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新しい時代の出版社をつくる

ぼくは約3年前、新しい時代の出版社をつくろうと思って、当時勤めていた出版社を辞めました。

辞めた当時は「紙とデジタル」「書籍とWeb」を行ったり来たりしながら、最適なカタチでコンテンツを発信していく出版社をつくろうと考えていました。

※当時のnoteです。初々しい。

この3年を振り返ってみると、まだ一般的な「出版社」のカタチはしていないかもしれないですが、自分のなかでは概ね当初の計画どおり進んでいる気がしています。

いい意味で想定外だったのが「顧問編集者」という仕事の存在です。

経営者の隣でコンテンツの制作・発信をサポートする。そう言うと、なんとなく「出版」というものから遠のいてるように見えるのですが、本質の部分では「これこそが新しい時代の出版」なんじゃないかとも思うんです。

今日はそのあたりのことをお話ししたいと思っています。

そもそも出版社の役割ってなんだろう?

そもそも、出版社の役割ってなんでしょうか?

いろんな定義があると思いますが、ぼくは出版社の役割は「伝える」ということに尽きると思っています。

思想や考え、コンテンツを持っている人がいて、それを多くの人に伝える。伝えたい人に伝える。その役割が「核」にあるのではないか。

たとえば、講談社は「雄弁」という雑誌を出すところから始まりました。創業者の野間清治が大学での演説をまとめたものを雑誌にして刊行したのです。文藝春秋は、菊池寛が若い作家の発表の場をつくるため「文藝春秋」という雑誌を創刊したところから始まりました。

そういえば今日、たまたま拙著『書くのがしんどい』を出してくれたPHP研究所の社長さんとお話しする機会があったのですが、PHP研究所という出版社も松下幸之助が「繁栄による平和と幸せ」というビジョンを広げるためにつくった会社です。

どの出版社も「何かを伝えたい人」がいて、それを「伝える」ことが根っこにあります。伝えたいことを「紙の束」に綴じて、「本屋さん」に流通させることがいちばん効率的だったので、その手段によって「伝える」を実現させていたわけです。

「出版社(Publisher)」は「公にする人」

いまメインでやっている「顧問編集者」という仕事は、経営者の隣に編集者としてつき、コンテンツの制作・発信をお手伝いする仕事です。

※顧問編集者についてはこちらのnoteで。参考まで。

これも経営者という「伝えたい人」をサポートする仕事です。ただ、そのツールが紙ではなくて(紙の場合もありますが)、主にTwitterやnoteなどのSNSになったというだけです。

ぼくは、ここに「新しい時代の出版社」がやるべきことがあるのではないか、と思っています。SNSなどのデジタルツールも使いこなしながら「伝える」ことで世の中に貢献する。それが役割なのではないか――。

そもそも「出版」というのは、英語で「Publisher」「公にする」という意味を含んだ言葉です。思いや考え、ノウハウ、コンテンツを「公」のものにして、多くの人に伝えていく。

今の時代、多くの人に伝えるためには、紙だけでなくSNS、つまりTwitterやnoteなどを使う道もあります。それらの販売網・メディア・プラットフォームを生かして、発信者・著者・作家・経営者の「伝えたい」を実現する。それが新しい時代の出版社のカタチなのではないか、と思うのです。

出版社はシンプルに「伝える」ということを突き詰めていけばいい。そこに活路があると思います。

別にぼくは「SNSのほうが偉い」とか「本のほうが偉い」とか、そういうことはぜんぜん思いません。コンテンツを届けるのに最適なメディアを選べばいいというだけです。

SNSは瞬時に多くの人に伝えるのは得意ですが「ストック」にするのは少し苦手です。紙は一方で、きちんと残っていく「ストック」にはなるのですが、瞬時に多くの人に伝えるのはちょっと苦手だったりします。

このデジタル・アナログ双方のよさをうまく生かしながら、「伝える」というミッションを実現する。

それが新しい時代の出版社の役割だと思うのです。

媒体を超える。業界を超える

出版社の稼ぎ方は「コンテンツをつくって読者に売る」ということがメインです。その場合、お金は読者からいただくことになります。

一方、ぼくがやっている顧問編集者は、経営者という「伝えたいことがある人」からお金をいただくことになります。「伝える」ことで、ビジネスがうまくいったり、何かしらのリターンがある場合は、コンテンツメーカー側からお金をいただくことになる。

これは一般的には「自費出版」、もしくは「広告モデル」に近いのかもしれません。

「なんだ、新しい出版社のカタチと言いながら、結局それは広告なんじゃないか?」と思われる人もいるでしょう。

たしかにそうです。とにかくシンプルに「伝える」という目的にフォーカスすることで、気づけば業界を超えていたということもあるかもしれません。

ただ、個人的には「これは広告なのか? PRなのか? 出版なのか?」という議論はあまり本質的ではないと思っています。結局、貼られたラベルの話だからです。

もちろん既存の「業界」がありますし、そこでのモラルやルールもあるわけなので、そんなかんたんなものではないのかもしれません。そのあたりの調整は今後必要になるかもしれません。

細かい部分は詰めきれていないのですが、とにかく、新しい時代の出版社は紙とWeb、デジタルとアナログの垣根を超えます。出版、広告、そういった業界の垣根を超えることもあるでしょう。

「伝える」というミッションに忠実でいること。伝えるべきことを伝えるべき人に伝えること。そこを極めるなかで、きっと新しい時代の出版社はさらに輪郭をハッキリさせていくのだと思います。


……また3年後、5年後は違うことを言っているかもしれませんが、2021年時点での途中経過、進捗報告みたいなnoteを書いてみました。引き続き、ぼくらの会社・WORDSは「ことばで、つたえる」をビジョンに掲げて、地道に進んでいきたいと思っています。


こちらがぼくらの会社です!!
ここから出版の新しい時代を始めます。


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