AI活用の成功は、すごくシンプルな思考にあるという話
僕は中学高校とサッカー部に所属していました。当時の悩みは、利き足ではない左足でのボール扱いがなかなか上達しないことでした。
そのため左足でシュートが打てるチャンスが来ても、右足に持ち替えてチャンスを潰してしまうことがざらにありました。
周囲からは「左足で打てばよかったのに」と言われても、
「もう少し上達してから」
という返答を繰り返し、気が付けば僕の部活生活において左足でシュートを打った記憶は数えるほどしかありませんでした。
当時の部活で最も大事なことの一つが「シュートを打つこと」であるにも関わらずです。
上達するのを待って挑むのか、まずは挑んでみるのか。
よくある二項対立の話ですが、AI導入の現場でも同じようなことが数多く起こっています。
ファーストペンギンは偉大である
AI導入の実務担当者の方々から良く頂くお話として
「AIで何が出来るのか、AIを使って何を実現していくかが定まっていない」
というものがあります。
当然どの企業でも、対処すべき課題はいくつも認知しているものです。しかし、こと『AI活用』という話になるとこのような状況になるケースが多いように思います。
確かに、自社の課題をAIで解決するという大枠の話は理解できても、具体的にどの課題をどのようにAIで解決していくかをデザインすることは意外と難しいものです。
こういった状態にある企業で良くある例が
『やるべきことが定まったらAI導入に踏み切る』
というものです。
ただ、このケースでAI活用で成功されている例はあまり聞きません。
それとは反対に、ある特定の課題を何が何でもAIで解決するように取り組むと決めてスタートした企業では、導入時に起きる様々なトラブルや挫折を経験しながらAIによる課題解決に取り組んでいきます。
その結果、課題解決に沿ったAIの開発やモデルの改良が進んでいくのです。
つまるところ、果敢に取り組んだ方が得るものが多いということはサッカーだろうがAIだろうが変わらないのだと痛感しています。
とはいえ、いきなりのAI導入には様々なリスクが存在するために、なるべくリスクをコントロールして挑戦することが現状においては得策かと思います。
ポイントを2点にまとめてみました。
リスクコントロールのポイント
1.他社事例を真似してみる
AIの活用事例として、既に他社が取り組んだテーマをまずは自社でもやってみることです。
他社事例は、既に提起された課題とその解決として取ったアプローチです。これを参考にしない手はありません。
他社事例をもとに、自社にとって有効かどうか、どうすれば有効性が高まりそうかという議論が可能になります。まずは他社事例をしっかりマネてみましょう。
2.価格はなるべく抑える
とりあえずのチャレンジに高額な費用を投下することはあまりオススメできません。
最初のチャレンジで大きく失敗してしまうと、次のチャレンジがしにくくなってしまい、せっかくの失敗を次に活かす機会を逸してしまいます。
まずは費用を抑えてチャレンジして、自社にとってどのような実施の仕方が最適かの判断が出来るようになれば、その結果を踏まえた上で改善策を練り、より密度の高いアプローチを行うことができます。
最初のアプローチを低コストに抑える
とにかくボールを蹴って練習する
”他社の真似”を”なるべく低コストで行う”
シンプルですが、これがAI活用という観点では最も低リスクでスピード感のある取り組みであると思います。
幸いAI業界にも様々なサービスが提供されており、導入しやすいサービスが増えてきているので環境は整いつつあります。
もし私が学生時代に、下手でもとりあえず左足でシュートする選択をしていたなら、その後の練習方法や取り組み方が変わり、最終的にはサッカーへのかかわり方が変わっていたのかもしれません。
ひとつだけ確実なことは、きっとシュートの数が増えれば、その分ゴールの確率も上がっていただろうことです。
AI活用というと複雑なことを考えてしまいがちですが、実際にやることはシンプルです。
ぜひ参考にしていただければ幸いです。
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