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【その1】創業4年でようやく「ビジョンとバリュー」をつくったとあるスタートアップの話

毎回noteの投稿がご無沙汰になってしまう、エピックベース代表の松田です。

ちょっと気を許すと、1年以上もnoteの更新ができていませんでした。この1、2年はPMF(Product Market Fit)を乗り越えてから、いい意味でとても大変で、あっという間に時間が過ぎてしまいました。

最近は会社にも新しいメンバーが増え、昨年移転したオフィスも既に手狭になる日が出てきました。
※エピックベースは基本リモートですが、月に1回と新しいメンバーがジョインした日は出社必須なのです

4年前にエピックベースを設立したときには、これまで仕事で関わったメンバーを中心に集まった会社でしたが、最近ではありがたくもエピックベースで初めて仕事をご一緒する人も増えてきました。

そういった変化のなかで、これまでの数年間は、創業メンバーを中心に阿吽の呼吸で認識があっていたところから、少しずつ暗黙知でやってしまっていることや、会社として大事にしていることなどがメンバー間で少しずつですがズレが生じていたりするようになってきました。

特に、メンバーから時々出てくる「エピックベースらしい」という言葉は、共通認識のものではなく、無自覚に浸透している空気感のようなもので、新しく迎え入れるメンバーの性格や特徴によって変わってしまうのでは?そして、エピックベースが成し遂げたいことと一致しているのかどうかがわからない、みたいな思いを感じることが増えてきました。

これまで、そこまで必要性を感じていませんでしたが、「エピックベースらしさ」や「エピックベースが目指す未来」、そして「エピックベースが大事にしていること」をしっかりと言語化して、意識的かつ継続的に全メンバーで育んでいく必要がある、と強く感じるようになりました。

私は、元々強烈な思い、例えば「この業界を変える」などの使命を持って起業をしたわけではありません。
むしろそういった想いを持った起業家が羨ましくもあり、そんな自分に引け目を感じてすらいました。

その劣等感から、実際に「エピックベース」の理念を言語化しようとしても、どう考えたらよいのかわからないし、何度も時間を使って考えては見たものの、どうしても等身大の自分の想いを表現をすることはおろか、会社メンバーや多くの人に「いいと思ってもらえるものを作らないと」という思いばかりが先行し、素晴らしい会社のビジョンやバリューと比較してしまう始末でした。

そんな私がどうやって、ビジョンやバリューを作ることができたのか。
そして、そのビジョンやバリューにどんな想いを込めているのか。
そのことについて、書いていきたいと思います。

📌 このnoteはこんな人に読んでほしい
・強い思いを持たずに起業した起業家がどうやって経営理念を作ることができたか知りたい
・エピックベースというスタートアップに興味があり、できるだけ創業者の思いを知りたい
・CEOコーチングってどういうことをするの?どういう人にお願いするといいか知りたい

とても長い文章になってしまうので、前半と後半の2パートに分けて書いています。
【前半】どうやってビジョンやバリューなどの経営理念を作ったのか
【後半】ビジョンやバリューに込めた想いとこれからどうやって浸透させて 
    いきたいと考えているか


代表としての悩み、コーチングとの出会い

いきなりコーチングの話?と思うかもしれませんが、ビジョンやバリューを考えるうえで、このコーチングとの出会いがなければ、会社の理念等について自分の言葉で作れなかったと思ってるぐらい大きな出来事なのでご紹介させてください。
※ただし、本筋ではないので少し割愛気味です。もしこのあたりのニーズが強いようならまた詳細を記載するとします

創業から3年経ち、ようやくスマート書記のPMF(プロダクト・マーケット・フィット)を乗り越えたと思えるぐらい、問い合わせや顧客の反応も強く、もはや創業メンバーのみで進めていくには限界なフェーズに来ていました。(弊社はARR1.5億近くまでは、社員で7名ぐらいしかいない少数精鋭な組織でした)

※PMFっていう横文字わからない、って言う方はぜひこちらも読んでもらえると嬉しいです。

事業や組織の拡大を進めていくフェーズのなか、ずっと不安を抱えながら会社運営をしていました。

それは、「会社の成長以上に、自分が成長し続けられるのか」という漠然とした不安でした。そしてその漠然とした不安はどこから来ているのかと考えていると、この会社で何を成し遂げたいのか、そして個人として50歳に向けての目標がない、ということでした。このあたりも話すととても長いので少し省略します。

そんな漠然とした不安を持っているときに、CEOのコーチングについての記事が目に留まりました。その内容は自分が抱えている課題に向き合うために必要なことなのでは、と思ったら最後、すぐに株主に相談をしていました。

facebookでは体験した人へのヒアリングを相談
実際に相談をしたときにslack投稿

すぐにいくつかのご紹介などを頂き、問い合わせや紹介をしてもらって、実際に体験した方の貴重なアドバイスやコーチングをされている何名かと面談などを行いました。

みなさんのアドバイスもそうだったのですが、どうやらコーチングはいくつか流派などはあるものの、結局は、対応いただける方との相性が最も重要である、とのことを聞いていたので、とにかくその点を重視しながらお話を進めてみました。

どうやってコーチングしてくれる方を選んだか

その中で、今回のビジョンやバリューも一緒に作るご支援もいただけるきっかけになった、Mさん(仮名)と出会います。

なぜこの方を選んだのか、理由は3つあります。

  • 会話をしていて心地よいスピード感と言葉選びで相性の良さを感じたこ

  • コーチングの流派というかどうやって学んだかを開示していただけたこと

  • 自分よりも年下の方かつ、自分とは違った分野で頑張っている方(現在進行系)であったこと

特に3つめは意思決定の大きな判断軸になりました。どうしても年上の方や圧倒的な成果を残されている方にお願いをすると、私の性格上、コーチングというよりもアドバイスやティーチングになってしまうので、それは別の方にお願いするべきで、今回重要だったのは、自分自身は一体どうありたいのか、という自分への問いを通じて内省をしていくことだったため、同年代・現在進行系で全く別のチャレンジをしている方からの問いは自分にとって、非常に有意義になる、そう思い決断しました。

コーチングで行ったこと

コーチングは2週間に1度のペースで、平日の夜もしくは休日の午前中に1.5時間程度を行っていきます。決まったカリキュラムというよりは、都度対話を通じて私が脳内シェアを奪われているような事象があれば、その話を差し込みながら進めていただけたり、少し時間を空けてもらったりと自由が効くような形で進めてもらうことができ、ストレスなく進めることができました。

初回コーチングの実施前夜

ちなみに最初の問いはこちらからスタートでした!私のXの投稿を見て、イメージや話しやすいテーマから自分の人となりを知ってもらうようなアプローチをして非常に面白いと感じたのが最初の印象です。

実はこの初回セッションで、いきなり自分が人生を通して大事にしている要素(エレメント)の1つにも気づくことができて、とても感動した記憶があります。初回終わったあとにMさんとランチを食べながら、お互いの人となりのことも知ることができ、つくづく相性が重要だというアドバイスはありがたかったなと思います。

このように、しばらくは自分の人生を振り返りながら、自分が内省してきたポイントとは少し違った角度や考えていそうで考えていなかった「問い」を投げかけてもらい、都度それについて回答したりしながら、少しずつですが、これまでの自分が人生を通じて大事にしてきたエレメント(人生にどういった哲学を持っているか)を洗い出していきました。

3ヶ月の内省を通じて、自分の人生を通じて大事にしているエレメント、つまり等身大の自分の言葉で話せることが少しずつわかってきました。

特にセッションの中でわかったことですが、エピックベース代表の松田は、お恥ずかしながら周りにどう見られるか・どう伝わるかを気にしながら発言していたからこそ、しっくりというか理念や思いをうまく語ることができていなかったのです。

そして、元々強烈な思いや使命を持って起業をしたわけではないことに引け目を感じていた自分にも、思いやエピックベースを通じて実現したいことがあることに気づくことができたのです。

なぜ経営理念を作ろうと思ったのか

コーチングを通じて、しっかりと自分の言葉で思いや大事にしていることを話せるようになったタイミングで、Mさんにも相談して、会社の理念を作りたいという相談をしました。自分が人生を通じて大事にしていること、やりたいことと、会社の理念を合わせれば、自分の人生と会社のゴールをイコールにして進めることができるので、会社のためだけでなく自分のためにも、理念を作りたいと思えたからこそ、このタイミングで作ることを決意したのです。

ビジョンとバリューを決めるまで

では、経営理念(ビジョンやバリュー)をどうやって作ったのか、決してうまく進められたとは言えないですが、これからの誰かのために参考になると嬉しいです。

まずビジョンやバリューを作るうえで、抑えたいポイントがありました。それは「客観性を持った意見が取り入れられるように進める」ことと「多様な意見を取り入れて自分の言葉や思いにエッセンスとして、場合によってはアップデートして加える」ことでした。

1つめのポイントは、コーチングをしてくれているMさんに客観的な意見が取り入れられるように、経営理念を決めるためのプログラムをお願いしました。
2つめのポイントは、特にバリューにおいて会社メンバーが普段感じていることなどの思いや意見を出してもらいました。

どちらも至って普通のことだと思いますが、Howにオリジナルを作るよりも、しっかりと中身にこだわりを持ちたいので、自分だけで考えるのではなく、みんなで決めていけるように意識して動き始めました。

ビジョンについてはバリューを進めながら、引き続きコーチングを通して作成を進めていき、途中で共同創業の岡田やMさんにも意見やフィードバックをもらいながら、ブラッシュアップを続けていきました。
バリューについては、多くの人を巻き込みながらガッツリやったので、流れをざっと書いてみます。

キックオフ(1.5時間)

なぜこのタイミングで経営理念を作るのかについて、Mさんからお話していただきました。エピックベースではこういったことを始めるときに必ず「なぜやるのか」「なにをやるのか」について話してから進めるようにしています。

有志メンバーにヒアリング(1人あたり1.5時間程度)

キックオフの際に、各メンバーにエピックベースに関わった背景や理由、そして感じていることなどをMさんという第三者の方に話してもらってみなさんが思っていることの吸い上げを行いました。実際に何をはなしていたのかは、今でも私も知りません。そういった心理的安全性を担保できているからかもしれませんが、たくさんの意見が出たと聞いています。

ヒアリング結果を元にプロジェクトメンバーでワークショップ(3時間 ✕ 2回)

Mさんがファシリテーターとなって、エピックベースに関する様々な観点について、プロジェクトメンバーでディスカションを行いました、良い面・悪い面・あるいは会話の中で出たキーワードを元に、たくさんの意見が出ました。

これまでの内容を踏まえ、私・共同創業メンバー+人事メンバーでバリュー素案を作成(2時間+各自考える時間)

ここまで集まった情報をもとに、バリューの素案を各自考えながら色々と議論を行いました。そこから方向性や内容をまとめ、バリューとして必要な要素を網羅する形で約11個のバリュー案を作成しました。

全メンバーでバリュー素案を元にディスカッション

11個のバリュー案について、3つのチームに分かれ、色々とバリュー案について感じたことの意見を出し合い、チームごとによいと思ったり賛否両論となったものなど、フラットな意見を出し合ってもらいました。

バリュー素案を元にみんなで議論をしている様子

ちなみに、私が作ったバリュー案はすぐに議論されなくなってしまったのは内緒です。笑

私・共同創業メンバー+人事メンバーでディスカッションで出た内容について再度議論をして大きな方向性を固める(1時間+各自考える時間)

たくさんのメンバーの意見や、Mさんからの客観的なフィードバックや意見を元に、再度3名で決めていくための議論を行います。ここで言葉の伝わり方や、認識のズレ、そして逆に伝わっていないからこそ「あえて」いうべきことなどどうするか、などとても有意義な話ができたかなと思います。
ここで話した内容で方向性が固まったような気がします。

ディスカッション内容を元に、私が最終案を作成(4時間程度)

ここまで来ると、最後は自分の思いやビジョンに沿って必要な点などを込めるだけとなります。
最後は、これまでの内容を元にバリューワードとそのステートメントの表現や言葉尻にまで意味を込めて作成を終えました。
これまでの流れを見てもらった方ならわかると思いますが、実に12月中旬から3月初旬まで約4ヶ月にわたって、ビジョンとバリューを考えてきました。
とても長かった…笑

いよいよ発表・・・

ようやく出来上がったビジョンやバリューをただみんなの前で発表だけしても、「ふーん」や「こうなったんだ!」ぐらいで終わってしまうのはとても勿体ないなと思い、すぐ発表するのを止め、下記のような目的を持って準備をすることにしました。

活用の進め方

ここにあるように、理念ができると、すぐに意味を伝えようとしがちになると思います。でも伝えられる側からすると、まずは興味や言葉を使おうとしないとそもそも意味を理解したいと思うでしょうか?

そう思った私達は、まずはお酒の場でもいいので理念(ビジョンやバリュー)を面白おかしく使ってもらうことを発表の日のゴール(Lv0)に設定して、準備を進めることにしました。

発表の日に向けて、たくさんの準備を進めてくれました。

  • オフィス内に色々とクリエイティブを散りばめたり、グッズを準備したり

  • 全員ランチの熨斗にちょっとした工夫をしてみたり

  • そのまま夜飲み会があるのでそこで面白おかしく話してもらったり

そんなことをやってみました。

ここからは、採用人事の小谷がメインとなって色々と準備してくれました(ここからは私が前に立つのは伝えるべきことを伝える役割になって、浸透などはメンバーが主体になってもらいたいという思いを汲んでくれて、とても嬉しかったです)

発表前夜の準備の様子

実際の発表前夜準備の様子①
実際の発表前夜準備の様子②

発表当日の様子

当日の様子①
ステートメントを切り出して強調…!

次回:ビジョンとバリューに込めた想い

出来上がったエピックベースの経営理念は、ビジョンとバリューという形でまとめました。 内容については、次のnoteで想いを書き残していますので、興味を持っていただいた方はぜひ読んでもらえると嬉しいです。

エピックベースのビジョンとバリュー

さいごに。

経営理念を考えるにあたって共同創業者の岡田さん、採用人事の小谷さん、プロジェクトに関わってくれてた皆さん、またクリエイティブを考えてくれたsasaさん、kiyoさん。そして、Mさん。

本当にありがとうございました、誰かがいなかったとしたらこれはきっと完成できていなかったと思ってます。納得行くものができたと心から思うことができています。

早く行きたければ一人で行け、遠くへ行きたければみんなで行け

エピックベースという会社でよりよい未来を作るために、この理念をしっかりと大事に育てていきます。

長文&駄文にもかかわらず最後まで読んでいただきありがとうございました。ぜひ次回のパート2もご覧いただけると嬉しいです。

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