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技術者の為のブランディング!

 新規事業に欠かせないのがブランディングだ。僕のようないわゆる理系で技術を武器に新規事業をしたいブランディング初心者の為に、「技術も大切だけど、ブランディングも大切だよ」という話をしようと思う。

1.初めに

 技術を持っていることは社内起業をする上で有利だと思う。コア技術があると新規事業は分かりやすく価値を出しやすい。このコア技術に出来そうな技術を知っている、技術を知る方法を理解しているという能力は本当に大きい。だから、技術を知っていることに自信を持っていい。一方で、文系の人たちが入社してから培ってきたものが現時点で足りないことを認め、それを吸収する必要がある。

 ちょっと脱線するけれど、それは逆の立場でも同じことが言える。技術について理解しようとしない人もいる。それもナンセンスだ。学ぼうという姿勢さえあれば、別に大学の専門とか、どんな仕事をしてきたとか関係ない。その人の分かる範囲で歩み寄らないといけない。

 この理論で、技術者もブランディングを学ばなくてはいけない。ここでは、専門的な話はしない。僕がブランディングにどう助けられたか、それを伝えることにする。そして、今、全くブランディングに興味がない人が少しでも理解をしてくれればいいなと思う。

2.ブランディングの価値

 社内でサービスを提案した時、「そのサービスの名前は?」と聞かれた。確かに、名前が必要だ。最初は無難な名前を付けた。仮にPlatform Xとする。とてもシンプルで、無機質で、こんな感じでいいと思ってた。中身で味付けをすれば、名前はシンプルでいい。でも、これは全然いい名前じゃなかった。

 まず、こんなシンプルな名前じゃ当然商標が取れない。そこで、別の名前を考えることにした。platformじゃなくて器(Utsuwa)、いや、違う…。逆から読むか。いや、Solutionから入っていって…。うーん、そうだ、意味をかけ合わせよう。あー、繋ぐとか。Synapse(シナプス)!それだ、いや、ん、シナプスはよく見るか。そうして、考えたネーミングは全部で100を超えた。最終的にはヒンドゥー教の用語であるAtman(アートマン)などの案。迷走に迷走を重ねた。

 そして、僕はブランディング会社にメールをした。名前考えてくれませんか?それから、ブランディング会社から色々なヒアリングを受けた。そして、最初にやったのが、コンセプト策定だ。一体この事業は誰が顧客なのか、その人にどうなって欲しいのか、それを明確にした。これ、普通でしょ、って思うかもしれない。そんなの決めるの当然でしょ、って。でも、その時僕は明確に答えられなかった。

 例えば、会社の作業服を作っている会社の顧客って多分作業着を着ている現場の人じゃない。会社の社長や導入をする総務部門だったりする。寄り添うべきは現場ではなく社長の考えだ(もちろん、社長は現場を考えているから、結果的に現場の人に寄り添うことにもなる)。僕は、作業着を売ろうとして現場の人向けの名前を考えていた。でも、本来は社長の想いを具現化するネーミングにすべきだ。

 こうして、僕はブランディング会社の考えたネーミングの中から、一番しっくりくる名前を採用した。そして、そのままロゴ、サービスのデザイン、Webサイト構築、プレゼン資料とその会社と一緒に事業を立ち上げていく。

 ライバルと比べて圧倒的に洗練されたデザインを作れたし、最先端という意思も明確に示せた。

3.ブランディングの営業への貢献

 人は何にお金を払うのだろうか。

 技術者が陥りがちな考えは、数値で示せる「お得感」と「便利さ(手間削減)」だ。他よりも10円安いとか、外出せずにモノを買えるとか。もちろん、それは提供すべきだ。じゃあ、なぜ人はルイヴィトンのバッグを買うのか、フェラーリを買うのか、ロレックスを買うのか、iPhoneを買うのか。これらは、人の「心」を満たしている。フェラーリが売れるのは、移動できるからでも早いからでもない。それに乗っているということは、その人が成功者でセクシーだということを示せるからだ。そのためにフェラーリはそれを忠実に表現する。

 toB(企業)の場合、もう少し情緒的な部分は抑えられると言われている。もちろん、営業車にフェラーリは認められない。でも、探す人も選ぶ人も人間だ。どこかでトヨタだったら安心というブランディングに基づいたジャッジをするだろうし、見た目が(営業車として)かっこいい方が好印象だろう。

 ブランディングは、セールスにも影響をする。

4.まとめ

 これらの話は、専門家からすれば当たり前の話だし、もしかしたら浅い考えといわれるかもしれない。全くその世界を知らなかった僕が、同じくその世界を知らない人に、その重要性を伝えたかった。知っておくべきは、新規事業をする上では、かなり早い段階からブランディングを考えていくべき、ということ。それは、これからの自分を助けてくれる技術だ。




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