初めての解剖学
本記事では理学療法士やスポーツトレーナーなど人の身体に関わる方向けの解剖学の最初の学び方についてまとめています。
私は理学療法士の資格を持ち、現在はフリーでスポーツトレーナーとして活動しています。
学生時代から解剖学について学び始め、実際にご遺体の解剖をさせていただいたこともあります。
もちろん今でも解剖学書を開き学び直すことがたくさんあります。
そんな私がどのように解剖を学んできたか、右も左もわからない時に意識していたことから、一通り学んだと一度感じてからさらに深めることになった時の学び直し方などを紹介します。
これから解剖を学んでいきたいと思っている方、学生時代には勉強したけど苦手意識があったという方の参考になると思います。
最後には中級者向けの勉強方法も紹介していますのでぜひ参考にしてみてください。
それでは早速始めていきましょう。
1.解剖学を学ぶ意味
そもそも、なぜ解剖学を学ぶ必要があるのでしょうか。
理由はたくさんあると思いますが、
私の見解として一番重要だと思っていることは、『施術やトレーニングの根拠を自分で作れるようになるため』です。
現代では毎日のように新たな論文が出され、エビデンスという言葉もかなり頻繁に聞くようになりました。
エビデンスは医学全般を含む理学療法やトレーニング理論においてその効果が一定の審査の元で保障された証であり、その重要性が認識されてきているという意味でポジティブに捉えられると思います。
しかし一方で、現場では全てをエビデンスに当てはめて対応できるわけではありません。
エビデンスを語る上で避けられない言葉の一つに『バイアス』があります。
バイアスとは偏りのことであり、研究ではその特性上、可能な限りバイアスを排除してデザインします。
しかし実際のクライアントはバイアスの塊とも言えます。
既往歴、現病歴、家族歴、主訴、社会やチームにおける役割、その他あらゆる『その人を構成する要素』の組み合わせとなります。
それは論文においては排除しなければならないものですが、現場では考慮しなければならないものです。
このギャップを埋めるのは、医師を含めた現場のスタッフたちの判断しかありません。
その時の判断材料の一つとして、解剖学は無視できないと思うのです。
なぜその部位に痛みが出ているのか、なぜその整形外科的テストをするのか、どのような方針で進めていくか、あらゆる判断に解剖学的な見解を必要とします。
しかも、診断や指示を出す医師と我々コメディカルが会話する際にも必須です。
つまり、解剖学とは現場で活動するには避けては通れない道であり、逆に詳しく知っていれば強い武器となり、エビデンスを現場で応用するために必須であると言えるでしょう。
人の身体に関わるなら絶対に押さえておきたい解剖学。
最初はおすすめの学び方から紹介していきたいと思います。
2.解剖学を学び始める時のおすすめ方法
本当に初めて0から学び始める、という方はあまり分厚い専門書を購入しなくても良いかもしれません(高いし重い)。
まずは専門用語に慣れること、そして大枠としての人の身体を理解することが重要だからです。
恐らく同業者の方であれば、学生時代にテスト勉強として暗記したのではないでしょうか。
そのような方であればすでに1~2冊は解剖学書を持っていると思うのでそこから始めることをおすすめします。
用語や大枠の身体に対する理解ができたら、基本情報を可能な限り三次元的にイメージしていきます。
ただ文字で暗記するのはおすすめしません。
(学生時代はそれが必要ですけどね)
なぜなら、施術にしろトレーニングにしろ、
三次元的にイメージできないと解剖の知識としては使えないからです。
病院やスポーツ現場で働いているなど、もうすでに人の身体に関わっている方であれば、その日にみた患者や選手に関係する部分から勉強するのがおすすめです。
人はアウトプットを前提にインプットして、すぐアウトプットできる方が記憶が定着しやすいからです。
さらに言えば、実際に使える知識にならなければいくら知識があっても意味がないからです。
というわけで、次の章からは実際にどのように活かしていけばよいかを紹介していきます。
3.施術やトレーニングへの活かし方
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