」という元も子もない理論があります。どんなにきれいな文章を書けても、その中身があまりおもしろくなければ、あんまり読んでもらえません。

逆に文法が多少変だろうが、文体がカクカクしていようが、言っていることがおもしろければ読んでもらえます。

いい文章を書きたいなら「中身」がおもしろくないといけない。そのためにも自分の感性を磨くことが大切なんじゃないかと思うのです。

と言いつつ、ぼくもおもしろい経験をたくさんしたのかと言われれば、怪しいのですが、大学生時代はアルバイトをいろいろやっていました。 

軽井沢でホテルの住み込みのバイトをやったり、コンビニのバイト、バイク便のバイト、あとディズニーシーでお土産屋さんのバイトをしたり、中華料理店、ファミレス、テレアポ、家庭教師のバイトもしたこともあります。

とにかく向き不向きや好き嫌いは考えず、いろんな世界に首を突っ込んでみるといいと思います。ベタですが、海外旅行もいいと思います。今はなかなか旅行しづらい時期ではありますが、できればなるべく若いときに海外には行っておいたほうがいいと思います。

感性を磨くには

言いたいのは「変わった経験、特別な体験をしよう」ということではありません。もちろんいろいろ経験するのは大切だと思いますが、そこで感性が磨かれなければ意味がない。

逆に言えば、普通の毎日を過ごしたとしても感性が磨かれていけば、それでいいということでもあります。

普通の毎日のなかで感性を磨くためのコツはいくつかあります。

ひとつはつねに世の中を疑うことです。「この政治家はこんなことを言っているけど、本当はこうなんじゃないか?」とか「先生はこういうけど、おかしいんじゃないか?」というのを思い続けること。「みんなはこう言ってるけど、実はそうじゃないんじゃないか」「本当にこれはおもしろいんだろうか」とか。それをメモして書き留めておきましょう。

ふたつめに、自分の感情を「微分」してみることです。微分というのは、細かく分析してみる、という感じです。自分の感情を細かく分析してみる。「いまなんでこういう感情になったんだろう?」「なんでこの人と話すと心がざわざわするんだろう?」 そうやって立ち止まって考える癖をつけてみましょう。

ネガティブな感情もけっこう大事です。「悔しい」とか「ムカつく」とか「ナメられた」とか。そういうネガティブな感情も宝物だったりします。

3つめは、よく言われますが「観察力」です。まわりの人や世の中の現象をよく観察する。そこで「これは不便だなあ」とか「これはなんでこうなってるんだろう?」ということに気づくことです。

感性というのは「磨こう」と思って磨くようなものではないですが、いろんな経験をして、そのなかでどういう感情を抱いたのかということに敏感になることが大切なのだと思います。

好きな作家を見つけてひたすら読む

あとは、ふつうですが「いい文章を読んでおく」というのも大切です。

ぼくの場合は、大学1年生の夏休みに大量の本を読みました。軽井沢のホテルで住み込みバイトをしていたのですが、勤務時間以外がすごく暇だったんです。昼休みや夜、休日はたっぷり時間があったので、村上春樹の本をどっさり買い込んで、主な作品はほぼ読みきってしまいました。

あとは吉田修一さんとか原田宗典さんとか山田詠美さんとかが好きだったので、そのあたりをたくさん読んだ気がします。好きになった作家の文章を大量に読んだ経験は、もしかしたら今につながっているのかもしれません。

人の文章を添削する

あとこれは学生時代にやらなくてもいいかもしれないですが、他人の文章を添削するという経験はどこかで積んでおくといいかもしれません。

自分で自分の文章を見ても悪いところを見つけるのは難しいですが、他人の文章であればけっこうわかったりするものです。岡目八目というように、人間というのは傍から見ていると冷静にものごとのよしあしがわかったりするものです。

なので、他人の文章のアドバイスをする経験をすると、自分が書くときも客観的に見るようになって文章がうまくなるのではないかと思います。


もうひとつだけ大切なことがあります。

それは、恥ずかしがらないことです。「立派な文章を書こう」と思わないこと。「頭がいいと思われたい」などと思わないことです。どんどん世に出してみて、みんなの反応を楽しみにしていましょう。

おじさんだって、こうして恥ずかしい文章を世にさらしているわけです。学生のみなさんもぜひ恥ずかしがらずに文章を発表してみてください。


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