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できる社長の本の読み方

ぼくは職業柄、いろんな経営者に会ってお話を伺う機会が多いのですが「本の読み方」の話題になることが多いです。

本をよく読む経営者は、その読み方にいくつか共通点があります。お話を伺いながら「あ、この社長もそういう読み方してるんだ!」と思うことがよくあるんですね。

知ってるレベルの話も出てくるかと思いますが、「経営者の本の読み方」についてあらためてまとめてみようかなと思います。

古今東西の知見が1500円前後で手に入る

まず本を読む経営者の方が異口同音におっしゃるのが「本は安い」ということです。言ってみれば「コストパフォーマンスがすごくいい」ということですね。

たしかに本というのは、古今東西の知見をたった1500円前後で手に入れることができるわけです。そう考えればすごく安い。

ふつうはスゴい人の知見を手に入れようと思ったら、たいへんな時間的・金銭的なコストがかかります。そもそも稲盛和夫さんのような人になると会うのはほぼ不可能です。

稲盛さんほどの人でなくても、誰かのお話を聞こうと思ったら、何度も足を運んで仲よくなって会食にお誘いする必要があります。もしくは高額のセミナーやイベントなどに申し込まなくてはいけない。そうなると本当にウン万円から数十万かかったりします。

しかし本の場合は、貴重な著者の知見をプロの編集者が上手に紙にまとめてくれているわけです。その本をつくるために、半年から1年、もしくはそれ以上かかっていたりもする。それがたった1500円前後で誰でも手に入れることができる。

たしかにものすごくお得だなーと思うわけです。

ビジネス書は「人生の攻略本」

さて本の読み方に関してですが(ビジネス書や実用書に限るかもしれませんが)「アウトプットのためのインプット」を意識している人が当然ながら多かったですね。 

何かしらの経営課題があったり、困っていることがあったときに、その答えを探すように本を読むということです。ある経営者は「人生の攻略本」のように読んでいるという言い方をしていました。

本を最初から最後まで1行1行ちゃんと読む、という人もそんなにいませんでした。特にビジネス書はざっと目を通して役立つところを見つけるような感じで読む。

だから1500円で買った本であっても、自分が知りたい1章分だけはちゃんと読んで、あとは流し読みするという場合もあります。

ついぼくなんかは「せっかく1500円で買ったし最後までちゃんと読もう」と思ってしまうのですが、たしかにそれを読む「時間というコスト」もかかるわけです。時間というコストを考えた場合は、必要な部分だけを精読して、他はさっと目を通すくらいでいいのかもしれません。

古典だけでなく入門書も読む

ぼくのお会いしてきた経営者は「古典だけを読む」というような人はあまりいませんでした。もちろんドラッカーとかマルクスとかも読むのですが、原著を読むのと同時に入門書も一緒に読む、というような人が多かったです。

書店に行くと『1時間でわかるドラッカー』とか『いちばんわかりやすいマルクスの本』みたいな入門書がありますよね。(タイトルは適当です。)原著である古典がわかりにくければ、きちんと理解するために入門書も同時に読むのが大切なのかもしれません。

本の選び方で言うと、困っていることがあったらそのジャンルの本を数冊買ってきて一気に併読するという経営者もいらっしゃいました。マネジメントに悩んでいたとしたら、書店のマネジメントの棚に行ってそこにある数冊をガサッと買ってくる。それをざーっと読んでいくわけです。「これはマネしよう」と思いました。

何冊も併読することで本質が見えてくる

何冊も併読するのは大変だ、と思われるかもしれませんが、実はカブっている内容もわりとあるわけですね。1冊目をざっと読んで、2冊目3冊目と読んでいくと1冊目とカブってくる内容が出てきます。

でもそこはすでに理解していることなので、何冊も読むうちに早くなっていきますし、内容が重なっている部分こそが「本質」の部分だったりするわけです。

ある経営者は、ひとつのテーマについてまったく真逆のことを言っている本を読むと言っていました。たとえば「部下は褒めたほうがいい」と言っている本と「部下は褒めないほうがいい」と言っている本を同時に読む。

すると一見、頭が混乱しそうですが、実は「本質の部分」は同じことを言っていたりすることに気づくのだそうです。あとは本質をおさえつつ、自分が信じるほうを実践してみる。そんな読み方もおもしろそうです。

読むタイミングによって「刺さり方」が違う

経営者は大量にざーっと読む人が多いのですが、そのメリットとして「脳内にアーカイブを作っておくことができる」というのもあるそうです。

本というのは「読むタイミング」によって得るものが違ったりします。

平社員のときに読むドラッカーと独立してから読むドラッカーでは刺さり具合も変わってくるでしょう。

平社員のときにドラッカーをざーっと読んでそんなにピンと来なかったとしても、その記憶が脳内の図書館に納まっていれば「そういえば、マネジメントのことはあの本に書いてあったんじゃないかな……」と思い出すことができます。

脳内に「アーカイブ」を残しておけば、のちのち課題にぶつかったときに「これについて、どこかで読んだ気がするな……」と思い出すことができる。そこで再読して、新たな発見があったりするわけです。

その意味でも何冊もの本をざーっと併読するのは意味がありそうです。

他にもまだありそうなのですが、今日はこんなところで。また気づいたらまとめてみたいと思います。

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