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棘上筋(supraspinatus)

今回は肩関節の安定に非常に重要な、回旋筋腱版の1つ、
棘上筋について。

外転作用だけでなく、なぜ断裂しやすいのかについても改めて整理していきます。

それでは早速いきましょう!

棘上筋の起始停止

ファイル_000 (2)

(Visible bodyから引用)

起始:肩甲骨棘上窩
停止:上腕骨大結節
支配神経:肩甲上神経C5
作用:肩関節外転
(基礎運動学第6版)
起始:肩甲骨棘上窩、棘上筋膜の内面
停止:上腕骨大結節上部
支配神経:肩甲上神経C5
作用:上肢を外転する
(分担解剖学1総説・骨学・靱帯学・筋学)
起始:肩甲骨棘上窩の内側2/3と肩甲棘上面
停止:上腕骨大結節の上面と肩甲上腕関節の関節包
支配神経:肩甲上神経C5~6
作用:肩関節外転、外旋、内旋、肩甲上腕関節の安定化
(オーチスのキネシオロジー第2版)

後述しますが、棘上筋の作用は外転だけではないことが多くの研究で証明されています。

棘上筋は大結節の付着している部位によって外旋と内旋の作用も報告されています。

筋機能

モーメントアームの解析では外転作用だけでなく、後部線維が外旋を、前部線維が内旋作用を有していることを示唆しています。

しかし、神経ブロックにて棘上筋を一時的に麻痺させた状態においても肩関節の外転は全可動域にわたって可能であったとの報告があり、棘上筋の単独作用では肩関節外転が行えない可能性も示唆されています。

これらのことから、棘上筋の作用として肩甲上腕関節の安定性に関与していると考えられています。

棘上筋の収縮は上腕骨頭を肩甲骨関節窩に押し付ける作用と、
外転位からの外転運動では上腕骨頭を下方へ引く作用も示唆されています。

棘上筋の筋力低下は肩甲上神経の絞扼により二次的に引き起こされるという報告があります。

しかし、その状態であっても肩関節は完全外転が可能であるということは重要な所見として報告されています。


無症候性の腱板断裂も加齢に伴い増加していきます。

つまり、棘上筋は外転を補助する役割はありますが、外転運動をただ行うだけであれば必要ないかもしれません。

しかし棘上筋の走行が肩峰の下を通っており、
三角筋の過剰な収縮により上腕骨が上方へ牽引されることで棘上筋は肩峰と上腕骨頭の間で挟み込まれてしまいます。

これが繰り返されることによって腱板損傷や肩関節周囲炎と呼ばれる肩の痛みの一因となり得ます。

筋膜連結

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棘上筋は、ディープ・バックアーム・ライン(DBAL)に含まれます。

小指球筋⇒(中略)⇒上腕三頭筋⇒肩回旋腱板⇒菱形筋、肩甲挙筋

棘上筋を含む回旋筋腱板は、小指から上腕の後面とつながりがあります。

いわゆる肩のアウターマッスルと言われるような三角筋や僧帽筋の緊張が高い方ほど小指球や三頭筋の硬さが著明な場合が多いです。

チューブでの腱板トレーニングを行うことも多いと思いますが、
なかなか収縮が入りにくい場合は、この辺りもチェックしてみるといいかもしれません。

棘上筋の周辺組織

棘上筋の周囲には筋も多くありますが、関節包や靱帯といった肩関節に関与する非収縮組織も多く存在しています。

肩峰下滑液包、関節上腕靱帯、三角筋下包、烏口肩峰靱帯あたりは位置関係も含めて整理しておきましょう。

棘上筋の表層には近位には僧帽筋上部線維、遠位には三角筋が存在します。

付着部である大結節には棘下筋や小円筋も付着しています。

それぞれ肩甲上腕関節の位置関係によって活動が変わってきますので整理しておきましょう!
(棘下筋、小円筋についてはいずれ。。。笑)

まとめ

いかがでしたでしょうか。

ただ肩の外転作用だけではない棘上筋。

手や腕の筋との関係性や周囲の組織との関係性も含めて整理しておくと、
臨床でも使いやすくなってきます。

それではまた来週!

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