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教#063|天声人語の書き写し~マンガで分かる心療内科を読んで④(たかやんnote)

 「マンガで分かる診療内科」に登場するナースのあすなは、明るくてボケ役。心理士の療は、真面目で突っ込み役です。大阪ですと、場の空気を読みつつ、誰かがボケ役を演じたりすると思いますが、東京では、そういう習慣がなくて、落ちとメリハリがなく、淡々と時間が流れて行くと云う傾向は、あるかなと云う気はします。私は、部活の顧問として、ボケ役、突っ込み役が、自然に出て来れるような、自由な雰囲気の部活を目指しましたが、結局は、人の組み合わせの問題です。人と人との、それなりに面白い組み合わせができるためには、母集団は40人くらいはいた方が、望ましいです。40人~50人くらいですと、人の組み合わせも、かなりの数できて、ボケ役、突っ込み役も出て来ます。20人学級が望ましいと言われていますが、それは、学習指導と云う面に限定したメリットです。クラスとして、それなりにヴァラィティ豊かな、面白い、まとまりのあるクラスになるためには、40人の方が望ましい(50人でも構いません)と、私は個人的には考えています。

 私がボランティアに行った脳トレの講座は、参加者が20人くらいでした。代表者を入れて、スタッフは4人。40人規模になると、スタッフは理論的には倍必要です。場所のspace的な制約もあります。コロナと共生して行かなければいけなくなった今の時代ですと、あまりにも三密(密集・密接・密閉)過ぎて、不可能だろうとも思います。(昭和の)昔は良かった的な、懐古的なセリフは、しょっちゅう、あちこちで耳にしますが、昭和の昔が良かったひとつの理由は、狭いとこに人が密集していたからです。密集していたからこそ、沢山の人の組み合わせができて、それなりに面白い展開になって行ったってとこはあります。

 私が手伝いに行った、総勢24人の脳トレの講座について、もう少し書いておきます。漢字の書き取りの練習もしていました。私もやりました。小学校4年生レベルで、漢字が一個、書けなかったと記憶しています。歳を取ると、忘れっぽくなります。私が高2で世界史を習ったM先生は、旧制高校から、京都帝国大学に進まれた、教養あふれる碩学でした。その碩学が「元こう」の「こう」を、ど忘れしたと仰って、教科書で確認して「元寇」とお書きになりました。M先生でも、お歳を取ると、漢字をお忘れになるんだと、正直、かなりshockを受けました。

 私は、いまだにパソコンは、さほど扱えませんが、ワープロ歴は長いです。28歳の時、シャープの書院を買いました。ワープロ歴は、40年近くに達しています。ワープロは、発売当初から、日常生活には支障を来さないレベルで、ひらがなを漢字に変換してくれました。漢字をど忘れして、そこで立ち止まって、辞書を引いてしまうと、文章を書くリズムが止まってしまいます。漢字を忘れていても、ひらがなで、どんどん書いて行きます。ワープロ登場以前は、更正段階で、ひらがなを漢字に直していました。で、それを清書しました。ワープロ登場後は、下書き原稿を、ワープロに直接打ち込むようになりました。打ち込んだ後に、更正します。ひらがなは、すでに漢字に変換されています。ワープロを使うようになって、漢字が書けなくても、別段、支障はなくなりました。そうすると、漢字力は、どんどん退化して行ってしまいます。小4の漢字で書けないのは、一個だけでしたが、学年が上がるに連れて、等比級数的に書けない漢字が増えて行くと、推定できます。どこかで、漢字の練習をしなければいけないとは思っています。中学受験ですと、朝の30分間を使って、漢字と計算の練習をします。個人差は、あると思いますが、標準は漢字15分、計算15分です。記憶力が抜群に良い小学生だって、何度も何度も反復練習をしているんです。漢字を書けない年寄りになってはいけないと、小4の漢字を一個、書けなかった時、反省しました。

 天声人語を書き写すと云うプログラムもありました。こういうプログラムが世の中に存在すると云うこと、そのための専用のノートも発売されていると云うこと、全国津々浦々の老若男女が、天声人語の書き写しを実践していると云うこと、などなどは知識としては知っていましたが、実際に書き写しの場面に遭遇したのは初めてでした。

 私は、アンチ天声人語書き写し派です。天声人語は、非常に特殊な文章なんです。天声人語文体と云うものが存在します。それは、日常の身近なことで書き始めておいて、起承転結の「転」のとこで、いきなり天下国家の政治的な話題に持って行くと云うスタイルです。中高生が、天声人語の書き写しをしても、小論文の練習には絶対になりません。国語の便覧の最後の方に掲載されている小論文の書き方を参考にして、文章の全体の設計図を拵え、その後に、実際に小論文を書いてみて、それを、国語力のあるしっかりした方に、添削してもらうやり方が、一番、実力がつきます。高2で、ガチAO受験などを考えている方は、Z会などの添削講座で、月2回くらい、小論文を書いて行けば、AOの本番までには、必要にしてかつ充分な小論文が書けるようになります。高3生は、今からガチAOは、ちょっと厳しいかもしれません(ガチAOとは早慶のような上位佼のAOです)。

 脳トレの講座で、天声人語を書き写すのは、別に悪くはない試みだと思いました。参加者は、将来、小論文を書いたりするわけではありません。今、社会で何が起こっているのかを、天声人語を書き写すことによって知ります。別段、朝日の天声人語に限定する必要はないと思います。毎日の余録でも、読売の編集手帳でも、構いません。脳トレの講座は、市内のあちこちでやっているわけでしょうから、市の社会教育課の職員とか、NGOの職員が、天声人語、余録、編集手帳の3つに毎日、目を通して、書き写す課題の文章を選択してあげて、各講座の世話役にメールで一斉送信すれば、良質でup to dateな文章を、脳トレの参加者は、書き写すことができます。天声人語・余録・編集手帳の3つを毎日、読んで、書き写すべき文章を選び出し、それの注釈をつけると云ったボランティアを、何もすることがなくなったら、やってもいいかなと、天声人語の書き写しを、自分自身でやって見て、思いました。

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