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最後まで「コモディティ化」しないもの

ビジネスの世界で「盗まれる」というのは、よくあることです。

ビジネスモデルが盗まれる。戦略をパクられる。がんばって書いたコピーをマネされる。

程度の差はあれ、模倣される、マネされる、パクられる、盗まれるというのは、ビジネスの世界ではよくあることなんだと思います。

それもそのはず。

「商品をよりよくしよう」「よりよいサービスにしよう」「効率的・生産的にしよう」と思えば、どんどんビジネスのレベルは上がっていって、最後のほうはどうしても似てきます。

掃除機だって、紙パック式の吸引力が悪いことに気づいた人がサイクロン式を発明すると、みんなそれに続きました。コードレスが出てきたら、みんなマネします。勝手に床を掃除してくれるロボット掃除機が出てきても、やはり競合他社は同じような商品を出していくことになります。

しかも今は世の中はデジタル化している。よって、あらゆるものがコピペされやすくなったということもありそうです。

ビジネスの言葉で、差別化ができなくなって一般化していくことを「コモディティ化」と言いますが、この世の中は、どうしても「コモディティ化」は避けられない。ある程度、仕方のないものでしょう。

ひとつだけ「盗めない」ものがある

ただ、ひとつだけ盗めないものがあります。

最後までコモディティ化しないものがあります。

それは「人生」です。

瀧本哲史さんも、著書の中で「盗めないものはその人の人生である」という話をされています。

(「盗まれないもの」とは)その人の人生ですよ。

その人が過去に生きてきた人生とか、挫折とか、成功とか、そういうものは盗めないんですよね。

「その人にしかないユニークさ」というのが、いちばん盗めないと思います。

――『2020年6月30日にまたここで会おう』(星海社/瀧本哲史)より

ビジネスの世界でも、戦略、ビジネスモデル、広告手法、採用方法……あらゆるものを盗めたとしても、経営者の人生は盗めないでしょう。

経営者の思いとか哲学、これまで歩んできた道。そこは絶対に盗むことができない。コピーペーストはできません。

「人の数だけ物語がある」というようなことを言われますが、まさにそう。人は生まれてきた時点で唯一無二であり、世界でひとつだけの価値を持った存在です。

たとえば、着ごこちがよくて安い服を作れたとしても柳井正さんの人生を「コピペ」することは絶対にできません。広島の紳士服店から始まって、世界的な企業になっていった、彼の人生、ストーリーは誰にも盗めない。

Appleのようなパソコン、スマホを作ることはできるのかもしれませんが、スティーブジョブズの人生は絶対に盗むことはできない。

これは法人、会社にも言えることです。

会社のあらゆるものを盗めたとしても、コピペできたとしても、その会社のストーリー、その会社が歩んできた道は絶対に盗むことができないのです。

「好き」という感情は、最強

そして、その思想や哲学、考え方、ストーリーといったものは、消費者の「好き」という感情につながります。

アップルが好き。無印良品が好き。パタゴニアが好き。ZOZO が好き。

消費者の「好き」という感情は、その会社の機能やビジネスモデルに向けられたものではありません。

その商品自体が好きということは前提だとしても、その裏にある会社の思想や哲学といった、ある種「人格」のようなものに対する感情なんじゃないかと思うのです。

「その会社が好き」という思いは最強です。

会社が消費者の「好き」という感情を獲得すれば、仮にどれだけビジネスモデルや戦略を盗まれたとしても、意味のない競争に巻き込まれることはなくなるのではないでしょうか。

唯一の存在になれば、競争はなくなります。

「好き」を生み出すのが最強の差別化戦略

ぼくは経営者の思いを言葉にしたり、会社のストーリーをコンテンツにするお手伝いをしています。

そうやって世のなかに知らせることができれば、その経営者や会社を「好き」という感情が生まれます。

その「好き」という感情は、絶対に盗めないものです。

あらゆる商品やサービスのレベルがどんどん上がっていき、どんどんコモディティ化していき、どんどん横並びになっていく。

そんななかで差別化できる唯一のものは経営者の人生であり、会社のストーリーであり、それによって生まれる「会社が好き」という消費者の感情だと思うのです。

会社のなかにはインターネットでの発信やSNS運用を軽視しているところもあると思います。ただ実は、経営者や法人の「人格」を形成し、消費者の「好き」を獲得するという意味で、ものすごく価値があることではないか、と最近は思っています。

ぼくが今やっている「顧問編集者」の仕事は、日々の発信は地味だったとしても少しずつインターネット上に「人格」を作り出していき、消費者にその会社を「好きだな」と思ってもらうような仕事です。

経営者の思い、会社のストーリーを「コンテンツ化」して、価値を生み出していく。そんな仕事ができたらいいな、と思っています。

最後まで盗めないものは、経営者の人生であり、会社のストーリー。そして、消費者に共感してもらえれば、それは「好き」という感情に変わる。その好きという感情はけっこう最強なんじゃないか、という話でした。


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