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自伝”光の啓示”「第3章 大盛況『日本・インド芸術文化交流巡回展』」

こんにちは、現在は世界初の新技法「ホログラムズコラージュ」のパイオニアとして活動しているTakayuki Hibinoと申します。

定期購読マガジン「光の啓示」では、1989年の夏、私がアート活動を始めたきっかけになった光の啓示から現在に至るまでの経験や出来事を記憶にある限り綴っていく実話です。

世界情勢が急激に変化していく中で、16歳からきびしい世の中をサバイバルしてきた私の経験が少しでもあなたにお役に立てれば幸いです。

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第3章 準備万端。のつづき 大盛況。

「日本・インド芸術文化交流巡回展」
ハイデラバードの一般公開が始まった。

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前日のニュースと朝刊の記事掲載のおかげもあって、
連日、大盛況だった。

たくさんの観客のなかで目立つのは美術関係者や美大生だった。
特に美大生は熱心で、日本のアーティストたちと
ディスカッションしていたのが印象的な光景だった

私も、英語の質問攻めに四苦八苦。
インドの人々は、日本のアーティストから新しいものを吸収しよう、
学ぼうという熱心さというか貪欲さがすごくある。

今まで、日本でも個展を数回やってきたが、
美大生からの質問は、ほとんど受けたことがない。
日本の学生は貪欲さがまったく感じられない。

それだけ、日本が豊かということだろう。
画材も道具も一流のものがそろっている。
美術館も多く、世界の一流のアートにいつでも
触れることができるのが日本だ。

だだ、日本の美術教育や美術市場についていえば、
世界の動きとずれているような気がする。

海外の学生は学ぶことに貪欲さがある。
インドは人口も日本の約14倍近い。
それだけ生き残ることの競争が激しいといことだ。
遠慮していたら埋もれてしまうし、
思っているより学歴社会だ。

ナレンダーが、わざわざ日本に美術留学してきたことも
インドに来て理解できた。

この国で、生きていくだけでもキビシイが、
上にあがろうとするには、
乗り越えなければならないものも多いのだろう。

そう思うと、ナレンダーはこの展覧会が終われば、
アーティストとして、エリート中のエリートなるだろう。
彼の動きや取り巻きをみてもそれがわかる。

私自身も展覧会の会期中に州政府の各大臣や関係各所に
あいさつ回りをして、ハイダラバードとの
深い関係を築くことができた。
思いもよらなかったが、それはなによりの収穫だろう。

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ナレンダーやまわりの方々のおかげで、
あまりにもハイデラバードの展覧会は大盛況なので、
3日間の会期延長がきまった。

会期延長。
こんなに名誉なことはなくホントにありがたいことだ。

今まで海外旅行と言えば、
自分探しと言い訳をして日本を脱出し、
目的もなく自由な旅を楽しんでいるだけだった。

しかし、目的がある旅がこんなに有意義で
違うものなのと再認識した。
得るものの、多さが違う。
参加したアーティストたちも、
この経験が今後の活動に生かせることだろう。。

延長したハイデラバードの展覧会もあっという間に終了し、
作品を搬出作業、そのまま作品は次の開催地の
首都ニューデリーへ送るのだが、
これがまた問題だった。

私は、航空便で運ぶと思っていたが、
予算の都合で、あの、上半身ハダカ逆立ち野郎のラグウと
友人数名で汽車を利用して運ぶというのだ。
距離は約1257km、時間にして約26時間、
まる1日以上を手持ち荷物で運ぶことになる。
なんのトラブルもなくニューデリーにとどけばいいのだが、
これの方法しがない。

海外の展覧会を自分たちで行うことは、
トラブルにどう対処するか、真価が問われることでもある。
日本人アーティストの代表という役割は、
展覧会を成功に導くことは当たり前だが、
作品の管理や参加アーティストの健康や安全にも
気をつけなければならないし、
すべての責任を取る覚悟が必要なのだ。

不可能を可能にし、
大丈夫ではないことでも、
大丈夫と言い続けて大丈夫にしなければならない。

今回は楽観的な私でも神経をすり減らすことが多い。
作品が無事にニューデリーに届くことを祈りつつ、
私たちはハイデラバードからニューデリーに向かうのであった。

つづく


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