【受験ノート】日本女子大学

 日本女子大の本部キャンパスは、文京区の目白台にありますが(最寄り駅は山の手線目白駅。徒歩15分)西生田にもキャンパスはあります。大学側は、2021年に西生田キャンパスで開設している人間社会学部を、本部キャンパスに統合する計画を打ち出していますが、文部科学省は、23 区内の増員や、新学部・新学科の創設は認めないと云う方針なので、都心回帰が実現するかどうか、現段階では、解りません。

 本校に通って来ている生徒にとっては、西生田キャンパスの方が、アクセスは容易ですし、便利です。京王相模原線、南部線の稲田堤から、バスで5分です。徒歩で歩けない距離ではありませんが、日が落ちてから帰るとなると、そこは、まあ変質者がいないわけでもないでしょうし(と云うか絶対にいます)バスの方が、安全です。

 キャンパス内のバス停は、まさに「となりのトトロ」に出て来そうな緑に固まれた、停留所です。丘陵の上に校舎があるので、正門から校舎まで、かなりきつい坂道を歩くことになります。まあ、嫌でも脚の筋力はっきます。キャパ1800人の、成瀬ホールもあります(ちなみに成瀬仁蔵と云う方が創立者です。広辞苑に名前は載っていますが、東京女子大の初代学長の新渡戸稲造と較べると、まったく無名です)。本部キャンパスの学生も、成瀬ホールで実施する入学式や、卒業式と云ったイベントの時は、西生田キャンパスに出向くことになります。

 すぐ傍に、日本女子大附属中学高等学校があります。たまに、日本女子大附属高校のバンドを見ますが、キャラが濃くて、面白いバンドが多いです。何もない西生田の丘陵の上で、ガラパゴス的に、軽音部ライフをenjoy していると想像できます。女子美大付属高校と相通じているような、自由さと、ほったらかし感が、伝わって来ます。「良妻賢母」を養成する学校ではないと云うことは、附属の生徒を見ていても、即座に理解できます。そもそも、良妻賢母などと云うフレーズが、今や、ほぼほぼ死語です。

 西生田にある人間社会学部には、現代社会学科・社会福祉学科・教育学科・心理学科・文化学科の5つの学科があります。勉強が大変なのは、教育学科と心理学科。この2つの学科は、どこの大学でも、やるべきことが沢山あって、経済や経営に較べると、とんでもなく学業が忙しくて大変です。課題もどっさりでます。心理は、実験や観察もあり、半分理系の学問です。軽い気持ちで、心理学科に行くと、間違いなく後悔します(入学して向かない学生には、積極的に転部を勧める学校もあります)。社会福祉士や精神保健福祉士と云った資格を取る気持ちがなければ(介護福祉士くらいを持っていればいいやみたいな)福祉系は、楽です。JKには、さほど人気のない福祉系ですが、どうしても福祉系だと云う方も、rareですが、確実にいます。

 福祉系は、河合塾の偏差値で、60台半ばに届く、超難関の学校はありません。まあ、強いて難関と云えば、上智の総合人間学部の社会福祉学科と早稲田の人間科学部の健康福祉科学科くらい(それも60ちょい)。うちの学校ですと、地元の多摩にある法政の現代福祉学部の福祉コミュニティ学科が、第一志望だと推定できます。日本女子大の社会福祉学科は、やや下がりますが、ここも押さえておきたいです。上智や早稲田、あるいは立教や法政とかの、ネームバリューのあるブランド校に押されて、偏差値的には、やや後塵を拝してしまっていますが、福祉系の名門大学は、日本社会事業大です。当然、併願しておくべきです(本気で福祉の世界で仕事をしたいのであれば、いろんなことを考慮するとここがベストです)。すべり止めは、東洋大の社会学部の社会福祉学科とか、東京家政大の人文学部の教育福祉学科とか。本気で受験勉強をしている生徒は、このへンまでのどこかで決まる筈です。たいして勉強する気がなく、どうしても福祉系だと云う方は、東京福祉大とか、文京学院大とか、明星大の福祉系あたりでしょうか。この3つの中ですと、多少、通学に時間はかかりますが、文京学院大の福祉系を推します。

 日本女子大の本部キャンパスは、狭い、のひとことに尽きます。ちょっと狭め公立高校と同じくらいです。西生田キャンパスの学部を、移転することは、物理的に不可能だろうと云う気がします。大学のすぐ傍に寮があって、それを高層ビルにすれば、何とかなるのかもしれません。

 ライバルの東京女子大とは、明らかにキャラが違います。東京女子大には、今でも「良妻賢母」のエートスのカケラが残っていますが、日本女子大には、前述したように、それはもうないです。附属上がりのバリバリのお嬢さんもいれば、パリピもいます。自由に育って来ているので、性格は悪くはないんで、すが、附属上がりが、ちゃらい雰囲気をかもし出す源(みなもと)にはなっています。

 日本女子大の学生の3分の1は遊んでいて、3分の1は普通で、3分の1はガツガツ勉強していると、まあ大ざっぱに分類できます。恋愛においても、学業においても、遊びにおいても、意識高い系がいます。朝井リョウさんの「何者」の舞台は、早稲田ですが、日本女子大を舞台にした、「何者」の女子大版も創れそうな気がします。

 日本女子大の看板学部は、やはり家政学部。家政学部には、児童学科・食物学科・住居学科・被服学科・家政経済学科の5つの学科があります。家政経済学科以外は、学業が大変です。家政経済学科は、共学校の経済学科と、基本、同じです。インカレサークルに入って、彼氏を見つけて、キャンパスライフをenjoy し、要領良く単位を取って、一般職で一流企業に就職し、結婚相手を見つけて、一生、安楽に暮らして行くと云うノリの人たちです。

 キャンパスは、狭いので、学生の多くは、インカレサークルに入って、他校でサークル活動をしています。彼氏をみつけたら、インカレサークルは、リタイアします。大学の多くのサークルは、リア充と人間関係作るためのそれです。高校の部活とは、本質がまったく違います。

 日本女子大は、グローバルではないし、英語教育に熱心だとも言えません。まあですが、それでは、世間のトレンドに乗れないので、「毎日学ぶ課外英会話」と云う講座を設けました。空き時間を利用して、週5日(月~金)年間100目、英会話のレッスンを、キャンパス内で受けられる仕組みです。ネイティブスピーカーが講師で、レベルに合わせてグループレッスンしています。英会話に関して、意識の高い学生は、本気で、この講座を消化すれば、日常の会話くらいは、不自由しないくらいの英語力は身につきます。

 単位互換制度と云うのも、最近の流行ものです。東京女子大は亜細亜・成眼・日本獣医生命科学・武蔵野と云った大学との互換制ですが、日本女子大は、そこは都心の大学ですから、早稲田・立教・学習院との互換制です。が、わざわざ、他校まで出向いて、講義を聞きたいと云う勉強熱心な学生が、いるとは正直、思えません。まあ、流行(はやり)ものの、役に立たないアクセサリーのようなものだと推定できます。

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