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教えるということ

 そんなわけで今まで多少の寄り道はしながらもテニスコーチをやってきました。約25年間やってきたテニスコーチという立場について感じる事を書いていきたいと思います。

 現在日本においてテニスが出来る環境というのはテニススクール・テニスクラブ・市営のコートを利用する、そして学校での部活動でしょう。日本ではテニススクールというものが割と一般的に普及しています。それはテニスというスポーツの特性上一人では出来ないという部分と、技術的に難しいのでまずは習う必要があるという部分が影響しているからだと思います。

そこで登場するのがテニスコーチ(インストラクター?)という人間です。 テニスコーチと言っても様々な役割がありどんな人達を対象とするかによって求められる技術や能力はかなり幅広いものであると思います。

プロの試合に帯同するツアーコーチ・選手の相手をするヒッティングコーチ・大学や高校中学で指導する部活動のコーチ・一般のスクールで指導する職業コーチ...

プレーヤーの目的も様々、試合で勝つ・健康維持・上手くなりたい・綺麗に打ちたい・ストレス解消・とにかく汗を掻く・友達を作る・子供の発育・子供の遊び・単純に楽しむなどなど。

これら全てのニーズに応えるテニスコーチって大変だと思いませんか?  テニスの技術はもちろん、コミュニケーション能力・話術・科学的な知識全てが必要だと思います。

ところがテニスコーチになるきっかけって単にテニスが出来るからってことだと思うんですよ。ほとんどのコーチがそうなんじゃないかなって思うんです。何を隠そう自分もそうでした。テニス好きだし、そこそこ打てるし、空いてる時間に練習できるし、おまけにお金ももらえるって感じでした。ただ自分の場合は最初は結構プレッシャーがあって苦痛でした。お客さんの打ちやすいところにボールをコントロールできないと怒られるし、常に大きな声を出すことも今までやったことなかったので慣れるまでは大変でした。

そんな感じで何年かやっていた時、あるコーチに言われたんです。お前テニスコーチだって勘違いするなよって。少しテニスが出来てお客さんの相手してるだけならテニスコーチとは呼べないだろって。勉強しなさいと。

人間にテニス教えるのに人間のこと大して知らないし勉強なんてしたことないなって改めて思ったんです。人に物を教える時って大抵その人の経験したことをベースに教えてるはずです。その経験が正しいか間違ってるかなんて考えもせずに。ましてや自分がそれで結果を出せば出すほど疑う事なんてしませんよね?

もちろん経験を否定している訳ではないんです。経験しなければアドバイスが本当の意味で伝わる事はないと思います。しかし、経験したことが本当に正しいのかを勉強しなければ間違った事を伝えてしまう可能性があります。

そこで勉強することにしたんです。大学の体育学部に入りスポーツ科学を学びました。卒業したと同時にトレーニングの資格も取りました。それで初めてコーチのスタートラインに立てたのかなって感じました。

「学ぶことをやめたら、教える事をやめなければならない」       最近講習会などでこの言葉を良く聞くようになりました。まさしくその通りだと思います。

これからもこの言葉を忘れず、常に疑問を持ちながら成長していきたいと思います。



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