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一度作ったプロダクトを壊す勇気。

4月にリニューアルした製品をようやく正式公開し(いい意味で今もめちゃくちゃ忙しいのですが)納期に追われる日々から開放され、未来について考える時間を少しずつ作っており、これまでやってきたことの振り返りをGWにしています。せっかくなのでnoteにも残しておこうと思います。

リニューアルについてはこちらを御覧ください。

こんな人のために少しでも参考になるといいなと思って書いてます!

・アーリーフェーズで少しでも今のプロダクト成長に疑問や不安を感じる人
・成長はしてる感あるけど、スタートアップの成長軌道にうまく乗れなくて悩んでる人

自分達が「死の谷」にいることを自覚した2020年夏、そこから"我慢の1年半"をようやく乗り越えた

コロナが本格化する2020年3月に、調達ニュースとともに事業を開始。最初に数カ月間は良さそうに見えたものの、「死の谷」に直面をしていることに気づき、プロダクトのリニューアルを決意。

2020年の夏頃から「ユーザーヒアリング→仮説立てる→検証する→結果をもとにディスカッション→ユーザーヒアリング・・・」というサイクルを何度も何度も回しました。ようやく方向性が決まったのが2020年の冬頃。そこから既存プロダクトを運営しながらも新しいプロダクト(リニューアル)を開発し、2021年6月にクローズドローンチ。たくさんの顧客に実際に使ってもらいながら更にヒアリングを重ね、仮説の検証とプロダクトのブラッシュアップを9ヶ月に渡って行ってきました。

約2年かけ、ようやく次のステップに来たのではないかと思える所まで来たと思えるような顧客反応や各種数値にも出てきました。

プロダクトリニューアル後の月次成長率がどのくらい改善したのか

新しいプロダクトは月次成長率が旧プロダクトと比較して+900%改善、立ち上がりも非常にきれいな成長曲線を描いています。特にプロダクトリニューアル以外の変数(問い合わせ数)は、旧プロダクトと同じにも関わらず、です。

ここに至るまでは本当に我慢の1年半でした。いわゆる死の谷をどう乗り越えられたのか。

それは一見フィットしていそうなソリューションを方向転換、技術負債をなくし開発スピードをあげ、顧客の要望に答えられるプロダクトチームになったことが大きな要因だと思っています。

なぜこの話をしようと思ったのか?

よくスタートアップを運営していると「PMF(Product Market Fit)することが大事」と言われます。めちゃくちゃ同意なのですが、これにたどり着くまでにはたくさんのプロセスがあります。

  1. Customer ⇔ Problem(Pain) Fit

  2. Problem(Pain) ⇔ Solution Fit

  3. Solution ⇔ Product Fit

  4. Product ⇔ Market Fit

ちなみに上記プロセスについては、「スタートアップ・フィット・ジャーニー 今どの段階にいて、何に取り組むべきかのガイド」という記事があってとてもわかり易いのでおすすめです! 

1 Customer ⇔ Problem(Pain) Fit
シード調達するためにも必ず考えないといけないところで、シードアクセラレーターやいろんなところでこの話はされているので、意識されている方も多いハズ。

4 Product ⇔ Market Fit
こちらも著名なVCの方が素晴らしい記事を出されていて、勉強になるコンテンツがたくさんありますし、何よりシリーズAなどの調達に動くとこのあたりの話になると思うので、必ずといっていいほどみんな意識してるハズ。

一方で、
2 Problem(Pain) ⇔ Solution Fit
3 Solution ⇔ Product Fit

については、あまり話されることが少ないな〜と感じてます。
でも実は2や3をしっかりと取り組まないとPMF達成も難しいと思います。
そこで今回は「Problem(Pain) ⇔ Solution Fit」や「Solution ⇔ Product Fit」について、エピックベース社が実際に体験したこと・どう数字に反映されたかも触れながら書いていきます。

これじゃマズイと感じた3つの兆候

そもそも、なぜソリューションの見直しを行ったのか、それには3つの兆候が顕著に起きていたからです。

①SaaSの重要指標が低水準であったこと

まあこれは誰でもすぐにわかるものだと思いますが、KGI/KPI、KSF指標がとても大きな成長を目指す数値ではありませんでした。もちろん一定の成長はしていたのですが、過去にうまくいったサービスなどを見ていると、大きな成長をするプロダクトは、先行指標でその「兆し」があるはずで、その兆しが見えないことに、「このままで大丈夫だろうか」という漠然とした不安を抱えながら事業を運営していました。

②顧客要望がとても抽象度が高かったこと

そんな不安も感じていたので、商談や契約してくれた顧客とも積極的に話す機会を持って、その不安を言語化しようととにかく色々と話しました。
そこでは、契約期間もそれなりに経っているにも関わらず、まだ導入準備から抜け出せなかったり、運用定着していなかったりということが起きていました。定着しない理由を確認し要望も伺いますが、どうしても抽象度が高い意見やフィードバックも多く、更に時間が経つにつれて要望を言われなくなる(決して満足しているわけではない)、また要望をもらえても契約時と同様のことが言われる、そんな今振り返ると明確な「赤信号」が出ていました。

③メンバー自身がサービスを120%信じきれていないこと

そして最も決め手になったのは、みんな前向きに事業を成長させようと頑張っていましたが、どうしてもプロダクトへの愛着などが120%でないことでした。自分達が積極的に活用するプロダクトにはなっていなかったのです。

3つの兆候から、ARR100億を目指せるプロダクトではないと判断し、もう一度プロダクトを見直すという意思決定をしました。

これまで積み上げてきたものを一度全部崩すということで、社内からの反対や不安もあるのかなと思っていましたが、私と同様に感じていたのか、リニューアルに対してポジティブな意見も多く、1からプロダクトを作り直すことになりました。

顧客から聞くべき重要な3つのこと

プロダクトを作り直すにあたってまず始めたのが、今の製品を前提にせずに改めて顧客の声にフラットに耳を傾けることでした。

私達が聞いた顧客の声とは、とにかく「課題」にフォーカスしました。
なぜ困っているのか、解決できそうなサービスを使わなかったのかなどの事実関係を聞き、解決方法を聞かないこと」を徹底してヒアリングを行っていました。(今も続けています)

1. 具体的な行動(実際に行ったこと)
2. 意思決定の理由(なぜその行動を行ったのか)
3. 顧客の時間の使い方

にフォーカスしてヒアリングを重ねていきました。

課題や困ったことについては、そこに解決しようと行動が伴ったのか、などの具体的なアクションとその決断背景や理由など、事実を把握することができるからです。課題を解決しようと「時間」や「お金」を消費するポイントにこそ、解決すべき箇所であると考えているからです。逆に解決方法については我々がその体験を定義し、プロダクトを通じて感じてもらえるかを検証すべきであり、解決方法自体をヒアリングしても「顧客が知りうる方法」だけしか聞くことが出来ず、それでは顧客への「アハ体験」を生み出せないと考えています。
※アハ体験=顧客に「おおお!」と思わせる圧倒的な体験を勝手に定義づけしています

ソリューションの仮説検証方法

スマート書記は業務の効率化を目的にしたプロダクトなので、ソリューションを通じて顧客へ提供するベネフィットは、当然ながら「業務がどのくらい効率化できたか」になります。それをやるために以下のステップで、ソリューションの検証を行っていきました。

  1. 対象となる顧客のセグメント(いわゆるペルソナ)を具体化する

  2. そのセグメントに合致する顧客にヒアリングし、業務フローを可視化する

  3. フローを切り出したら、まずは業務単位で効率化するためのアイデアを出し、figmaや既に同様の体験を実現しているツールを組み合わせて、社内で「効率化」できるか検証をする(ここではプロダクトは作ってない)

  4. 業務単位で一定の結果が出たら、エンジニアにも協力してもらい簡単なモックをもとにイメージした体験になるかを検証

  5. 全体の体験がスムーズになるようにPdMやデザインが中心となってプロダクト開発に着手

2〜4は何度も行ったり来たりしながら繰り返し検証していたと思います。ただし課題のヒアリングは顧客に行うものの、ソリューションについては社内のみで検証していたところがポイントだったかなと思っています。

実際にツールなど組み合わせしながら検証していたときの様子

検証の詳細は PdMのmarioがまとめてくれてるので、気になる方はそちらもご参照ください!

リニューアル後、顧客の反応等がどう変わったか

その後、半年強かけてプロダクト開発、クローズドβとしてローンチ。
とにかくペインの強い顧客をクローズドで募集し、無償で2ヶ月間使って頂き、ここでようやくソリューションに関する詳細なフィードバックをもらい続けました。

フィードバック観点も色々聞きたいことはありますが、「作成の効率化につながったのか」というたった1つのことに絞り、とにかくその点に関して、ヒアリングを通じて深堀りし、プロダクトチームと連携しながら改善を続けました。

クローズドβの提供が終わる8月末になると、これまでにはないことが顧客から言われました。

「9月からは使えないの?」「実際の会議で使っていて、これ使えなくなるととても困るんだけど」「いつ有償提供始めるの?」など、我々もすぐに有償提供せずにもう少し改善などを進めていこうと思っていた矢先の驚きの発言が出てきたのです。

とにかくたった1つのことに絞って作った製品で、それ以外の基本機能なども不十分な状態。それでも使いたいという声があり、我々は急遽10月から提供開始できるようにMVP(Minimum Viable Product)→MSP(Minimum Sellable Product)へと基本機能やエンタープライズで利用いただくための最低限機能などを準備し、10月より前倒しで有償提供開始しました。

提供開始後、我々の想像を上回る速度で導入してくださる企業が増えていきます。ただし旧プロダクトとは違い、顧客からの具体的な要望がどんどんと増えていきます。また面白いことに利用が進むに連れて、要望される機能が移り変わっていくのです。例えば、最初は「作成」に関することだったものから、今度は「共有」に関することなど。まさに使って、利用が進んでいるからこその要望の移り変わりです。

直近では他部署展開等を始める顧客も増えてきており管理機能についての要望も増え、まさに顧客の成長にあわせてどんどんと要望が増え、開発体制を広げないと追いつかない状況が発生しているのです。プロダクトチームを大きくするためのシグナルは、ここにあるのではないのかなと今振り返ってみて感じているところです。

また、顧客の反応が変わったのは何も定性的な部分だけではありません。

プロダクトリニューアル後のMRRとARPUの推移

利用者数や利用頻度が増えていることを証明する指標として、ARPAも6ヶ月で+26.6%増えています。さらに、会社として1つのマイルストーンにおいているARR1億もかなり固めに見ても達成が見えており、これから大きな成長をすべく長期的な取り組みや準備を進められるようになっています。このあたりの準備などもいつかnoteでかけたら書こうと思います。

とにかくマズイと感じた3つの兆候が新プロダクトでは全てポジティブな状況になっており、サービスを作り直すという大きな意思決定とそれを正解にするためにチーム一丸となってこの1年を取り組めたことが大きな自信になり、チーム力もついたと心から思えるようになりました。

現在は、プロダクトだけでなく、事業あるいは会社として大きく成長させるために必要な要件を満たせているのか、次の大きな成長へ向けて、ようやく大きな一歩を踏み出しています。

一緒にチャレンジを楽しめる仲間を募集中・・・!

こんな感じでプロダクトをリニューアルしてからの反響がとても強く、
顧客からもたくさんの具体的な要望をいただけ、正直全く人が足りない状況です。

Product/Market Fitをすると、顧客からの機能開発の要望で手に負えなくなったり、アクセス過多でサーバーが落ちたり、サポートのリクエストが数多く舞い込んだり、見込み顧客が捌けないようになります。採用しないと顧客の要望に対応できないけれど採用自体が追い付かない、というフェーズになります。

スタートアップ・フィット・ジャーニー 今どの段階にいて、何に取り組むべきかのガイドより

まさにこの状況になってきており(もしかしてPMFが見えてきてるのか…?)
やらないといけないこと・やりたいこと・顧客との対話がとにかく今の人員では足りない状況です。メンバーも実はとても優秀なメンバーばかりで、

  • 顧客を主語に議論ができる

  • 誠実である

  • セールスチームとプロダクトチームの密な連携が出来ている

のが特徴なチームです!

ぜひ少しでも興味を持って頂ける人がいたら、お茶やランチしましょう😃
特に、サーバーサイド・フロントエンドエンジニアの方、セールスやCS、マーケティング、採用責任者の方を切望しています!直接、松田まで連絡してもらっても大丈夫です〜!!!

次回はもう少し我々が目指していることについて書こうと思います。
それではまた。

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