あなたが自分の文章をまとめられないシンプルな理由
ひとりで文章を書いて仕上げていくのは、つらいことです。
これはあなたが悪いのではありません。そういうものです。
なぜ、つらいのでしょうか?
それは無意識に「インプットとアウトプットを同時にやっているから」だとぼくは考えます。
どういうことでしょうか?
チャーハンをつくっているあいだに材料が足されていく
ぼくはいまこうして文章をまとめていますが、同時に「何を書こうかな?」「なにかいい例えや事例はないかな?」と考えてもいます。
「書く」というアウトプットをしながら、素材を探すという「インプット」も同時に行なっているわけです。
脳内では、完成に向かって組み上げている途中なのに、さらに別の材料がやってくることになる。だから、なかなかまとまっていかないのです。
いつもぼくは、これを料理にたとえます。
あなたはとりあえず、ご飯と卵とハムを目の前にして「チャーハン」をつくろうとしています。でも「なにか物足りないかもなあ」と思い、「そういえば、このあいだ買ったキムチがあるから入れてみようかしら」と考え始めます。
そうこうしているうちに「ほんとうにチャーハンでいいのだろうか? この材料ならハムをやめて、キムチ雑炊にしようかしら」みたいなことも思い始めたりします。
使える材料はいろいろ思い浮かぶ。しかも最終的に仕上げる料理もなんだっていい。するとだんだん頭が混乱してきて、最後まで仕上げる気力がなくなっていくのです。
他人の文章なら編集しやすい
ぼくは編集者という職業柄、他人の文章を編集する場面が多くあります。このときは、上記のように混乱するようなことはありません。
それは「材料が決まっているから」です。
もちろん、他人の文章を読んで何かが足りなければ「ここが足りないよ」と指摘しますが、基本的には目の前の材料で調理しようと試みます。
「材料が決まっている」というか、他人の脳内に何があるかはわからないので、材料を足そうと思っても足せないのです。
つまり、インプット(材料集め)は不可能です。となると、あとはアウトプットに向けて文章を組み上げていけばいいだけになります。
だからラクなのです。
ひとりで文章をまとめるときのコツ
他人の文章なら、比較的かんたんにまとめることができる。それは、アウトプットだけに集中できるから、でした。
これを裏返せば「ひとりで文章を書くときのコツ」も見えてきそうです。
まず「材料を集める段階」と「それを調理する段階」を分けることです。そして、調理し始めたら基本は「足さない」ことが重要です。
①材料を集める段階
原稿に向かう前に「何を書くか」を考える時間をつくりましょう。
ぼくはツイッターをやったり、ジョギングをしている途中に、書くネタを思いついたりします。そのあとすぐに「Googlekeep」というツールにメモしておきます。
書く形式は適当でOKです。箇条書きなど支離滅裂でいいので、とにかく書き留めておきます。
さらに、それにまつわる具体例やエピソードも見つかったら、それもメモしておきます。
②調理する段階
調理する段階になったら、新たなネタは入れないようにすることです。
もし思いついてしまったら、それはまたメモするなりして、基本的に「まな板の上」には乗せないこと。
「今日はこれについて書く!」「ネタはこれとこれ!」「エピソードはあのエピソードにしよう!」と決めたら、そこからあまりブラさない。
すると比較的ラクに文章をまとめることができるはずです。
できれば、材料集めと調理の時間をあけよう
ポイントは「①材料を集める段階」と「②調理する段階」を時間的にあけることです。
材料を集めたあと、すぐ調理にとりかかると「ああ、あれも入れよう。これもあった」となりがちです。
まず材料を集めたら少し寝かせてみる。「これだけ材料があればまとまりそうだな」となってから、いよいよ調理に入ります。
材料を足しながら調理を続けたりしては、脳がオーバーヒートしてしまいます。時間のないときは仕方がないのですが、なるべくなら材料集めと調理のあいだの時間はあけたほうがいいとぼくは思います。
(ちなみにぼくは今、材料を集めながら調理しているので、けっこう脳から湯気が出ています。)
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