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AI時代にこそ、ビジネスサイド(事業部門)が主役になるという話

以前、とある有名AIツール主催ののイベントに参加してきましたが、その来場者数の多さにド肝を抜かれました。。。
そのツールの急成長ぶりと、日本企業のAIに関する熱量の高まりを実感できる良い機会でした。

推察するに、来場者さんの一定割合はこのAIツールの導入検討中企業であると思われ、職種で言えばエンジニアやデータ分析などに携わっているような専門職ではなく、営業部門や管理者などのいわゆるビジネスサイドの方々の割合が多かった印象です。
40代以上と思われる年齢層の方々も多く、熱心に情報収集をされていました。

こういったことはAIの普及という観点では非常に重要でポジティブな要素だと思うのですが、そういった方々が学びの結果『何を身に着ける』かが重要であるとも強く感じましたので、今日はそのあたりについて書きたいと思います。

ビジネスサイドの人間が抑えるべきポイントとは

今回のようなイベントや各種メディアから発信される情報など、AIに関するインプットの結果ビジネスサイドが身に着けるべきスキルはAIについての詳しい知識や専門性なのかといえば、答えは『NO』だと思います。
実はここを間違えてしまうと、様々な情報を持ち帰った参加者さんが、社内で「他社ではこんなことをやっていたから当社でもAIを使ってそれをやるぞ!」となり、AI導入そのものが目的化して価値を生まない結果になりかねないのです。

●AIはどのようなことが出来るのか? 
●同業他社の導入事例にはどんなものがあるか?

など、多種多様な情報を得ることができますが、こういった良質なインプットを基にビジネスサイドの方々が身に着けるべきスキルはズバリ、『解決目的(課題)を設定する力』なんです。

AIにおける解決目的(課題)の重要性

『解決目的(課題)の設定』って、なんだか当たり前のことを言ってしまっている感がありますが、AI活用、ひいてはデータ活用においてこの要素は非常に重要なんです。
一般社団法人データサイエンティスト協会が定める、データサイエンティストに求められるスキルセットには以下の3つあ有ります。


●データサイエンス力
(統計や数学の基礎を理解し、それらを扱う能力)
●データエンジニアリング力
(データサイエンスを基にして、実際の形に実装する能力)
●ビジネス力
(ビジネス上の課題整理と解決策を策定する能力)

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この3つを兼ね備えたスペシャルスペックの人は極めて少なく、このうち2つ以上をストロングポイントにしているような方を複数人集めてチーム組成をするのが一般的のようですね。
そして、AIって聞けば専門スキルが必要と思われがちですが、実はこの「ビジネス力」っていうものが極めて重要で、
いかなることもゴール設定を間違えれば正しい方向に行かないのと同様、AI活用においてもそれは同じです。
AIでどんなことを出来るかのあらましを理解し、自社の課題や自社が保有するデータの特性などのあらゆる前提条件を理解した上で、何を解決していくかの意思決定をする力こそが、最も重要であると考えます。
他社の事例も、結局は解決したい課題を設定し、AIを活用してその改題に向き合った結果でしかありません。

ところが、AIと聞けばデータに詳しい方や理数系の人材が社内でアサインされてることが多いみたいですが、このビジネス力の部分を誰が担っているかというと、外部の人材、具体的にはベンダーさんだったりSIerさんだったりするんです。
最初は外部の方には自社のビジネス理解がないので、各種情報をキャッチアップする事から始めます。
社内には自社ビジネスへの理解が深い人がいるにもかかわらず。。。

ですので、世のビジネスパーソンの多くの方にお伝えしたいのが、AI時代にこそ、この『ビジネス力』が必要とされるということなんです。
AIと聞いて自分は関係ないとか、専門職の時代だなんていうのは幻想で、AIという手段を使いこなす頭脳が今後必ず必要とされます。

AI時代におけるビジネスサイドの役割

今後、AIはもっともっと技術革新が進み、企業にとっては導入しやすい形になって、一層企業活動に浸透して行くことと思います。
そうなった時にも、「AIを使って何を解決するか?」の問いを解決するのは人間であり、それは外部の人材ではなく自社の事を熟知したビジネスサイドの人間であるべきだと思うんです。

解決目的(課題)の設定を行うには、「自社ビジネスそのもの」、「自社の強みや弱み」、「競合動向」、「顧客の声などの1次情報」を深く理解することが重要であり、その役割はビジネスサイドの人間が適任であると考えます。
企業内には、これまでビジネスサイドに10年、20年いたような人材もいるかと思います。そういった人材が持つ自社ビジネスへの理解は一朝一夕に手に入るものではありません。このような人材は今後のデータ社会やAIが当たり前になる世の中において重要性が高まるのではないかと考えます。
それ故、AIがどんなことを出来るのかということや、データそのものの理解はある程度備わっていた方が、その能力がいかんなく発揮できるので
今回のイベントのような場所で情報収集することは大変意義があることだと考えます。
ですので、他社の事例に焦燥感を覚えたり、ただ知識を蓄えるのではなく、「自身が自社のAI活用においてビジネス力のエンジンになるのだ!」という視点で情報取集を行っていくと、もっと良くなるのではないでしょうか。


AIのことなんてチンプンカンプンでもいい、AIや数学の専門知識が無くてもいい。
でも、データやAIを活用するにあたってその判断や意思決定が出来るビジネスサイドの人間がもっと増えれば、国内企業のデータ活用力がもっと高まると思うんですよね。
今ビジネスサイドにいる方は、そういった目線で今後お仕事に取り組むと、新たな自分の価値を生かせる未来が来るのではないかと思ってます。


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