【詩】世界の終わりと僕たちと
空が割れて落ちてきた、海が崩れてこなごなになった、世界の終わり、僕は君の手を取って走り出す、街ではひとがあっちへこっちへ、でも僕は君を離したりはしない、だって木星の裏でやっと見つけたんだからね、星が地滑りを起こしているから、いまここでキスしていいよね、フジサンが噴火したら大変だ、逃げまどうひとたちで道路は大混雑、僕らは手をつないで走る、坂口安吾の「白痴」かよ、みんなとは違う方向へ、二人きりになれるチャンス、こんなときなのに君はうれしそう、僕もニヤけている、フジサンは怒っている、妬いているんだね、僕らが愛し合っている、火の海、気持ちいい、それがすべて、善と悪とか、そんなものは昨日という墓場に置いてきたよ、子どもだね、フロイトの快楽原則、世界が終わるけど今日キスをしたいから、だめかな、だって僕の願望を拒絶しない君はいつもよく笑う、ねえ好きだよ、月が光る、腰を抱き寄せる明日、すき、だいすき、あいしてる、( )、ここに入ることばはないかな、あいしてるじゃ足りないんだ、比較級、最上級、唯一無二の存在、繰り返される、すき、だいすき、あいしてる、名前呼んで、ねえ、もう二人してエロい、ここらでたまらなくなる、せつなくかすれた声、世界の終わりという、快楽
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