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絶望をnoteに書く。

大袈裟かもしれないが、井村屋のあずきバーはダイヤモンドのように硬くあるべきだ。

運が悪い場合は前歯が欠ける。

それほどあずきバーは硬くて、そして最高に美味しいアイスだ。

そのあずきばーを手に取った俺は、違和感を感じた。

硬くない。

これは…まったくもって硬いオーラが出ていない。

あわてて袋から取り出すと、あずきバーが優しく溶けている。

いや溶けかけている。

なぜだ?

冷凍庫の扉が半開きになっていたのか?

理由はわからない。

だが俺が手にしているあずきばーは、棒から抜けて落ちてしまいそうだ。

一瞬目の前が真っ暗になった俺だったが、すぐに気を取り直した。

そうだ、アイスというものは、溶けかけが美味しかったりするものだ。

たまにはこんなあずきバーもいいかもしれない。

そう思いながら、俺はあずきバーをかじってみた。豪快にね。

すると、あの硬いあずきバーがあっさりと2つに割れ、床に落ちてしまった。

ベチャパッ!!!!!

うおおおおおお!あずきヴァアアアアアアーッ!


なんということでしょう。

たった一口しか食べていないあずきばーが、床に落ちて破裂したではありませんか!

俺の時は止まった。

ただ、床を呆然と眺めることしかできなかった。

今日のすべてはこのあずきバーに賭けていた。

この楽しみがあるからこそ、俺は辛い仕事も頑張れたんだ。

なのにこれは…!

絶望した。

希望を失った。

人生終わった。

孤独と悲しみ、後悔と憎しみの感情が俺を襲った。

俺の悩みは幼い頃からどこにぶつければいいのかわからない怒り、不幸に出会うことだ。

神などいない。

そう呟いた。

だがすぐに立ち直った。

冷凍庫にはもう一つ、あずきバーが残っていたからだ。

これをじっくり冷やして、風呂上がりに食べるとしよう。

俺の絶望なんてこんなもんだ。

俺はまだ、本当の絶望を知らない。

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